545 / 710
二章
534話
しおりを挟む
食堂に入れば、マルコス男爵が立ち上がって迎え入れてくれる。
「さぁさぁお席の方に」
この席に呼ばれてるのは主要なメンツだけで騎士さんたち従者さんたちは別の部屋で用意されてるそうだ。
私たちが着席した後に王女さまたちとユエさまたちが入ってきて席に案内された。
『評判のグレーデンほどとはいきませんが我が領の新鮮な食材でご用意いたしました』
デイオン領は川周辺の水辺で育つもの、水辺に寄る生物が豊富なんだとか。
水鳥に水牛までは「やったぁ」と思ったんだけど、タニシや川海老、川藻、昆虫っって聞いて「うぉお」ってなったよ。
魔獣じゃない生き物が出てき始めたのは嬉しいけど。
『『デンデン』』
堅パンにタニシのソテーのハーブソース添えを前に王女さまたちが首を傾げる。
『あー、それはタニシ、種類が違って川の藻や草を主食としているので風味があって美味しいのです』
あ、マルコス男爵も通訳に執事さん投入した。カンペで対応できないのはお手上げだ。
『『ふむ』』
食べるタイミングもほぼ同じな双子の動き、初見のマルコス男爵たちが感動してる。
『デンデンとは歯応えが違うな』
エスカルゴとタニシ、違う食感らしい。
エスカルゴはサイ○くらいでしか食べたことないけど。
この世界に寄生虫の心配は無さげなのでほんとなんでも食べるな。
サラダは川周辺で育つ葉っぱ系にとろみのある川藻を使った感じだった。
ハーブが混じってるので味はあるけど、素材の味だよ。
『以前より渋みが減ってるですよ』
あ、えぐみとか渋みが王都に近くなるに従って強くなるんだった。でも確かに嫌って思うほどじゃない。
『『何か変化があったのか?』』
『特別なことはないと思うのですが川の水に透明感が出てきて川幅が広がり、以前より豊作になってるのです』
何もしてないのに豊作??
『ほう、調査をしたわけではないから確かではないが、他の地域でも地質が改善したりする現象が起きている。魔素が増えてきたのかもな』
ガルフ侯爵が「ふむふむ」と左手で顎を撫でながら言う。
『『魔素?』』
『魔素ですか?』
王女さまたちとユエさまが不思議そう。
『この大陸では生命の営みにはすべて魔素が必要不可欠なのです。我がレイドラアースは年々魔素が薄まりつつあったのですが多少改善傾向なのです』
これ、海外の人に話していいことなの?
『生物が生きるのに必要なものですか』
『食べ物を食べるのと同じことですよ。足りないなら足りないなりに生きてはいけます』
ゼロになったら死んじゃうけどね。
『『龍脈やチャクラのようなものか』』
おっと、アニメやオカルトの語録みたいなのきた。
『龍脈は地中のエネルギー、チャクラは体の中にあるエネルギーのようなものです』
ユエさまの説明にガルフ侯爵が首を傾げる。
『自然の力と生き物の力は別なのか』
『自然の力を取り入れて、さらに己の中に持つ力を引き出すと言う考え方です』
魔素、魔力と大差ないかな?
『興味深いですな、ぜひもっと詳しく語り合いたいものです』
『そうですね。私も魔素というものが生きるものにどう作用しているのか気になります』
王女さまたちは呆れ顔になった。
『『ユエ、夢中になると寝食を忘れるのだから今は好奇心を抑えよ』』
十二歳!!すごいぞ!貫禄が凄すぎるぞ。
『国の考え方の違いを教わるのは大事なことですよ』
と言いつつも、食事に集中することに。
スープは水鳥と野菜。塩味に若干のスパイス?
メインは水牛の炙り焼き。ハーブソースだったので塩味は免れた。
先行で出てた馬車にコックさん数名乗ってて、少しだけ調味料の扱いを伝授したらしい。
ルルゥがお手伝いに入るのかと思ってたけど、全部グレーデン家が関わっちゃうと、泊めてくれるお家に失礼だものね。
食後のデザートに食用花の砂糖漬けが出た。
セリウスさまとルルゥがちょっと遠い目をした。
お砂糖のお菓子はまだまだ高価なので奮発してるよ。
小ぶりの花なので食感もまだマシなやつ。
『『これは茶に溶かすのか?』』
あ、花茶と思われたか。あれ?花茶は湯で開くから違うか。
『砂糖漬けはそのまま食べます』
マルコス男爵がひとつまみ食べてみせる。
『『ほほう・・・うむ。甘くて・・・花だな』』
花以外の何物でもない。うん。
香りがふわって口に広がるからわりと好き。
『この辺りで食べるオヤツは花蜜くらいなのです。花から吸うか、集めた蜜を粉で混ぜて焼くか』
花を摘んでそのまま蜜をいただくやつ懐かしい!
『子供の頃は皆花も甘いのかとそのまま食べて、ハズレの花は苦いので泣きます』
ハズレの花、どれのことだろう。
『王都では菓子が増えたそうですが、我々にはこれが憧れの味ですな』
以前より買いやすくなったんだとか。
『『ナギは菓子は甘い豆ばかりじゃ、豆か花かと言われると迷うが花は香りも良いから幸せな気分になるな』』
わりと好評だった。ルルゥに目配せすると、ルルゥが執事さんに声をかけて裏に下がる。
執事さんがマルコス男爵に確認を取れば許可をくれたので侍女さんたちがお皿を運んでくる。
『お花が好きだということで花菓子を使ったデザートを』
お花の砂糖漬けを使ったパウンドケーキとクッキー。
ゼリーも良いけど、作り置きは王家用しかない。
『『ほう!』』
「「おおー」」
砂糖漬けが好きなら今後色々試してほしいからね。
「さぁさぁお席の方に」
この席に呼ばれてるのは主要なメンツだけで騎士さんたち従者さんたちは別の部屋で用意されてるそうだ。
私たちが着席した後に王女さまたちとユエさまたちが入ってきて席に案内された。
『評判のグレーデンほどとはいきませんが我が領の新鮮な食材でご用意いたしました』
デイオン領は川周辺の水辺で育つもの、水辺に寄る生物が豊富なんだとか。
水鳥に水牛までは「やったぁ」と思ったんだけど、タニシや川海老、川藻、昆虫っって聞いて「うぉお」ってなったよ。
魔獣じゃない生き物が出てき始めたのは嬉しいけど。
『『デンデン』』
堅パンにタニシのソテーのハーブソース添えを前に王女さまたちが首を傾げる。
『あー、それはタニシ、種類が違って川の藻や草を主食としているので風味があって美味しいのです』
あ、マルコス男爵も通訳に執事さん投入した。カンペで対応できないのはお手上げだ。
『『ふむ』』
食べるタイミングもほぼ同じな双子の動き、初見のマルコス男爵たちが感動してる。
『デンデンとは歯応えが違うな』
エスカルゴとタニシ、違う食感らしい。
エスカルゴはサイ○くらいでしか食べたことないけど。
この世界に寄生虫の心配は無さげなのでほんとなんでも食べるな。
サラダは川周辺で育つ葉っぱ系にとろみのある川藻を使った感じだった。
ハーブが混じってるので味はあるけど、素材の味だよ。
『以前より渋みが減ってるですよ』
あ、えぐみとか渋みが王都に近くなるに従って強くなるんだった。でも確かに嫌って思うほどじゃない。
『『何か変化があったのか?』』
『特別なことはないと思うのですが川の水に透明感が出てきて川幅が広がり、以前より豊作になってるのです』
何もしてないのに豊作??
『ほう、調査をしたわけではないから確かではないが、他の地域でも地質が改善したりする現象が起きている。魔素が増えてきたのかもな』
ガルフ侯爵が「ふむふむ」と左手で顎を撫でながら言う。
『『魔素?』』
『魔素ですか?』
王女さまたちとユエさまが不思議そう。
『この大陸では生命の営みにはすべて魔素が必要不可欠なのです。我がレイドラアースは年々魔素が薄まりつつあったのですが多少改善傾向なのです』
これ、海外の人に話していいことなの?
『生物が生きるのに必要なものですか』
『食べ物を食べるのと同じことですよ。足りないなら足りないなりに生きてはいけます』
ゼロになったら死んじゃうけどね。
『『龍脈やチャクラのようなものか』』
おっと、アニメやオカルトの語録みたいなのきた。
『龍脈は地中のエネルギー、チャクラは体の中にあるエネルギーのようなものです』
ユエさまの説明にガルフ侯爵が首を傾げる。
『自然の力と生き物の力は別なのか』
『自然の力を取り入れて、さらに己の中に持つ力を引き出すと言う考え方です』
魔素、魔力と大差ないかな?
『興味深いですな、ぜひもっと詳しく語り合いたいものです』
『そうですね。私も魔素というものが生きるものにどう作用しているのか気になります』
王女さまたちは呆れ顔になった。
『『ユエ、夢中になると寝食を忘れるのだから今は好奇心を抑えよ』』
十二歳!!すごいぞ!貫禄が凄すぎるぞ。
『国の考え方の違いを教わるのは大事なことですよ』
と言いつつも、食事に集中することに。
スープは水鳥と野菜。塩味に若干のスパイス?
メインは水牛の炙り焼き。ハーブソースだったので塩味は免れた。
先行で出てた馬車にコックさん数名乗ってて、少しだけ調味料の扱いを伝授したらしい。
ルルゥがお手伝いに入るのかと思ってたけど、全部グレーデン家が関わっちゃうと、泊めてくれるお家に失礼だものね。
食後のデザートに食用花の砂糖漬けが出た。
セリウスさまとルルゥがちょっと遠い目をした。
お砂糖のお菓子はまだまだ高価なので奮発してるよ。
小ぶりの花なので食感もまだマシなやつ。
『『これは茶に溶かすのか?』』
あ、花茶と思われたか。あれ?花茶は湯で開くから違うか。
『砂糖漬けはそのまま食べます』
マルコス男爵がひとつまみ食べてみせる。
『『ほほう・・・うむ。甘くて・・・花だな』』
花以外の何物でもない。うん。
香りがふわって口に広がるからわりと好き。
『この辺りで食べるオヤツは花蜜くらいなのです。花から吸うか、集めた蜜を粉で混ぜて焼くか』
花を摘んでそのまま蜜をいただくやつ懐かしい!
『子供の頃は皆花も甘いのかとそのまま食べて、ハズレの花は苦いので泣きます』
ハズレの花、どれのことだろう。
『王都では菓子が増えたそうですが、我々にはこれが憧れの味ですな』
以前より買いやすくなったんだとか。
『『ナギは菓子は甘い豆ばかりじゃ、豆か花かと言われると迷うが花は香りも良いから幸せな気分になるな』』
わりと好評だった。ルルゥに目配せすると、ルルゥが執事さんに声をかけて裏に下がる。
執事さんがマルコス男爵に確認を取れば許可をくれたので侍女さんたちがお皿を運んでくる。
『お花が好きだということで花菓子を使ったデザートを』
お花の砂糖漬けを使ったパウンドケーキとクッキー。
ゼリーも良いけど、作り置きは王家用しかない。
『『ほう!』』
「「おおー」」
砂糖漬けが好きなら今後色々試してほしいからね。
558
お気に入りに追加
1,792
あなたにおすすめの小説
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。
大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。
見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。
黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…?
対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。
愛なんてどこにもないと知っている
紫楼
恋愛
私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。
相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。
白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。
結局は追い出されて、家に帰された。
両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。
一年もしないうちに再婚を命じられた。
彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。
私は何も期待できないことを知っている。
彼は私を愛さない。
主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。
作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。
誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。
他サイトにも載せています。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?
朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!
「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」
王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。
不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。
もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた?
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる