ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

522話

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 デイオン邸は、大きめの洋館だ。
 ただ部屋数はグレーデンやアッガスほど、多くないので騎士たちは庭に天幕になる。
 交代で警備に起きてなくちゃなので人数の半分程度の準備で済む。

 デイオン家の家族と従者さんたちが出迎えで並んでる。

『『今宵は世話になる』』
 王女さまたちが挨拶をするとデイオン夫人が緊張でプルプルしながら挨拶を返す。

『我がデイオンにお立ち寄り頂き、光栄です。何かとご不便をおかけするかもしれませんがお寛ぎいただけると幸いです』
 
 隣に立っているのはご長男とご次男かな。

 王女さまたちとユエさまが言葉をかけて少し話して中に案内されていく。

「グレーデン辺境伯夫人、此度は我がデイオン領にお立ち寄り頂き、感謝します」
「いいえ、大所帯で準備が大変でしたでしょう。殿下方は気さくなお方たちなのであまり気負わず接して頂けると喜んでくださいますよ」

 デイオン卿が心なしかホッとしたみたい。
 グレーデン含めて王都から遠いから高位貴族とそうそう接する機会ないよね。
 王様はフッ軽だけど、ほぼ転移陣で移動だろうからここには来ないはず。
 
 デイオン子爵とセリウスさまが警備の再確認をして。

 騎士さんたちとナギの従者さんの大半は外でバーベキューすることになってる。
 さすがにこれだけの人数分の食糧を負担させるのは各領の備蓄食糧的に厳しいと判断されているので、立ち寄る先々では、主賓である王女さまたちとユエさまたち側近は歓待を受けるけど、騎士さんたちや従者さんたちはグレーデンからと王家から食糧を出す。
 軽く一季節分は食べそうな騎士さんたちがやってきたらビビるよね。

 道中、王女さまたち(私もね)の乗る馬車隊に影響がない範囲で、獲物がいたら狩ってる。オヤツ追加って感じだ。

「これだけの人数をお迎えするのは初めてです」
 これでも半分は別ルートで移動してるんだー。ほんと大所帯。

 アホ役人たちの護衛は予算取りたいくらいだろうなぁ。来なくていいレベルだったんだし。国庫に負担も国民が可哀想だし、取れないかな。仕方なし。

「こちらは野営も遠征も慣れていることなのでお気になさらず」
 セリウスさまに言われるとデイオン一家が多少顔色が良くなった。
 失礼とか申し訳ないとか思っちゃってたみたい。そのお気持ちがあるだけで嬉しい。
 嫌な感じの人たちならそれが当たり前って平然としてそうだもの。

「この整備された庭で肉など焼くのは申し訳ないくらいですよ」
 あ、セリウスさまってちゃんとお話しできるのね。語尾が伸びない!

「あの・・・図々しいお願いなのですが、騎士さまたちの夕食の場に孫たちも混ぜていただけないでしょうか?」
「お孫さま?」
「ええ、商人からグレーデンの宴会の様子を聞いて憧れを持っているようで」
 ほほう!丸焼肉とかピザとかかな。
「ですが私たちも夕食は食堂に行きますので、本当に騎士たちだけがお相手することのなりますが」
 そこね。王女さまたちと夫人である私とグレーデン騎士団代表代行のセリウスさまは、一応もてなされる側なので。

「孫たちは騎士や商人になれておりますので、執事と侍女をつければ心配いりません」
 いちおうお目付役がいるならいいかな。
 チェイスさんとアモンさんに見てて貰えばいいか。

「では火元には近付かず危ないことはしないようにだけ言い聞かせてくださいませ」
 
 鉄板とか触ったりしたら大変。ポーションはあるけど、怪我はしないに越したことはない。

「ありがとうございます」
 
 どうも接待がなかったらみんな参加したかったんだろうな。
 バーベキューがご近隣に噂になってるとは。

 私たちも一旦、お部屋に案内してもらって、一息付く。

「ニーナ、着替えは楽なのがいいな」
 少しだけ荷解きしていたニーナに声をかけるとニーナはスゥっと笑顔になった。

「まだ辺境よりなので構いませんが王都近くになったら、周りの目が厳しくなりますからきちんとしてくださいね」
 おおぅ。私のニーナがルークに似てきた。ショックだ。

「デイオン領はキノコと川魚が美味しいそうです」
 今夜はキノコと川魚かな。海の幸を堪能してるので魚欲は満たされてるけど、キノコは嬉しいかも。

「時間があるときなら鉱山の見学も良かったんですが」
「鉱山?」
「洞窟の奥に入ると一面鉱石で煌めいてるそうです」
 おおー!
「その石の価値は高くはないそうですが多く採れる他の石は魔素を多く含んでいて高価なのだそうです」

 ニーナ、しっかり勉強してきたのね。私、一晩だからちょっとしか調べてなかった。反省。

「別の機会に見せていただきましょう」
 他の場所に行って帰り道とかなら寄れる範囲だろう。

 窓の外を覗くと多くの天幕が組み上がってた。
 あとバーベキューセットも。
 さすがにキャンプファイヤーは無理だ。

 キッチン馬車もでてる。

 ルルゥは道中は接待役のお家に任せるからコックさんとして厨房に入らないので、賄いの方を手伝ってる。

 うーん。みんな楽しそう。

「リーシャさま、デイオン子爵夫人がお話ししたいとお見えです」

 ノックされたのをニーナが対応してくれた。

「お疲れのところ申し訳けありません」

 夫人がカーテシーしてくれたので私もお返しのカーテシー。
 
「いかがなさいましたか?」

 私はデイオン家なのにデイオン夫人にお座りくださいというのは変よねーと思いつつ、座ってもらうよう促した。



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