ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
546 / 764
二章

535話

しおりを挟む
 花の砂糖漬けのお菓子は見栄えも良くて花の砂糖漬けを憧れのおやつと言うマルコス男爵たちにも好評だった。

 食用花も育て始めるかもしれない。
 ちなみにハズレの花は辛い系の実ができるやつや、虫が付かない系だとか。
 虫が食べないのは不味いからだよ。
 子供の頃は食べて学ぶんだって。毒だったらどうするのか。

 ガルフ侯爵とマルコス侯爵、セリウスさまは大人の時間(お酒タイム)に入るそうで、私と王女さまたちは『おやすみなさい』ですってよ。ちぇー!

 王女さまたちは、『『酒より菓子のが良いだろう?』』って興味無しで、また明日とお部屋に戻られた。

 ぶーっと思ってたら、ルルゥとチェイスさんたちが夜のお散歩に誘ってくれた。
 ニーナと私は目立つのでフードマントを着せられた。

 冒険者や旅人向きに建てられた宿や飯屋、酒場が私たちに同行してきた休憩中?の騎士さんたち侍従さんたちで盛況で、気になっちゃったけど、私が立ち寄れるわけもなく。
 近くの川辺に沿って歩くと水が綺麗になったと言うだけあって、草や葉っぱがたくさんで、虫の声が響いてた。

「夜釣りしてますねー」
 すごい平和だ!!
「この辺りは魔獣は少ないし、出ても弱いからねぇ」
 マジか。夜で一般の人が歩いても良いんだ。

「バッタが来る可能性もないからなぁ」
 バッタは発生地から魔素の濃い田舎の方に向かう習性があるんだ。発生地の魔素が薄いのか?と言えば、恐らく一過性の魔素溜まりから生まれてるんだって。
 バッタとか突然群れ出てくるのは大体魔素溜まりが関係してて、魔素溜まりが卵や子宮みたいな役割らしい。
 群れを生まずに、少しずつ魔素を集めて少数の魔獣を産んでいくのがダンジョンや魔の森に育つタイプ。
 
「バッタは食料を食い荒らすから問題ではあるけど、ゴブリンよりはマシなのよねぇ」
 あ、ゴブリンとかいるんだ。

「人型のは気分良くないわなぁ」
 ゴブリンはレイドラアースでは滅多に出ないんだって。良かった。

「お、なんか釣れたみたいだぞ」
 バッシャンと水面で暴れる音がした方を見る。
「あら、大きなドジョウねぇ」
 クネクネ暴れてるのを釣り人さんがブンッと竿を振り上げてドジョウ?を地面に叩きつけた。
 気絶させる感じ?

「面白そうだけど、またの機会までお預けねぇ」
 あなたたちはカマランの時みたいに入れ食いの方が良いと思うよ。
 太公望みたいにゆっくりしてなさそう。

 釣り人は十人くらいいて、等間隔で竿を下ろしている。男女ペアだったら鴨川沿いみたいなのに、一人かおじさん二人連れだ。
 いくら魔獣が少なくても夜の川沿いはさすがにデートスポットにはならないか。

「グレーデンだとアズライトの池でやるしかないなぁ」
 アズライトの縄張りなので安全っちゃ安全。
 超危険区域の中の安全地帯。

「大きい魚増えてきたし良いかもねぇ」

 あえて釣らなくてもアッガスから美味しいのが届くよ。

「今まで水辺がなくて釣りって言う選択はなかったよなぁ」
 あー、川とかも遠くに行かなきゃ無いもんね。

「そもそも無防備に座ってて良い場所がなかったじゃ無い」
 
 今でもアズライトの縄張りと魔物避けを設置してる居住地域、街道以外でくつろいじゃダメだよ。

「王都までのルートでこんなまったりも出来たことなくねぇ?」
「そりゃ基本強行軍かワイバーンだしぃ」

 今回はナギの王女さまたちに国を見てもらいつつ移動だから、これでもゆっくりめなのよね。

 景色を少し楽しんで旅館周りに戻ると、酒場が盛り上がってて、つい良いなぁって見ちゃう。
 飲みたい気持ちももちろんあるけど、あの雰囲気が好きなのよね。
 居酒屋でウェエエエェイ!って楽しいよね。

「ジュリアスさまがいない時はダメよぉ」
「そうだなぁ、あの人わりといじけるぜぇ」
 別にいじけたりはしないだろうけど、過保護だからね。

「いつかお祖母様みたいに冒険者になって動き回りたいなぁ」
「デリアさま?方向性が違いすぎねぇ?」
 えー、リーシャはお淑やかに見えるかもだけど、中身のメグミはお調子者でノリ命なんだけど。

「ん~?ジュリアスさまが冒険者になる未来もありっちゃありよねぇ」
 お義父さまやお祖父様みたいに早期隠居で自由になったらやれるよ。
 
「ま、そうなったらみんなで酒場行きましょうね☆」

 野営もしてダンジョンも入って、海賊王パーティみたいなのするのも良いね!
 
「そろそろ寝ないと明日に響くわねぇ」
「俺たちは三徹くらい平気だぞぉ」
「ジジィじゃ無いって言いたいんだろうけど、そう言うこと言うのがジジィなのよぉ」
 ルルゥとチェイスさんの歳の差は五歳くらいかなぁ。チェイスさんもう少しいってる?

「お前、そう言うこと言うけど後数年でガクッと変わるぞ!」
「そうだぜ!三十超えるとガクッと変わって四十五十とどんどんくるんだぜぇ」
 お祖父様もお義父さまもガクッとなってる感じはなさそうだけどね。

「ドリーさんやケビンに言ってみなさいよぉ」
「「やだよ!」」
 馬屋番のドリーさんも庭師のケビンさんもお義父さまと緊急事態の時に飛び出していける猛者なのに一応隠居してるから、ガクッと来たのかも?

「リーシャさまから見たらみんなおじさんですよ」
 ニーナがやり取りにめんどくさくなったのか冷たい声でぼそって言うとみんな私を見つめる。
 おじさんじゃ無いよとか言うべき?

 ジュリアスさまとルルゥは同じ歳で、アモンさんとチェイスさんの三十代も別に若いと思うよ。

「「「・・・・・・」」」

 まぁ、寝よう!ね!

 ニーナってば、ルークに似なくても良いんだよ?むしろ似ないでね。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...