ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
562 / 765
二章

551話

しおりを挟む
 スッキリなお目覚め!!
 なんとベッドから落ちてないのだ!

 寝相が治ったと思うでしょ?治ってないよ!自分で言うのも悲しいけど。

 なんとジュリアスさまに抱き込まれていたから!

「ジュリアスさま?」
「ん、おはよう」

 いらっしゃるのは、今日の夕方とかのご予定では??
 ジュリアスさまが少し眠そうに目を瞬いて、優しく笑いかけてくれた。
 
「驚かすのは成功したな?」
「大成功です!」
 思わず胸筋にぐりぐり埋まるよ!

「明け方に転移陣を使ってこっそり出てきた」

 このこっそりは王宮側は半刻前に使用連絡入れてて、ルークに内緒の意味なんだって。
 めっちゃ嫌味言われる未来しか見えないのに、ルークを出し抜いたと笑ってる。
「仕事はクラウスとセバスチャン、お祖母様にお願いしてるので問題ないぞ」
 お祖母様にまで!!?

 久しぶりのジュリアスさまで筋肉堪能できて幸せだけど、地味に冷や汗出るよ。

「ジャスパーたちは?」
「さすがにみんな連れて歩くわけにもいかないからお祖父様に任せてきた」
 うーん、ポムたちも含めて、ダンジョンか魔の森に連れて行かれるんじゃないかなぁ。

「道中に問題なかったと聞いているがリーシャは大丈夫だったか?」
 問題がないのはグレーデン基準で、他家の騎士さんたちは多分ビックリだったんでは?
 うちの騎士さんたちがいないよりは遥かに楽だったろうけど。
「ゆっくりだったし、平気ですよ。バッタはびっくりしましたが」
 巨大なのも、食用なのも含めて。

「バッタはなぁ、出現の予想が出来ないんだ。豊作を狙うわけでもなく、不作の時は土まで食べる勢いで荒らしていく」
 土まで!それって美味しいの?
 荒れたままの地が多いのはバッタのせいだったんだろうか。

「イナーゴでなかったのは幸運だったな」
 イナーゴはバッタの凶暴版で肉食らしい。人間もエサの範囲。ひぇ。

「グレーデンに出てくれたらどちらも食糧なるから歓迎だがな」
 あれがいっぱいあるのは嫌だな。
 子供たちでも倒せるんだって。多分グレーデンとか辺境の民だけだよ。

「今日は昼は会議だったか」
「そうです。あんまり通訳のお仕事してないですけど」
「リーシャは殿下たちの精神保護の面が強いだろう。大人ばかりだから歳の近い女性がついていた方が気が楽になると」
 私以外はかなり離れてるもんねぇ。

「難しい話など国の官吏がやって当然なのだから気に病むことはない」
 本職にお任せで良いのは当然だけど、わざわざご指名で一ヶ月くらいグレーデン離れるのに役立たずは嫌だよー。

「ニーナが起こしに来るまでゆっくりしよう」
 素敵な誘惑に二人でシーツに包まる。
「都会の夫人はやはり美容に煩かったか」
 私のもちもちな頬とうるツヤな髪に触れて笑う。

「お土産の美容品をいち早く使うのに私を巻き込むのです」
 高位貴族の招待で、女性の歓待にはエステやマッサージをする家がほとんどで、客人を放って自分磨きは出来ないので、使い方を学ぶと言いつつ、接待も兼ねてる感じで。
 お断り出来ないんだよねぇ。

「王妃さまは王女が嫁いだこともあってリーシャを娘に見立てて構いたいのだろう」
 光栄だけど、王妃さまとほぼ裸の付き合いは恐れ多いよ。

「ファリンさまとルアランさまがいらっしゃる間は関心が移ると思います」
 ハードなエステは無理だけど、お着替えとかお茶とかね。

「今夜はお義母さまもお義父さまもお付きになるんでしょう?」
 だったら関心はさらに移るね!

「そういえば殿下方がお義父さまやアークさまにぐりゅんぐりゅんして欲しいのだそうですよ」
 微妙に微笑ましくない話をするとジュリアスさまは引き攣った。

「・・・アレを殿下たちに?」
「そうです。お義父さまたちをジジと呼ぶほどお好きなそうで」

 ジュリアスさま兄弟も従兄弟姉妹もされたことがあって、楽しいけれどたまにマントごと飛ばされるらしく軽いトラウマだとか。
 わざと手を離してるなら、さすがに王族にはやらないはず。

「父上だけじゃなくアークさまたちもか」
「お義父さまたちが来られない場合がジュリアスさまにやって欲しいとか」
「肩車や持ち上げるくらいは良いがさすがにマントに包んでは」

 やれないんじゃなくて勢いが調整できるか心配なんだって。お義父さまに比べたら安全にやれそうだけど。

「たまに連絡が付かない時は王宮やホーンにでも行っていると言うことか」
 あらら。
 
「転移陣の記録って改竄出来るんですか?」
 魔力を充填しなくちゃだから使ってたらバレそうなんだけど!

「んー、伝令や配送に定期的に動かしているからそれに紛れてなら報告は来ないな」
 書簡なしの騎士や民は通されないけど、お義父さまやセリウスさまとかだったら、確認は来ないって。

 警備が緩いことはないけど、主の一族だと「どうぞ」ってなるかな。

「逃亡癖があるってハロルドやセバスチャンやルークが思ってるなら連絡はされてそうですけど?」

 目をそっと逸らされた!
 ジュリアスさまも今回は逃亡みたいな感じだし、お義父さまもお祖父様もわりと自由だから、転移陣塔の担当さんからは報告されてるよ。

 今日は夜会出席の予定が決まってるから強制連行はないだろうけど、帰ったらルークに酷い目に遭わされちゃうよ。

 私はジュリアスさまとの時間が持てて嬉しいけど、代償が怖いね。

「リーシャが王都に入るまでに一回会いに来たかったのに来れなかったから今日は許される!」

 お仕事忙しかったのね。

「会いに来てくれて幸せです」

 またしばらくべったり出来ないから今のうちにたくさんジュリアスさまを堪能しよう。

 背筋も僧帽筋も最高です。

 落ち込んでたと言うだけあって少し痩せた気もする?
 筋肉の減少は由々しき問題!!

「ジュリアスさま、痩せたらダメですよ。いっぱい食べてください」

 腕も腰も足も検査せねば。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

最強陛下の育児論〜5歳児の娘に振り回されているが、でもやっぱり可愛くて許してしまうのはどうしたらいいものか〜

楠ノ木雫
ファンタジー
 孤児院で暮らしていた女の子リンティの元へ、とある男達が訪ねてきた。その者達が所持していたものには、この国の紋章が刻まれていた。そう、この国の皇城から来た者達だった。その者達は、この国の皇女を捜しに来ていたようで、リンティを見た瞬間間違いなく彼女が皇女だと言い出した。  言い合いになってしまったが、リンティは皇城に行く事に。だが、この国の皇帝の二つ名が〝冷血の最強皇帝〟。そして、タイミング悪く首を撥ねている瞬間を目の当たりに。  こんな無慈悲の皇帝が自分の父。そんな事実が信じられないリンティ。だけど、あれ? 皇帝が、ぬいぐるみをプレゼントしてくれた?  リンティがこの城に来てから、どんどん皇帝がおかしくなっていく姿を目の当たりにする周りの者達も困惑。一体どうなっているのだろうか?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

彼の愛が重い 重すぎる

keikocchi
ファンタジー
次期王妃になりたくない私は 策をねる

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

処理中です...