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二章
521話
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ナギにも魔道具はそれなりにあるけど、火おこし、照明など日常用か、結界用など大掛かりかって感じで便利道具ではないそうだ。
『馬車には重さを軽減と浮上の付与魔法を使っています』
『『そんなに簡単に教えて良いのか??』』
王女さまたちがびっくり。
『魔法式は単純ですが付与魔法は特殊なのでしったからといってすぐ作れるものでもないので』
別に真似されても良いし。だってナギの分まで作るってなったら、魔導師足りないから。
『『付与・・・我が国にもあまりいないな。だが揺れない馬車は欲しい。魔道具には権利がついておるだろう?ユエに言って権利を買ってもらおう』』
付与プレートを作って贈っても良いけどスプリングとかあるからギルドで契約とかのが良いかなぁ。
勝手に決めないで後でセリウスさまに聞いてみよう。
窓も外を見れば、セリウスさまとユエさまが並列で馬を進めてる。
実は馬車もわりとスピード出てるんだけど、涼しい顔で乗ってる乗ってるの。ユエさまって魔馬に乗ってると小さく見えるんだけど普通に乗りこなしてる。
『ナギにも魔馬がいますか?』
『『ここのような大きさではないが飼い慣らしている魔馬はいるよ』』
魔馬も色々種類がいるけど、グレーデン育ちは環境のせいでより逞しい。
『魔馬とこの馬車で予定より早く動けているのです』
『『そうであろうな。景色の流れが早い』』
十二歳なのに反応が渋い。大人だよぅ。私が子供っぽすぎる。
『ファリン殿下、ルアラン殿下、リーシャさま、馬車が停車します』
お。境界に着いたかな。
『シーズ伯爵とデイオン子爵と担当が変わりますので顔見せをいたします』
デイオン子爵はエリューン侯爵の寄子だそう。エリューン領は少し右に逸れるので立ち寄らない。
ルルゥが先に降りて、私、ファリン殿下、ルアラン殿下を降ろしてくれる。
王女さまたちにはスッとユエ様がついて、レオルカさまとデイオン子爵が近づいてきて膝をつく。
『ファリン殿下、ルアラン殿下、このレオルカ・シーズ、お二人を送る栄誉をいただき感謝します。無事のお戻りをお待ちしております』
『『シーズ伯爵、そして皆の者、大義であった。心遣いに感謝する。また会おうぞ』』
可愛らしい双子の王女さまが後ろに控えるレオルカさまの部隊の騎士たちにも労を労ってくれた。
『・・・ナギ国より遥々のお出まし、私はこのような機会を頂き、感謝の・・・気持ち?でいっぱいです。あ、私はここデイオンを預かり、ております。シェイブ・デイオンにご、じゃい』
すっごく頑張って公用語を復習したんだなって感じでちょっと可愛いおじさんだな。
『私の屋敷にお迎えできて・・・できますて?とても光栄です』
王女さまたちが鷹揚に頷いてくれる中、ナギの従者たちが微妙にプルってる人とあー・・・って感じの人で別れた。今夜のデイオン家での対応が予想できたからかな。
『『デイオン、出迎えに感謝するぞ。今夜は世話になる。』』
簡単な挨拶だけど、家令らしき人が通訳してる。
任せきりにせず、自分で挨拶しただけでも好感度が上がる気がするのは、あのダメ役人たちのイメージが強いからかも。
必死の挨拶が済んでホッとした顔をしてるけど、明日まで緊張感はもっててね。
普通のおじさんだけど、なんか可愛い。
この世界で普通のおじさんに出会うのって初めてかも!
レオルカさまたちに見送られ、再び馬車に乗る。
デイオン子爵の私兵が先導してくれる。
デイオン領はアッガス領の隣で、グレーデン領の隣よりは危険度が低い。
ただ前アッガス領主が何もしなかったせいで魔獣はそれなりにデイオンにも流れてたそうでデイオンの騎士団はまぁまぁな強さなんだとか。
前アッガス領主め。よそさまに迷惑かけちゃいけません。
一時間ほど進む間、窓の外は、グレーデンよりは荒地がなく、それなりに民家が見える暮らしやすそうな感じだ。
『デイオン子爵は良くも悪くも事勿れだが、民には信頼されている悪くない領主です』
ルルゥが教えてくれる。
『『我が国ではあんな雰囲気の中年はタヌキなことが多いな』』
中年とタヌキって言うワードはびっくり。
『はは、我が国ではそれなりの身綺麗な中年の方がタヌキなことが多いですよ』
うーん。イダルンダのような残念な中年は他に見てないけど、実際は高位貴族のハーボット筆頭に腹黒かったわけで。
『太っている中年が少ないのは食に興味がないことが多かったからですよ』
今と違って、と呟かれた。
『『こちらにきて美味しい物ばかりなのに食に興味がないものなのか?』』
『料理が格段に美味しくなったのはここ一年です』
いやー?ルルゥはそれなりにアレンジしてたから、グレーデンではもう少し前からでしょ。
料理を褒められてルルゥが嬉しそう。
『それでも女性はカステラや砂糖菓子をよく食べてますから男性に比べて体型維持の苦労はしてるようですよ』
砂糖コーティングのカステラ!美味しいけど、糖分過多。
『『甘いものは万国共通か』』
ルルゥと楽しそうに会話が弾んてる。オトメンなルルゥは十二歳のレディたちも話やすいようだ。
そうして、デイオン子爵家に到着した。
『馬車には重さを軽減と浮上の付与魔法を使っています』
『『そんなに簡単に教えて良いのか??』』
王女さまたちがびっくり。
『魔法式は単純ですが付与魔法は特殊なのでしったからといってすぐ作れるものでもないので』
別に真似されても良いし。だってナギの分まで作るってなったら、魔導師足りないから。
『『付与・・・我が国にもあまりいないな。だが揺れない馬車は欲しい。魔道具には権利がついておるだろう?ユエに言って権利を買ってもらおう』』
付与プレートを作って贈っても良いけどスプリングとかあるからギルドで契約とかのが良いかなぁ。
勝手に決めないで後でセリウスさまに聞いてみよう。
窓も外を見れば、セリウスさまとユエさまが並列で馬を進めてる。
実は馬車もわりとスピード出てるんだけど、涼しい顔で乗ってる乗ってるの。ユエさまって魔馬に乗ってると小さく見えるんだけど普通に乗りこなしてる。
『ナギにも魔馬がいますか?』
『『ここのような大きさではないが飼い慣らしている魔馬はいるよ』』
魔馬も色々種類がいるけど、グレーデン育ちは環境のせいでより逞しい。
『魔馬とこの馬車で予定より早く動けているのです』
『『そうであろうな。景色の流れが早い』』
十二歳なのに反応が渋い。大人だよぅ。私が子供っぽすぎる。
『ファリン殿下、ルアラン殿下、リーシャさま、馬車が停車します』
お。境界に着いたかな。
『シーズ伯爵とデイオン子爵と担当が変わりますので顔見せをいたします』
デイオン子爵はエリューン侯爵の寄子だそう。エリューン領は少し右に逸れるので立ち寄らない。
ルルゥが先に降りて、私、ファリン殿下、ルアラン殿下を降ろしてくれる。
王女さまたちにはスッとユエ様がついて、レオルカさまとデイオン子爵が近づいてきて膝をつく。
『ファリン殿下、ルアラン殿下、このレオルカ・シーズ、お二人を送る栄誉をいただき感謝します。無事のお戻りをお待ちしております』
『『シーズ伯爵、そして皆の者、大義であった。心遣いに感謝する。また会おうぞ』』
可愛らしい双子の王女さまが後ろに控えるレオルカさまの部隊の騎士たちにも労を労ってくれた。
『・・・ナギ国より遥々のお出まし、私はこのような機会を頂き、感謝の・・・気持ち?でいっぱいです。あ、私はここデイオンを預かり、ております。シェイブ・デイオンにご、じゃい』
すっごく頑張って公用語を復習したんだなって感じでちょっと可愛いおじさんだな。
『私の屋敷にお迎えできて・・・できますて?とても光栄です』
王女さまたちが鷹揚に頷いてくれる中、ナギの従者たちが微妙にプルってる人とあー・・・って感じの人で別れた。今夜のデイオン家での対応が予想できたからかな。
『『デイオン、出迎えに感謝するぞ。今夜は世話になる。』』
簡単な挨拶だけど、家令らしき人が通訳してる。
任せきりにせず、自分で挨拶しただけでも好感度が上がる気がするのは、あのダメ役人たちのイメージが強いからかも。
必死の挨拶が済んでホッとした顔をしてるけど、明日まで緊張感はもっててね。
普通のおじさんだけど、なんか可愛い。
この世界で普通のおじさんに出会うのって初めてかも!
レオルカさまたちに見送られ、再び馬車に乗る。
デイオン子爵の私兵が先導してくれる。
デイオン領はアッガス領の隣で、グレーデン領の隣よりは危険度が低い。
ただ前アッガス領主が何もしなかったせいで魔獣はそれなりにデイオンにも流れてたそうでデイオンの騎士団はまぁまぁな強さなんだとか。
前アッガス領主め。よそさまに迷惑かけちゃいけません。
一時間ほど進む間、窓の外は、グレーデンよりは荒地がなく、それなりに民家が見える暮らしやすそうな感じだ。
『デイオン子爵は良くも悪くも事勿れだが、民には信頼されている悪くない領主です』
ルルゥが教えてくれる。
『『我が国ではあんな雰囲気の中年はタヌキなことが多いな』』
中年とタヌキって言うワードはびっくり。
『はは、我が国ではそれなりの身綺麗な中年の方がタヌキなことが多いですよ』
うーん。イダルンダのような残念な中年は他に見てないけど、実際は高位貴族のハーボット筆頭に腹黒かったわけで。
『太っている中年が少ないのは食に興味がないことが多かったからですよ』
今と違って、と呟かれた。
『『こちらにきて美味しい物ばかりなのに食に興味がないものなのか?』』
『料理が格段に美味しくなったのはここ一年です』
いやー?ルルゥはそれなりにアレンジしてたから、グレーデンではもう少し前からでしょ。
料理を褒められてルルゥが嬉しそう。
『それでも女性はカステラや砂糖菓子をよく食べてますから男性に比べて体型維持の苦労はしてるようですよ』
砂糖コーティングのカステラ!美味しいけど、糖分過多。
『『甘いものは万国共通か』』
ルルゥと楽しそうに会話が弾んてる。オトメンなルルゥは十二歳のレディたちも話やすいようだ。
そうして、デイオン子爵家に到着した。
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