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二章
534話
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食堂に入れば、マルコス男爵が立ち上がって迎え入れてくれる。
「さぁさぁお席の方に」
この席に呼ばれてるのは主要なメンツだけで騎士さんたち従者さんたちは別の部屋で用意されてるそうだ。
私たちが着席した後に王女さまたちとユエさまたちが入ってきて席に案内された。
『評判のグレーデンほどとはいきませんが我が領の新鮮な食材でご用意いたしました』
デイオン領は川周辺の水辺で育つもの、水辺に寄る生物が豊富なんだとか。
水鳥に水牛までは「やったぁ」と思ったんだけど、タニシや川海老、川藻、昆虫っって聞いて「うぉお」ってなったよ。
魔獣じゃない生き物が出てき始めたのは嬉しいけど。
『『デンデン』』
堅パンにタニシのソテーのハーブソース添えを前に王女さまたちが首を傾げる。
『あー、それはタニシ、種類が違って川の藻や草を主食としているので風味があって美味しいのです』
あ、マルコス男爵も通訳に執事さん投入した。カンペで対応できないのはお手上げだ。
『『ふむ』』
食べるタイミングもほぼ同じな双子の動き、初見のマルコス男爵たちが感動してる。
『デンデンとは歯応えが違うな』
エスカルゴとタニシ、違う食感らしい。
エスカルゴはサイ○くらいでしか食べたことないけど。
この世界に寄生虫の心配は無さげなのでほんとなんでも食べるな。
サラダは川周辺で育つ葉っぱ系にとろみのある川藻を使った感じだった。
ハーブが混じってるので味はあるけど、素材の味だよ。
『以前より渋みが減ってるですよ』
あ、えぐみとか渋みが王都に近くなるに従って強くなるんだった。でも確かに嫌って思うほどじゃない。
『『何か変化があったのか?』』
『特別なことはないと思うのですが川の水に透明感が出てきて川幅が広がり、以前より豊作になってるのです』
何もしてないのに豊作??
『ほう、調査をしたわけではないから確かではないが、他の地域でも地質が改善したりする現象が起きている。魔素が増えてきたのかもな』
ガルフ侯爵が「ふむふむ」と左手で顎を撫でながら言う。
『『魔素?』』
『魔素ですか?』
王女さまたちとユエさまが不思議そう。
『この大陸では生命の営みにはすべて魔素が必要不可欠なのです。我がレイドラアースは年々魔素が薄まりつつあったのですが多少改善傾向なのです』
これ、海外の人に話していいことなの?
『生物が生きるのに必要なものですか』
『食べ物を食べるのと同じことですよ。足りないなら足りないなりに生きてはいけます』
ゼロになったら死んじゃうけどね。
『『龍脈やチャクラのようなものか』』
おっと、アニメやオカルトの語録みたいなのきた。
『龍脈は地中のエネルギー、チャクラは体の中にあるエネルギーのようなものです』
ユエさまの説明にガルフ侯爵が首を傾げる。
『自然の力と生き物の力は別なのか』
『自然の力を取り入れて、さらに己の中に持つ力を引き出すと言う考え方です』
魔素、魔力と大差ないかな?
『興味深いですな、ぜひもっと詳しく語り合いたいものです』
『そうですね。私も魔素というものが生きるものにどう作用しているのか気になります』
王女さまたちは呆れ顔になった。
『『ユエ、夢中になると寝食を忘れるのだから今は好奇心を抑えよ』』
十二歳!!すごいぞ!貫禄が凄すぎるぞ。
『国の考え方の違いを教わるのは大事なことですよ』
と言いつつも、食事に集中することに。
スープは水鳥と野菜。塩味に若干のスパイス?
メインは水牛の炙り焼き。ハーブソースだったので塩味は免れた。
先行で出てた馬車にコックさん数名乗ってて、少しだけ調味料の扱いを伝授したらしい。
ルルゥがお手伝いに入るのかと思ってたけど、全部グレーデン家が関わっちゃうと、泊めてくれるお家に失礼だものね。
食後のデザートに食用花の砂糖漬けが出た。
セリウスさまとルルゥがちょっと遠い目をした。
お砂糖のお菓子はまだまだ高価なので奮発してるよ。
小ぶりの花なので食感もまだマシなやつ。
『『これは茶に溶かすのか?』』
あ、花茶と思われたか。あれ?花茶は湯で開くから違うか。
『砂糖漬けはそのまま食べます』
マルコス男爵がひとつまみ食べてみせる。
『『ほほう・・・うむ。甘くて・・・花だな』』
花以外の何物でもない。うん。
香りがふわって口に広がるからわりと好き。
『この辺りで食べるオヤツは花蜜くらいなのです。花から吸うか、集めた蜜を粉で混ぜて焼くか』
花を摘んでそのまま蜜をいただくやつ懐かしい!
『子供の頃は皆花も甘いのかとそのまま食べて、ハズレの花は苦いので泣きます』
ハズレの花、どれのことだろう。
『王都では菓子が増えたそうですが、我々にはこれが憧れの味ですな』
以前より買いやすくなったんだとか。
『『ナギは菓子は甘い豆ばかりじゃ、豆か花かと言われると迷うが花は香りも良いから幸せな気分になるな』』
わりと好評だった。ルルゥに目配せすると、ルルゥが執事さんに声をかけて裏に下がる。
執事さんがマルコス男爵に確認を取れば許可をくれたので侍女さんたちがお皿を運んでくる。
『お花が好きだということで花菓子を使ったデザートを』
お花の砂糖漬けを使ったパウンドケーキとクッキー。
ゼリーも良いけど、作り置きは王家用しかない。
『『ほう!』』
「「おおー」」
砂糖漬けが好きなら今後色々試してほしいからね。
「さぁさぁお席の方に」
この席に呼ばれてるのは主要なメンツだけで騎士さんたち従者さんたちは別の部屋で用意されてるそうだ。
私たちが着席した後に王女さまたちとユエさまたちが入ってきて席に案内された。
『評判のグレーデンほどとはいきませんが我が領の新鮮な食材でご用意いたしました』
デイオン領は川周辺の水辺で育つもの、水辺に寄る生物が豊富なんだとか。
水鳥に水牛までは「やったぁ」と思ったんだけど、タニシや川海老、川藻、昆虫っって聞いて「うぉお」ってなったよ。
魔獣じゃない生き物が出てき始めたのは嬉しいけど。
『『デンデン』』
堅パンにタニシのソテーのハーブソース添えを前に王女さまたちが首を傾げる。
『あー、それはタニシ、種類が違って川の藻や草を主食としているので風味があって美味しいのです』
あ、マルコス男爵も通訳に執事さん投入した。カンペで対応できないのはお手上げだ。
『『ふむ』』
食べるタイミングもほぼ同じな双子の動き、初見のマルコス男爵たちが感動してる。
『デンデンとは歯応えが違うな』
エスカルゴとタニシ、違う食感らしい。
エスカルゴはサイ○くらいでしか食べたことないけど。
この世界に寄生虫の心配は無さげなのでほんとなんでも食べるな。
サラダは川周辺で育つ葉っぱ系にとろみのある川藻を使った感じだった。
ハーブが混じってるので味はあるけど、素材の味だよ。
『以前より渋みが減ってるですよ』
あ、えぐみとか渋みが王都に近くなるに従って強くなるんだった。でも確かに嫌って思うほどじゃない。
『『何か変化があったのか?』』
『特別なことはないと思うのですが川の水に透明感が出てきて川幅が広がり、以前より豊作になってるのです』
何もしてないのに豊作??
『ほう、調査をしたわけではないから確かではないが、他の地域でも地質が改善したりする現象が起きている。魔素が増えてきたのかもな』
ガルフ侯爵が「ふむふむ」と左手で顎を撫でながら言う。
『『魔素?』』
『魔素ですか?』
王女さまたちとユエさまが不思議そう。
『この大陸では生命の営みにはすべて魔素が必要不可欠なのです。我がレイドラアースは年々魔素が薄まりつつあったのですが多少改善傾向なのです』
これ、海外の人に話していいことなの?
『生物が生きるのに必要なものですか』
『食べ物を食べるのと同じことですよ。足りないなら足りないなりに生きてはいけます』
ゼロになったら死んじゃうけどね。
『『龍脈やチャクラのようなものか』』
おっと、アニメやオカルトの語録みたいなのきた。
『龍脈は地中のエネルギー、チャクラは体の中にあるエネルギーのようなものです』
ユエさまの説明にガルフ侯爵が首を傾げる。
『自然の力と生き物の力は別なのか』
『自然の力を取り入れて、さらに己の中に持つ力を引き出すと言う考え方です』
魔素、魔力と大差ないかな?
『興味深いですな、ぜひもっと詳しく語り合いたいものです』
『そうですね。私も魔素というものが生きるものにどう作用しているのか気になります』
王女さまたちは呆れ顔になった。
『『ユエ、夢中になると寝食を忘れるのだから今は好奇心を抑えよ』』
十二歳!!すごいぞ!貫禄が凄すぎるぞ。
『国の考え方の違いを教わるのは大事なことですよ』
と言いつつも、食事に集中することに。
スープは水鳥と野菜。塩味に若干のスパイス?
メインは水牛の炙り焼き。ハーブソースだったので塩味は免れた。
先行で出てた馬車にコックさん数名乗ってて、少しだけ調味料の扱いを伝授したらしい。
ルルゥがお手伝いに入るのかと思ってたけど、全部グレーデン家が関わっちゃうと、泊めてくれるお家に失礼だものね。
食後のデザートに食用花の砂糖漬けが出た。
セリウスさまとルルゥがちょっと遠い目をした。
お砂糖のお菓子はまだまだ高価なので奮発してるよ。
小ぶりの花なので食感もまだマシなやつ。
『『これは茶に溶かすのか?』』
あ、花茶と思われたか。あれ?花茶は湯で開くから違うか。
『砂糖漬けはそのまま食べます』
マルコス男爵がひとつまみ食べてみせる。
『『ほほう・・・うむ。甘くて・・・花だな』』
花以外の何物でもない。うん。
香りがふわって口に広がるからわりと好き。
『この辺りで食べるオヤツは花蜜くらいなのです。花から吸うか、集めた蜜を粉で混ぜて焼くか』
花を摘んでそのまま蜜をいただくやつ懐かしい!
『子供の頃は皆花も甘いのかとそのまま食べて、ハズレの花は苦いので泣きます』
ハズレの花、どれのことだろう。
『王都では菓子が増えたそうですが、我々にはこれが憧れの味ですな』
以前より買いやすくなったんだとか。
『『ナギは菓子は甘い豆ばかりじゃ、豆か花かと言われると迷うが花は香りも良いから幸せな気分になるな』』
わりと好評だった。ルルゥに目配せすると、ルルゥが執事さんに声をかけて裏に下がる。
執事さんがマルコス男爵に確認を取れば許可をくれたので侍女さんたちがお皿を運んでくる。
『お花が好きだということで花菓子を使ったデザートを』
お花の砂糖漬けを使ったパウンドケーキとクッキー。
ゼリーも良いけど、作り置きは王家用しかない。
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