ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

526話

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 うーん、王女さまお二人が子爵家の子供たちとピザをこねて、具をまぶして、騎士さんや使用人さんたちに振る舞ってる。
 なんて言うかね。
 グレーデンの人たちはさ、どこぞの王様で慣れてるの、でもここ子爵の人たちはもう笑顔を固定したまま気絶しちゃうくらいの事態じゃない。
 なのでセリウスさまとガルフ侯爵に「行け」みたいな感じで一緒に振る舞う側に入ってもらって、王女さまインパクトを薄めて貰おうと思ったんだけど、カオスだよね。

『はいはーい!美味しいものの前では皆平等ですよー!今しか食べられないから早い者勝ちー!遠慮してたら無くなりますよー』
 私はユエさまの反応を目で確認して、大丈夫そうって判断して大声出した。

「気にしすぎる方が失礼ですよー!」
 公用語がわからない人たちに向けても一言。

 ちゃっかり食べてたチェイスさんとアモンさんに焼き上がったピザを配ってもらう。

 目の前にでてこれば、匂いに負けちゃうよね。

 王女さまたち、次は丸焼肉を回しに行った。

『『肉はこうして焼いておったのか』』

 調理過程を初めて見たんだとは思うけど、王女さまたちは何もかもが楽しそうで、子爵家の子供達と普通にはしゃいで飛び回ってる。

 ユエさまは最初のうちはちょっと微妙な反応してたけど、途中からは優しい眼差しで見てた。
 リンさんは王女さま二人の後ろに控えながらちゃっかり食べてる。器用だ。

「こちらの分はほとんどグレーデン家から出た食材と聞きましたが良いのでしょうか?」
 デイオン子爵がこそっと聞いてきた。
「ええ、うちの騎士たちは多分普通の数倍は軽く食べますので人数が多少増えても誤差ですから」
 本当に。途中でちゃっかり討伐もしてるし。
 兵糧だったあの硬くてまずい棒と干し肉だったと言っていた時代はずっとお腹空かせてたんじゃと思うと切ないよ。マッチョが腹ペコはダメ。討伐したお肉はおやつにしてたんだろうけどね。

「この食べっぷりで誤差・・・」
 めっちゃ引いてる。お義母さまの食欲を見たらどうなっちゃうのか。

「いや~、でも食べたくなるのはよくわかります。本当に食に対する欲が沸いてくるような幸せを感じる味付けで」

 明日からの食事が悲しくなったら気の毒なのでルルゥに多少伝授してあげるように伝えよう。
 近隣の領には優しく。派閥が違っても助け合いしないとね。

「子供たちがあんなに楽しそうで良かったです」
 ご長男の奥さまユーリエさまが手元にちゃんとお肉を確保してお礼に来た。
「私、公用語が少ししかできないので接待に混ざれません。ごめんなさいね」
 まぁ、外国とのお付き合いが少ないと忘れちゃうだろうし、仕方ないね。

「子供たちは同じ年頃の子供が周りにいなくて、あんなに笑ってくれるのは久しぶりです」
 あらら、デイオンも子供が少ないのか。

「殿下方は年下の子供にもあんなに気軽にしてくださって」
 十歳以下の子達を同じ目線で接して笑ってくれるのは嬉しいことだね。
 
「ナギ国との友好が叶った時は私もアッガスにお手伝いにあがりますね」!言葉も学び直します」
 友好はほぼ決定なので嬉しい申し出。
 
「マデリーさまに伝えますね」
「麗しの騎士さまですね!アンゼリカさまとマデリーさまは私たちの世代の憧れの君ですのよ。今回アンゼリカさまとお会いできて幸せです」
 う?アンゼリカさまは子供の頃からあんな感じだったと聞いてたけどマデリーさまもか。
 ジュリアスさまたちは辺境出の野蛮な大男扱いだったのに、女騎士は憧れなのか。
 
「王国騎士団とグレーデン騎士団の演習の時などは学生の身で参加されるお二人を、友人みんなで応援に行ったものです」
 おーぅ!おとなしげな奥様がお目目キラキラだ。このチャンス逃すまいって感じかな。
 って、その演習、多分ジュリアスさまやルークもいたよね。アウトオブ眼中?

 ちなみにユーリエさまはアンゼリカさまたちの二年上だそう。

「観劇を観に行くより麗しい女性の剣技は人気でしたのよ」
 なんだ。あれか。男装の麗人の方が好きな方の人たちなタイプか。

「はぁ、今は参加されませんのよね。と言ってもそうそう王都まで行けませんけど」
 お肉を食べながら熱弁なユーリエ様はかなり面白い。

 そういえば、アンゼリカさまったらどこ言ったんだ。庭に出てから見てない。

『リーシャ、キッチン馬車でルーデウスが呼んでる』
 セリウスさまが呼びに来た。
「ユーリエ夫人、お話中失礼」
「いいえ」
 あら、ちょっと頬を染めた。女騎士推しってだけでもないのね。

 少し離れてからセリウスさまがこそっと耳打ち。顔近っ。

「あの夫人はいいんだがその友人がアンゼリカの強烈なファンだからそれなりの距離を保ってくれ」
 あらら。友人の方はアンゼリカさま的ブラックリスト扱いだけど、その周りは忘れてたそうで、顔見てうっすら思い出したアンゼリカさまはなるべく離れてることにしたらしい。
 強烈なファンって思われるほど何かしたんだろうか。

 人気のある人は大変だね。

 ルルゥが呼んでるのは本当で、キッチン馬車に積んでたお肉が切れたので追加して欲しいって。
 キッチン馬車のマジックボックス、結構入ってたのにどんだけ食べたの。
 まだ一泊しただけなのに。




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