ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

520話

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 シーズ邸の玄関から門前にたくさんの馬車と馬が並んでて圧巻だ~。

 騎士さんもいっぱいだけど、見送りにアッガスに残る船員さん、従者の皆さんもきている。

 異国の人がたくさんいる。デレードの時はキンキラキンで露出多めでナギは露出は少ない。髪が黒い人が多いのがなんかちょっと懐かしい。
 カラーしてる人も多かったけどやっぱ黒髪がさ。

 
 ちょっと遠くの方に大きいナギの船が整列して上に向かって砲弾上げてるよ。
 うっかりロックバードとか落ちてくるから気をつけてね。

『『待たせたか?』』
『いいえ、ちょうど準備が整ったところです』

 王女さまたちは普通にふんわりスカートなドレス。
 薄手のシフォンみたいな生地をたくさん重ねてるから重くはないんだろう。

 王族じゃなかったら、一緒のチュニックとカーゴでくつろぎたいところだ。

 馬車の周りには近づけないけれど、比較的に地位の高い従者や船員が庭内で待機お見送りだ。

『『アッガスの。私たちの船の者たちがしばらく残るがよろしく頼むよ。そして我がナギの者たちよ。アッガスの民に迷惑をかけず、互いに向上出来るような付き合いをするように。船の留守を頼む』』

 王女さまたちが手を振るとみんな恐れ多くって感じで頭を下げる。

『ご無事のお戻りを』
「またお越しくださるのをお待ちしてます」

 公用語で話せない者からの声も、笑顔で受けて手を振ってくれた。


 まずはユエさまが王女さまたちを馬車にエスコートして。

『馬車の中ではしゃぎすぎないようにお願いしますよ』

 ユエさまは、ルークみたいな感じなのね。尻叩き系の。

『『ずっと横に張り付いておるんだろう?何もできる気がせぬわ』』

 嫌そうに答える。付き合いがあるからこその塩対応なんだろう。

『リーシャ夫人、フラウ卿、何かありましたらすぐお知らせください。わがままは聞かなくて結構ですので』

 相変わらず目線がどこかわからない。口元笑ってるけど、どうなんだろうなぁ。

 私の横についてるルルゥのことは「ルーデウス・フラウ」で紹介してある。畏まった相手に「ルルゥです」はさすがになかった。

 侯爵令息で現在は騎士爵って、身分を明かしてるの。普段は侯爵家のこと言いたがらないけど。
 身分は邪魔だけど役には立つのよねぇって。
 必要とあれば伯爵にはすぐなれるそうだ。親が爵位三つくらい保持してるんだって。あるとこにはあるね。

 私たちも馬車に乗り込んで、レオルカさま、セリウスさまやアンゼリカさま、ユエさまたちが馬に乗って姿勢を正すとラッパがなった。
 出立の合図だ。


 窓からお義母さまやマデリーさまにバイバイのお手振り。
 王女さまたちも従者や船員たちに。

 しばらく道なりに進んでお見送りの領民が見えなくなってきた。

『『これはこの先々で泊まるたびにやるのか?』』
 ありがたいけれどめんどくさい、その気持ちはよくわかります。

『街の規模によりますけど、隊が分かれて行くのでここまでのお見送りは王都から出る時ではないかと』
 ルルゥの公用語はオネェじゃなかった。なんとなく残念。
 
『『歓迎はありがたいが大仰なのはな。私たちは王族と言っても末席。ナギでは適当な扱いよ。いずれ降嫁するからな。それなりで良いのよ』』

 末席でも外交で来てくださってるので賓客の中でも上の方だってば。

『ごきょうだいが多いというのは親戚も多いのですよね?』
『『陛下と王太子が妻を十人まで持てる。その下は三人だ。父方はもう多すぎて名前と顔を一致するのは面倒だ』』

 王子でも三人も!子供増えすぎ問題とかないのかしら。

『高位貴族は第二夫人を持てる。昔は子供が育ちにくかったそうでその名残で子沢山が基本だ』

 おー。

『今は流行病でも出ぬ限りは長生きで。制度を見返す話が出るが男たちはあえて減らしたいと思わぬようでな』
 
 十二歳が世知辛い話をしてるよ。誰だ。教えるのは。あ、教育には歴史もあるか。でもなー。

『『曽祖父は十人の妻に三十二人の子を得たが亡くなる時には三人の妻と五人の子が残っただけだと言う。病が流行らずともそれなりなのだ』』

 んー!離婚じゃなくて死別??

『『思うに甘いのを食べすぎなのだ』』

 えー!!!じゃぁ改善しようよ。

『辛いのも食べますよね?』
『『辛いのを食べた後に甘い豆菓子をずっと食べてる』』
 ずっと・・・。

 薬方の国なのに何してんの~。

『小さい子も?』
『『小さいうちは薬方はあまり出ないが甘いのは多い』』
 なんていうか塩味オンリーも嫌だけど、大辛か大甘っていうのもなんだねぇ。

『『身体が小さいと薬方に負けるんだそうだ』』

 ぶっちゃけ薬だからねー。

『『初めて辛い実を食べたのは七つのとき、厄を払い病を飛ばす身体になるまで育ったと祝われる』』

 七歳の祝い的な。
 ハードなお祝いだな。ギャン泣きしちゃうよ。

『レイドラアースでは子供が食べ物で祝うのは無いですね』
『『国々の違いがあるのは聞いておるが、調べるのは面白そうだと思っている』』
 
 王女さまたちはあちこち行く予定なんだよね。羨ましい。

『『ところでこの馬車はなぜ揺れないのか?』』

 アッガスから出て一時間ほどでいきなり馬車に興味が移った。

 シートをボヨンボヨンと叩いて、その後お尻で跳ねた。トランポリンか。

『ナギの馬車は揺れますか?』
『『道によるがこんなに静かでは無いな』』

 舗装してないとこは仕方ないね。

『馬車の構造と魔道具で快適になってるんですよ』
『『魔道具!?』』

 めっちゃ食いつかれた。

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