ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

562話

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 結構注目を集めている中、ヘイトさんはいろいろヤバイ発言を続けた。

 要約?すると、ジュリアスさまが幼い頃から目をつけてたのに全く靡かないし、気付いたら巨体になってるし、ムカつくけど、落とせなかったままではいたくないらしいことと。

 最近グレーデンはお金持ってるし、押し付けられた妻は男爵家の出で小さくて役立たずだろうから、自分が第二夫人で社交と子作りを変わってやれば良いと思いついたんだって。

 エキサイトして、元旦那の悪口と男性遍歴が出てきて、要するに高位貴族の愛人だとか閨教育をしている関係で文句を言ってくる相手がほぼいないので、自分が偉い存在と思い込んでいるっぽい。

 愛人とか閨とか名前出されちゃってる人が真っ青ですけど。横についてる夫人も真っ青なんですけど。

「とにかく私は狙った男は絶対にひれ伏せさせてやるのよ」

 唖然としちゃう。
 早く誰か止めに来て。

 なんか、こんなこと堂々と言うのっておかしいよね?目がパキパキだし。

「やれれば誰でも良いタイプとかいらっしゃるようですが、誰ともしたくない人ももちろんいらっしゃいますよ」
 思わず言っちゃった。
 ヘイトさんは、確かに美人の部類だろうけど、気が強そう、香水がきつい、化粧が濃い、貞操観念がないっって、まとも?な男性には選ばれないタイプだと思う。

「ジュリアスさまも味見をすれば私の良さがわかりますの」
 味見。

「私はわざわざ行きはしないが、そなたとどうにかならずとも娼館で発散した方が気楽に過ごせそうだが?」
 ジュリアスさまが真顔でスパーンとぶった斬り。
 結婚してるのに、浮気とか愛人作るより、娼館で割り切りが安全。これ正しい解釈。
 
「いい加減恥晒しな真似はやめてくれないか」

 やっと誰か止めに来たー!

「誰が恥晒しですって!?」
「お前だよ。ふしだらで愚かで同じ血が流れていると思うと恥ずかしくて死にそうだ」

 確かに血筋を感じる渋柿噛んだような顔をした壮年の男性が現れた。

「この私になんて言う口を!」
「その「この私」と言うのは一体何様のつもりだろう」
 わー!私が思ってたこと言ってくれたー!!

「お前は出戻りで名義上は侯爵令嬢に戻ったが家はすでに私が継いでお情けで置いてやっているようなものだ」
 元は元侯爵令嬢と侯爵元令嬢、どっちにもなるのか。

「だから嫁ぎ先を探してるじゃない」
 
 あ、そうなるんだ。

「そこも「何様」のつもりだ。出戻りで男漁りも金遣いも荒い三十超えたお前が、恥ずかしげもなくグレーデン辺境伯に迫るなど」
 わぁ、物凄いパンチとキックのラッシュだ。
 ヘイトさんのライフはゼロ・・・になってないようだ。

「田舎で不毛な地の巨体男なら多少の傷は気にならないでしょう」
 さっきから巨体巨体と。
 デブみたいに言わないでくれる!?マッチョで足腰引き締まったナイスなボディなんだから!

「悪さをしていない立場ならともかく、自ら悪さをしているお前を正式に娶る貴族などこの国にいるものか。お前が過去相手をした男が正式に婚姻を申し込んできたことがあるか?お前は適当に扱ってもいいと自ら宣伝して歩いてきたようなものだ」

 あ、さっき名前を出された人たち目を逸らしてる。そそくさ離れたいだろうに、夫人が怖い笑顔で離れることを許してない。

「何よ。わざわざあんな辺境に嫁いであげるって言ってるのに」
 でもタウンハウスで暮らすんでしょ?

「わざわざも何も、この一年で大勢の未婚の令嬢から釣り書をいただいてますけど、うちの子たちは全部お断りですのにねぇ」
 曲が変わってお義母様が戻ってきた。
 まずい。ユエさまは?って思えば、王妃さまと踊ってる。お義母さまと連携してくれたのかな。

「ふふ、私は可愛い女の子は歓迎したいのだけど、うちの子たちは昔、ハレンチな痴女に絡まれまくったせいで、化粧が濃い、香水が臭い、押しが強い、あとは何かしらぁ、とにかくうるさい女性が嫌いですのよぉ」

 ん!大体ヘイトさんのせいっぽい。セリウスさまやクラウスさまにも声かけたのかしら。

「グレーデン辺境伯、グレーデン前辺境伯夫人、グレーデン辺境伯夫人、ながらくご迷惑をおかけしました。父をやっと領地に押し込めることができましたゆえ、妹は修道院に入れることができます。全て終えましたら、改めて謝罪に伺います」
 ヘイト侯爵?は、ヘイトさんが父の甘やかしと公爵や侯爵、伯爵などの弱みを握っていたため放置するしかなかったんだって。
 最近軒並み失脚したり、代替わりで動きやすくなったのと、それにより自由に出来るお金や贈り物を貰えなくなったヘイトさんがいよいよお金持ちや高位貴族相手への迫り方がやばいので動いたって感じらしい。
 遅くない?

「なにぶん、妹を処断する理由がふしだら過ぎるだけでは罪には問えなかったもので」
 ふしだら罪!!あったら結構な人数が犯罪者!!
 浮気とか姦淫は、この国の法律では罪じゃないのと、不敬とか名誉毀損とかも、ヘイトさんに手を出してる高位貴族が関わってるために、とかなんとか。
 
 スケベな高位貴族のせいで好き放題になってたのか。

 そのお相手たちが失脚したのとグレーデンの立場が劇的にアップしたのとでやっと動きが出たのかな。

 まともな少年たち(ジュリアスさま含む)が怖いお姉さんに迫られたトラウマが十~二十年くらい分あるってことか。
 罪に問えないにしても罪深いよ。

「ちょっと!修道院って何よ!私は行かないわよ」
「行かなければ、住む場所をなくすが?」

 ヘイト侯爵の目は獲物をロックオンした猛禽のように怖い。
 
 ヘイト兄妹のやり取りを見た、さっきセリウスさまに迫っていた令嬢たちが真っ青だ。これで静かになるかな。

 しかし、たくさんのお相手がいたのに誰も手を差し伸べないのだね。

「お騒がせして申し訳ない」
 ヘイト侯爵は、妹を護衛騎士に任せて去っていった。

 近くにナギの人たちがいないのは、お義母さまの友人たちがタッグを組んで主要な人をダンスに食事にと、目を逸らしてくれたてみたい。

 遠くで「何かしてるな」くらいの視線で見ているナギの人がいたけど、話までは聞こえてないっぽい。

 マジで場所を選ばず騒いだヘイトさん、勘弁だったよ。

 このあとお仕置きされそうなおじさまがいっぱいいるよ。

「はぁ、一番面倒な人がいなくなった」
 あれ、ジュリアスさまはまだ他に苦手な人がいそうだね?

 変な人ホイホイなのかな。



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