ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

556話

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 夜会の前にすでにエンプティになるって、オシャレって大変だよね。私はほぼ立ってるだけだけど。

 珍しく大人の女性っぽく仕上げてもらえた。くびれも胸もないからあくまでも「ぽく」なんだけど。
 ドレスはジュリアスさまの赤と金でお飾りもドヤァっとなってるのに成金っぽくないのすごいと思う。
 豊満ボディだったらまた印象が違うんだろうかなぁ。
 
「うん、よく似合ってるぞ」
 
 着替えが終わって入って来たジュリアスさまは、私を褒めてくれた後、髪を崩さないように頭をポンとしてくれた。
 ジュリアスさまの衣装は、黒地に青紫と銀を取り入れた私の色。
 
「ジュリアスさまもよく似合っててかっこいいです」
 むふぅ。私の旦那さまですよ!って自慢せねば。

「ジュリアス~、リーシャちゃん、準備は整ったかしらぁ?」

 ジュリアスさまに見惚れてたら、お義母さまたちが入って来た。

「まぁ!よく似合ってるわねぇ、可愛いわぁ」
 弾丸ではなくソフトに抱きしめてくれた。
「んー、寂しかったわぁ」
 こんなに会えてないのは新婚旅行ぶり以来かな。お義母さまの変わらぬ行動にホッとしている自分がいる。

 お義母さまは完全武装な感じに仕上がってる。隙のない夫人だ。
 ドレスのデザインは私のと似せて、グレーデンですよって感じの赤と金がバァンと大迫力。

「母上、リーシャちゃんが胸で溺れる前に解放しなよー」
 ソフトでもグイグイっと抱きしめられてる間に、ブラーンと足は浮いちゃうし、主張の激しいお胸は私の顔を埋めてしまう。

 ヘブンなんだけど、呼吸は必要。

「あらあら?ごめんなさいねぇ」

 そして足を床につければ、お義父さまが頭にポンっと手を置く。行動がジュリアスさまと一緒だ。

「わしも会えない間が寂しかったからのぅ」
 さっきは王子さまと走り回ってたのに、今は威厳たっぷりの衣装で激渋マッチョだ。うーん、衰えない筋肉素晴らしい。

 ちなみにセリウスさまは、
「父上と兄上とルークが出席するんだから俺は護衛にって思ったらアンゼリカのエスコートをしろってさー」
とブツブツ言いつつ、赤基調のスーツだ。
 と言うことはアンゼリカさまは?

「伯母さまには敵わない」
っとお疲れな顔でお部屋に入って来た。

 アンゼリカさまは、赤を主体に金色をふんだんに入れて、お飾りも赤とピンクと金で。色合い的には派手過ぎぃってなるんだけど、見事なボディラインと、ゴージャスなローズレッドの髪がドレスに合ってて素敵だな。

「うふふ、アンゼリカちゃんもグレーデンの娘ですからねぇ!宣伝宣伝~」

 お肌ツヤピカと髪の毛トゥルントゥルン、パールのお粉にと垂涎の的である美容品をしっかり宣伝する役になってる。
 くぅ、私では物足りないからありがたいよ。

 お義母さまとニーナとアンゼリカさまで、グレーデンとカイダールの旅館エステと温泉を宣伝しまくってね。

 何気にセリウスさまも髪艶、お肌のハリがすんばらしい。
 王都の若い貴公子もモテのためにきっと欲しがってくれるよね。

 みんな揃ったと思えば、ジェイデン家のダレスさまが夫人と共に入って来た。

「待たせたかな」

 今回の夜会と言うか、歓迎会のために来られる貴族は来るようにお達しがあったので、ジェイデンはダレスさまが出席なのね。

 グレーデンもホーンもだけど、一族の代表を誰か残しておかないとまずい土地はそれなりにある。
 魔獣対策、野盗など防衛問題を抱えているとかね。
 
 みんなでお部屋を出て、会場に呼ばれるまではとホーン家、リュフェリー家と合流して、待機室に集まった。

「ふぅ、全域の貴族が集まるのはそうそうないが、すでにめんどくさいのに絡まれたぞ」
「ああ、どうも辺境は羽振りが良いと思われておるな」
 あらら。でもホーンもリュフェリーもお金持ちの部類なので羽振りがいいのは確かかと。

「うちはグレーデンのような産業はないのだぞ」
「うちだって大した変化はない」
 農業的なことは、相互関係でお手伝いしあってるし、魔道具も優先的に卸してるけど、権利関係はグレーデンが強い状態だからね。
 主に私のやらかしの結果なので知らんぷりだ。

「ワシの後妻にとまで言い出して来たぞ。ヘイト嬢だったか」
 あー、お色気色魔女~!!!
 お金に困ってるのかな。

「ミゲルの第二夫人でもいいとか」
 でもいいって、現ホーン家当主はそんな価値低くないでしょ。
 
 ルシードさまでもハンメルさまでもとにかく辺境に関わりたいらしい。

「グレーデンに入り込めないからかこっちに興味が移ったか」
 ルシードさまが言うと、
「いやー、あれはセリウスを見たらセリウスに迫るんじゃないか」
ってハンメルさまがうんざりした顔で言う。

「げ、あの人香水臭いからの近寄ってほしくないなぁー」
「あら?まだそんな使い方してるのねぇ」

 香水つけ過ぎが流行ったのは数年で、自分も耐えれない人が多かったから廃れたけど、鼻がおかしいのか香水大好きな人もいるから完全にいなくなったりはしないみたい。

「セリウス、そこまで必死だと妙な行動をされかねないから、アンゼリカと離れるなよ。アンゼリカも気をつけてやってくれ」

 うはー、前に絡まれた時のジュリアスさまの嫌悪感たっぷりな態度から何かあったんだとは思ってたけど、よっぽどな目にあったのかしら。

「ふぅむ?ヘイト・・・ヘイトか。あれなら私の顔を見れば寄ってこないから心配ない」

 アンゼリカさまがそう言うとジュリアスさまもハンメルさまもルークもなぜかルシードさまも、アンゼリカさまを憧れの勇者を見る目で拝めるように見た。

 この場合、そこまで嫌われるヘイト嬢がすごいのか?アンゼリカさまがすごいのか?

「まぁ、女性一人に何弱気でいるのぉ?お色気で迫る女性は色魔のおじさまにさりげなく紹介したらいいのよぉ~」

 あら、お義母さまが一番強そう。






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