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二章
555話
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王様が、夜会前に〈抜けないくん〉を試したいからと追い出されたので、これ幸いと客室に戻ろうとしたら、廊下でお義父さまとアークさまが王子さまを持ち上げて、いわゆるスー○ーマンごっこをしていた。
高い天井なので全然余裕がありますね☆じゃなくて、この世界にはいないはずのヒーローの飛行スタイルはどこから来たの?
王子さまたちが怖がりもせず、キャッキャやってるし。
「振り回すのは良くないと言うでな」
二メートル超えた身長に腕の長さプラスの高さでブーンも何気によろしくないと思うのは気のせいかな。
この廊下はグレーデン、ホーン、リュフェリー辺境三家の滞在ブース内なので、大騒ぎにはなってないけど、王子さまのお付きの人たちが困ってるよ。
「ジジ!ジジ!もう一回だ!」
どうやら、さっきのはスー○ーマンじゃなくて、ワイバーンから飛び降りて地上まで飛んでるの図だったみたいで、お義父さまに肩車させた状態で腰を掴んで上下させて走り回り、最後は飛んで降りるイメージなんだって。
微笑ましいですねー?って思うでしょ、引くほどスピード早いからね。障害(知らずに出て来たメイドとか)を避けるのもバッチリ。
「父上。殿下方には父上たちの体力に付き合えるほどの体力も筋力もないのでそろそろやめてさい」
ジュリアスさまが止めると、お義父さまとアークさまも王子さまたちも「「えー」」って顔をする。
「殿下、楽しくて忘れてるでしょうが筋肉痛になりますよ」
ジュリアスさまがお義父さまたちに抱えられてる王子様たちを優しく諭す。
抱っこされて走り回ってるだけならまだしもスー○ーマンポーズは腹筋にくるだろうなぁ。
お義父さまたちは自分の子供たちと同じに考えてるかもだけど、王子さまたちは都会っ子だよー。
ハリス王太子殿下は護身術くらいは習ってるかもだけど、ジェロム殿下はまだでしょ?
「今夜は夜会もあるのですからそろそろお着替えに行きましょう?」
そこまでいえば、聞き分け良くお付きの人に従ってくれた。
「ジジ、また明日頼む」
「ジジ、楽しかった」
コワモテおじさまたちヤニ崩れてますね。
世紀末覇者みたいな大男なのに根は優しくて面倒見のいい好々爺なのだ。
「いやぁ、チビ陛下におねだりされたらなぁ」
「うむ、わしらの後ろをついてまわっていた陛下を思い出すと懐かしいからの」
お義父さまたちと王様は十歳くらい歳が違うので、きっと学園に通ってた頃に王宮で幼い王様相手に今みたいな遊びをしていたのかも。
だから王様は今もグレーデンに甘えに来るのかしら?
「遊びのお相手はいいですけどもう少し大人しめに遊んでください」
「「えー」」
ジュリアスさまに一通り叱られてからアークさまが私に目を止める。
「夫人、ホーンの苦境を助けてくれた上、魔道具や魔力の提供に感謝しておる。おかげさまで今年からは寒さにさほど困らず過ごせるであろう」
「お礼ならもう十分に」
跪いて手を取られてのお礼にびっくり。隠居されているとはいえ、アークさまは国を支えて来た英雄の一人だもの。恐れ多い。
「いいや。ほとんど犠牲もなく無事に済んだのは夫人の存在が大きい。ホーンは未来永劫グレーデンの友であり夫人の盾になろう」
私の存在は、わりと大変らしいので後ろ盾が増えるのは嬉しいんだけど、困るよ。
「ふふふ、これはただのお土産だ。あの大吹雪の後に生まれたクリスタルスノウバードの卵の殻だぞ。本体は殺生禁止にしておる吉兆の鳥なのでな、運良く回収できたから使ってくれ」
乳白色の煌めくガラス?水晶の板みたいな殻をもらった。すごく綺麗。
アウロラさまみたいなのでアウロラさまが持っていた方が似合いそう。
「よく見つけたのぅ。普通は生まれた雛が食べるんじゃなかったか」
「半分くらいは捨て置いているようだぞ」
ほえー。雛がこんな硬そうなの食べるんだ。
「吉兆の鳥とはよく言ったものでその殻を使った飾りは良いことを運んでくれると言われておるぞ」
「そんな素晴らしい物をありがとうございます」
雪の風景が見えるようだし、色合い的にはアズライトのウロコっぽくも見える。
卵の殻とウロコを合わせて魔道具を作ったらいいものが出来そう。
「さて、そろそろ着替えるか」
「そうですね。俺たちは髪を固めるくらいですみますがリーシャはそうはいきませんし」
「うちの妻は二刻は掛かっておったなぁ」
「スノウリリィーもそれくらいはかかるぞぅ」
四時間!コルセットにお化粧に髪結かなぁ。あ、お肉移動のマッサージもあるかな。痛そうなやつ。お義母さまは私といる時はすでにマッサージを済ませてたってことかな。
アークさまの奥様は亡くなってて、笑ってはいるけどお寂しそうだ。
一旦解散になって私とジュリアスさまはお部屋に入った。
「良い物を頂いたな」
「はい」
価値が凄そうなのでちょっと困った。セラーナお祖母様の素材にもなかったよなぁ。
とっても綺麗なので扱うのが楽しみ。
従者の控室からニーナたちが出て来て、
「ジュリアスさまはあちらでお待ちください」って隣室に追い出しちゃった。
「今日はいつもより念入りに着飾っていただきます」
侍女ーズさんたちがやる気元気だよ。
えーー。
ニーナはすでにドレス姿。とても麗しく素敵なのに、若干お疲れな顔だ。
一時間後くらいの私も同じような顔になってるんだろうなぁ。
---------------
いつもお読みくださってありがとうございます。
地震の発生、南海トラフ緊急情報などについて、不安の中お過ごしの方も多いと思います。
こういった状況の時、何を言ったら良いのか、私が言っても?など色々考えて何も言わないことがほとんどです。
でも該当地域にお住まいの方も多いだろうと思うと心配な気持ちはもちろんあります。
警戒期間がいつまでかわかることではないので、災害情報、避難指示など、安全の確認をしてご無事にお過ごしください。
常日頃病院にお世話になってる私からは、お薬手帳と保険証(マイナカード)をお近くに!とだけ。
みなさまのご無事と平穏な日々が早く戻ることを祈ります。
高い天井なので全然余裕がありますね☆じゃなくて、この世界にはいないはずのヒーローの飛行スタイルはどこから来たの?
王子さまたちが怖がりもせず、キャッキャやってるし。
「振り回すのは良くないと言うでな」
二メートル超えた身長に腕の長さプラスの高さでブーンも何気によろしくないと思うのは気のせいかな。
この廊下はグレーデン、ホーン、リュフェリー辺境三家の滞在ブース内なので、大騒ぎにはなってないけど、王子さまのお付きの人たちが困ってるよ。
「ジジ!ジジ!もう一回だ!」
どうやら、さっきのはスー○ーマンじゃなくて、ワイバーンから飛び降りて地上まで飛んでるの図だったみたいで、お義父さまに肩車させた状態で腰を掴んで上下させて走り回り、最後は飛んで降りるイメージなんだって。
微笑ましいですねー?って思うでしょ、引くほどスピード早いからね。障害(知らずに出て来たメイドとか)を避けるのもバッチリ。
「父上。殿下方には父上たちの体力に付き合えるほどの体力も筋力もないのでそろそろやめてさい」
ジュリアスさまが止めると、お義父さまとアークさまも王子さまたちも「「えー」」って顔をする。
「殿下、楽しくて忘れてるでしょうが筋肉痛になりますよ」
ジュリアスさまがお義父さまたちに抱えられてる王子様たちを優しく諭す。
抱っこされて走り回ってるだけならまだしもスー○ーマンポーズは腹筋にくるだろうなぁ。
お義父さまたちは自分の子供たちと同じに考えてるかもだけど、王子さまたちは都会っ子だよー。
ハリス王太子殿下は護身術くらいは習ってるかもだけど、ジェロム殿下はまだでしょ?
「今夜は夜会もあるのですからそろそろお着替えに行きましょう?」
そこまでいえば、聞き分け良くお付きの人に従ってくれた。
「ジジ、また明日頼む」
「ジジ、楽しかった」
コワモテおじさまたちヤニ崩れてますね。
世紀末覇者みたいな大男なのに根は優しくて面倒見のいい好々爺なのだ。
「いやぁ、チビ陛下におねだりされたらなぁ」
「うむ、わしらの後ろをついてまわっていた陛下を思い出すと懐かしいからの」
お義父さまたちと王様は十歳くらい歳が違うので、きっと学園に通ってた頃に王宮で幼い王様相手に今みたいな遊びをしていたのかも。
だから王様は今もグレーデンに甘えに来るのかしら?
「遊びのお相手はいいですけどもう少し大人しめに遊んでください」
「「えー」」
ジュリアスさまに一通り叱られてからアークさまが私に目を止める。
「夫人、ホーンの苦境を助けてくれた上、魔道具や魔力の提供に感謝しておる。おかげさまで今年からは寒さにさほど困らず過ごせるであろう」
「お礼ならもう十分に」
跪いて手を取られてのお礼にびっくり。隠居されているとはいえ、アークさまは国を支えて来た英雄の一人だもの。恐れ多い。
「いいや。ほとんど犠牲もなく無事に済んだのは夫人の存在が大きい。ホーンは未来永劫グレーデンの友であり夫人の盾になろう」
私の存在は、わりと大変らしいので後ろ盾が増えるのは嬉しいんだけど、困るよ。
「ふふふ、これはただのお土産だ。あの大吹雪の後に生まれたクリスタルスノウバードの卵の殻だぞ。本体は殺生禁止にしておる吉兆の鳥なのでな、運良く回収できたから使ってくれ」
乳白色の煌めくガラス?水晶の板みたいな殻をもらった。すごく綺麗。
アウロラさまみたいなのでアウロラさまが持っていた方が似合いそう。
「よく見つけたのぅ。普通は生まれた雛が食べるんじゃなかったか」
「半分くらいは捨て置いているようだぞ」
ほえー。雛がこんな硬そうなの食べるんだ。
「吉兆の鳥とはよく言ったものでその殻を使った飾りは良いことを運んでくれると言われておるぞ」
「そんな素晴らしい物をありがとうございます」
雪の風景が見えるようだし、色合い的にはアズライトのウロコっぽくも見える。
卵の殻とウロコを合わせて魔道具を作ったらいいものが出来そう。
「さて、そろそろ着替えるか」
「そうですね。俺たちは髪を固めるくらいですみますがリーシャはそうはいきませんし」
「うちの妻は二刻は掛かっておったなぁ」
「スノウリリィーもそれくらいはかかるぞぅ」
四時間!コルセットにお化粧に髪結かなぁ。あ、お肉移動のマッサージもあるかな。痛そうなやつ。お義母さまは私といる時はすでにマッサージを済ませてたってことかな。
アークさまの奥様は亡くなってて、笑ってはいるけどお寂しそうだ。
一旦解散になって私とジュリアスさまはお部屋に入った。
「良い物を頂いたな」
「はい」
価値が凄そうなのでちょっと困った。セラーナお祖母様の素材にもなかったよなぁ。
とっても綺麗なので扱うのが楽しみ。
従者の控室からニーナたちが出て来て、
「ジュリアスさまはあちらでお待ちください」って隣室に追い出しちゃった。
「今日はいつもより念入りに着飾っていただきます」
侍女ーズさんたちがやる気元気だよ。
えーー。
ニーナはすでにドレス姿。とても麗しく素敵なのに、若干お疲れな顔だ。
一時間後くらいの私も同じような顔になってるんだろうなぁ。
---------------
いつもお読みくださってありがとうございます。
地震の発生、南海トラフ緊急情報などについて、不安の中お過ごしの方も多いと思います。
こういった状況の時、何を言ったら良いのか、私が言っても?など色々考えて何も言わないことがほとんどです。
でも該当地域にお住まいの方も多いだろうと思うと心配な気持ちはもちろんあります。
警戒期間がいつまでかわかることではないので、災害情報、避難指示など、安全の確認をしてご無事にお過ごしください。
常日頃病院にお世話になってる私からは、お薬手帳と保険証(マイナカード)をお近くに!とだけ。
みなさまのご無事と平穏な日々が早く戻ることを祈ります。
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