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二章

542話

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「やっと解放された」
 お部屋で寝着に着せ替えて持って、一息。

 ニーナやアンゼリカさまも接待エステを受けれる立場なのに固辞したんだよ。一緒にツルペカになれば良かったのに。

 アンゼリカさまは夜番をするって言ってお屋敷にも入らないくらい、貴族的接待を面倒がってる。
 逃げられるの良いねぇ。
 私はジュリアスさまの妻なので仕方ないけど。
 身分と家門に守られてるんだから、お仕事はお仕事でやらないとね。

「ニーナ、明日はニーナもドレス着るよね?」
「王都にはお義母様とお義姉様がいらっしゃいますからね」
 ルークの顔を立てないとだね。
「私は王女さまたちと一緒の行動になるから、ニーナもサーキス家に顔を出したりしてきてね」
「ルークさまがいない時は荷が重いんですが行ってきます」
 サーキスの女性たちも何気に強いからね。
 長男嫁じゃなくて良かったねとしか。

「そうだ。ニーナもこれ使おう」
「なんですか?」
「私はエステまではやれないけど髪の毛と顔のパックくらい手伝えるから」
 ぐふふ。たまにはニーナを労わりたい。
「自分でやりますよ」
「だめー」

 流さないヘアオイルととっておきの百目の卵膜パックを使っちゃいましょう。

「グレーデンでコキ使ってませんよって、お疲れ肌じゃないようにしないと」
「コキ使われてません」
 
 良いではないか良いではないか!みたいな絵面になりつつ、なんとか大人しく受けてもらった。

「効果がとんでもないから困るんですが」
「だって、ニーナは美人なのにおしゃれしてくれないから」
 グレーデンだと私に付きっきりだし、自分の時間もないよね。

「本当はアンゼリカさまもしたいんだけど、王都のタウンハウスの人たちに任せた方が確実だね」
 大ベテランの侍女長さんにはアンゼリカさまも逆らえない。

「いっそセリウスさまにも受けてもらったらどうですか」
 わぁ。イケメンがプルプルお肌になったら話のキッカケが出来たと令嬢たちが殺到する予感しかないね。

「私には声をかけてくるような知り合いがいないから良いですけど、この状態ですと見知らぬ夫人とサーキスのお義母たちに質問攻めになると思います」
 うーん、やりすぎちゃったか。
 ニーナの金色の髪がウルトラシャインだし、お肌も透明すぎちゃう。

「お化粧と衣装で誤魔化しましょ?」
「ランクダウンさせるってどうやりましょうね」
 目の下くまとかファンデの色一個下げるとか?勿体無くて最悪だね。

「初日にはジュリアスさまと一緒にルークも来るからルークに目立ってもらおう?」
 ルークをウルトラシャインにしちゃおう!

「王女さま方やフェアリス王妃さまにキラキラしていただいた方がいいですよ」
 それだ!!

 王女さまたちは若さ何弾けるもちもちお肌にツヤツヤキューティクルだけど、さらにシャインしてもらって、王妃さまにはスペシャルエステにウルトラトリートメントだ。

「王宮に着いたら王妃さまにはお伺いを立てないと」
「ナギの皆さまとの謁見の後に王妃さまとリーシャさまとのお茶の予定が入ってますよ」
 あ、そうだった。
 お化粧品と美容品と新しいおやつの話がしたいって言われてるんだった。

「エステの時間も貰えるかな」
「晩餐の後にならおそらく贈答品に入ってる美容品をお使いになる予定をいれてらっしゃるでしょう」
 お義母さまとやりとりして、おみやげの目星はついてるだろうしね。

「王都に着いたらルルゥさんにも煌めいていただきましょう?」
 ニーナが巻き添えの相手にルルゥをご指名。ルルゥはそのままでも目立つから、大変なことになっちゃうけど。
 ニーナ、お主も悪じゃのう。

「百目の目玉もサーペントの卵も嫌がらせのようにあるから使っちゃおう!」
 売ると一財産だから、身内にしか出せないのが辛いところ。
 アイテムボックスの中は見えないけど、永遠に蛇系の卵と目玉があるって思うとちょっとゲンナリなんだよね。
 蛇皮は好きなんだけど、百目とサーペントのサイズだと鱗柄がデカすぎてなんか違うんだよねぇ。

「そんな気軽に使ったらダメなお値段ですけどね」
 お義父さまたちが売るほど採って来るから価値がバグってるよ。
 ダイ○ーで買えるくらい手にしやすいよ。

「さぁ。寝酒を用意しますから寝る準備を」
「!!!?」
 ちょっと忘れてた!!
 
「ジュリアスさまとルークさまがお出ししても良いと許可しているのは果実酒ニ種類です」
 くぅ!ルークおかんのチェック、まだ続いてるのか。

「氷を入れますか?」
「入れる~」
「ニーナも飲もう?」
「仕事中です」
「もうおしまいで一緒に寝よう?」

 とっても寂しいんだもの。ジュリアスさまもジャスパーもいなくて、たまにしか一緒に寝てくれないけどアズライトやポムたちもいない日々は寂しいよ。

「・・・寝入るまでご一緒します」
 
 そんなわけで、プルルンのお酒と梅のお酒、アイテムボックスからクッキーとイカの燻製と木の実を出して乾杯!
 
 五臓六腑に染み渡るねぇ。小さいコップだけど!
 飲めるだけ嬉しい。

「そういえば、ユエさまがこのイカや魚の燻製を気に入ってらっしゃいます」
「んー?」
「あちらでは辛味で漬け込んだものを酒のおつまみにするそうですが、素材の味そのものなつまみは飲み過ぎるほど美味しいそうですよ」
 ほえー、木の実にも辛い実を混ぜるとか言うので、びっくり。でもナギの酒は味わいが濃いからそれくらいのが合うのかな。

「辛いのも悪くないけど辛すぎるのは困るね」
「そうですね。ピリ辛くらいが好きです」

 ちゃっかりきっちり二杯飲んでベットに入ったよ。




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