ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

540話

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 ガルフ領の料理はメーメのお肉とチーズが中心だけど、やっぱり食用花も出た。
 お花のサラダは新鮮なお花を出せるのがステイタスらしい。
 が、ガルフの人たちはスルーしてお肉やピザに夢中だ。
 花の蜜があるのも入ってて美味しいけど、言ってもいいよね。

 お花でお腹は膨れないよ!!!!

 ビタミンとか採れるけど、トイレに行かないアイドル像みたいな食事やおやつっておかしいよね!

 焼きたてお肉の香りに辛抱たまらんとばかりに集まってる女性に男性たちが嬉しそうに給仕をしちゃってる。

 やっぱ、少食な姿を見るより、いっぱい食べる姿が見れたり、一緒に美味しいものを食べることの方が嬉しいよね。

『女性はこうして外で食べる機会がないから』
 この集まりにはガルフ侯爵の親戚や寄子が来てるそうで、なるほど、貴族っぽい人たちが多いと思ったよ。
 うちからやナギのご一行以外も大勢いて、親戚や寄子は王女さまたちを歓迎するために晩餐に呼ばれてたんだって。
 無礼講な野外パーティーになっちゃってるけどね。

 出来立てを食べる機会がないのは、野外で調理をする場に女性を呼ばないから。
 そりゃ、グレーデンのように家の庭で野営のようなことをする貴族なんていないでしょうね。

『グレーデンは外での活動が命懸けだと聞いているのに、騎士の野営だけでなく、夫人たちや領民とでも外で調理をしたものを食べていると聞いて驚いたものだ』
 ガルフ侯爵が呆れ半分で言う。
『だが王都からアッガスの道で私たちはかなり大変な思いをしたと言うのに、アッガスからここまでスムーズに進んだことを思えば、グレーデンやアッガスの騎士たちの強さが計り知れると言うものだ』
 領地の子供がハグレ魔獣をナタでヤッちゃうことは言ってもいいのかしら?

『私もグレーデンに着いたばかりの頃は驚きの連続でした』
『そうであろうな』
 他の地域のことも知らなかったけど、日本の常識とかけ離れてることにネ!

『うちの騎士たちもだが王国騎士団も魔獣討伐の経験が圧倒的に少ない。有事の際に使えぬでは困るから辺境三家に修行に行かせてもらうことにした』
 どうやらセリウスさまと話はついてるらしい。
 王国騎士団は辺境三家が交代で王都で演習をしてるはずなのに足りないと、増やされちゃうのか。まぁ、王都でなく、辺境で鍛えるってなると嫌がりそうだけどなぁ。

『『今宵は堅苦しい話はやめよ。これを食べるといい』』
 差し出されたのはさっきのスープにも入っていたカラフルな実を刻んで乗せてあるピザ。
『『ナギとガルフの友好の味だ』』
 ガルフのチーズとナギの実の融合!
 見ためはカラフルでとっても映えてる。
 だけどそのカラフルの辛さを知ってるから口の中が唾液でいっぱい!
 他の野菜で緩和されてるといいな。

『いただこう』
『いただきます』

 チーズはさっきのとは別のになってるようで、ちょっと臭みが強い。
 それをぶっ飛ばして辛いのが襲ってくる。

 辛い実って煮ても焼いても乾燥させてすり潰しても辛いよね~!

『『このチーズは辛味と相性が良いようだ』』
『それは嬉しいことです』
『『生の実を焼くと辛さがマイルドだと思わぬか?』』
 マイルドとな。

『私たちには辛さが足りませんがチーズと食べるのが新しくて良いです』

 ナギの人たちって、舌がヤバくない。ビリビリし過ぎて辛さメーターぶっ壊れてるでしょ。

『そういえば、リーシャさまがお作りになったと言うラー油、ナギはもっと辛い仕上がりの似たものがありますよ』
 ルルゥからラー油を使った料理ももらったらしい。

『王都についたらうちの者に作らせますね』
 ユエさまが嬉しそうに言ってくれたけど、食べれないのでアズライトたちのお土産にしよう。

 ルルゥが気前よくキッチン馬車で色々作って振る舞ってるようで、料理にもルルゥにもうっとりな女性陣と一部の男性が馬車から離れない。

『『料理もうまいが場を作るのがうまいよ』』
 私がルルゥの方を見ているのに気がついた王女さまたちが言う。
『『あれの気遣いは素晴らしい。天性のものだ』』
 やっぱ王女さまたち人生二回目とかじゃないかな。
 ちゃんとした王族は老成してるもの?

『『私たちはルルゥが気に入ったし、リーシャも気に入った。この国に住みたいが大陸を回る夢も捨てがたい』』

 王女さまたち、冒険心が強いね。

『『大陸のどこかで良き相手がいれば、リーシャに会いにくるのも容易。だから良き旦那さまを探さねばな』』

 海の向こうから来るよりは陸続きの方が容易かな。でも大陸けっこう広いよ。

『『最長半年で一回戻らねばならないから、全部を回るのは無理だ。今回はレイドラアース周辺しか行けない』』
 ナギご一行だけで結構な人数だからね。移動費もバカにならない。
 

『次の機会にはグレーデンにもお泊まりください』
『『必ず行くぞ!スノウリリィーにも会いたいしな』』
 真面目なお話中なのに、ルルゥが匂いの強い料理ののったお皿を運んできた。
『ガルフ直前でゲットした猪の薬方仕込みよぉ~』
 どう考えても辛そう。
 お肉をナギの辛い実の乾燥粉末を塗りこんで焼いたんだって。
 スパイスの辛さとは違って直撃なんだよねぇ。

『『ルルゥ!うまいぞ!天才だよ!』』
『もっと言ってちょうだぁい』

 あ、公用語でももうオネェになってきてる。恐るべし、オネェ口調。訛りっぽくないのがすごい。

 ガルフの人たち、辛いの強いみたいで良かったね。お肉にキラキラしていた女性陣平気そうに食べてる。
 うちの騎士さんたちもけっこう平気な方?

 塩味時代長過ぎて、刺激のある味好きすぎるのかなぁ。




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