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二章
516話
しおりを挟む酔いが少しずつ回ってきた人が出た段階で解散になった。
セリウスさまもお義母さまも気分良さそう。
ムッスーっとしちゃうね!
「リーシャちゃん、王都から戻ってマギーの許可が出たら少し増やしてみましょうねぇ?」
「そうだねー、栄養回ってきてるみたいだしー、嗜む程度なら良くなるよー、きっと~」
絶対だね?楽しみにしててダメは嫌だよ。
・・・セリウスさまはちょっと酔ってるから気が大きくなって適当言ってるんじゃないよね?
「マギーの目が厳しいから一杯しか増えないかもねー」
今の私はその一杯が貴重だよ。贅沢言えば、一升瓶の一本くらいは飲みたいよ。
でも欲張ると減りそうだからね。マギー先生ならそう言うバツを言いそう。
「酒精は過ぎても良くないからぁ、リーシャちゃんは様子を見つつねぇ」
お義母さまはお酒は一種類につきお猪口一杯程度でおつまみのクッキーやプチケーキを食べてた。ブレないなーと思ったけど、一舐めくらいだった私は十分羨ましかった。
「母上は菓子が食べたくて残ってたんでしょー」
「うふふ、宴会の席は種類が多くて良いわよねぇ」
ちなみにセリウスさまは魚の燻製や、ナギの珍味を食べてた。
珍味は発酵した魚を辛くした物と貝類を干した物、辛い実が多く混ざったナッツとやっぱり辛かった。
癖のある酒に辛味が合うんだって。
ナギにも甘党の辛党がいてお酒に月餅な人もいた。
グレーデンのお酒にも辛い実入りナッツが合うって双方が喜んでた。
明日お尻と胃がヒーヒーでも知らないよ。
「じゃぁ明日ねぇ」
「お休みー」
明日はお昼前にアッガスを出発する。
厨房にお弁当の確認とルルゥに豆の用意をお願いしに行くことにした。
「リーシャさまも早くお休みにならないと」
ニーナとアランとジェイクが渋々に付き合ってくれる。
『あらぁ、こんな時間にどうしたのぉ?』
『明日のお弁当のチェックと豆を水に漬けておいて欲しくて』
ナギのコックさんもいるので公用語。
アッガスの厨房は公用語は全員は話せないので、話せる人が付いて一緒にやってくれてる。ここのコックさんも元騎士が多いのでナギ側のコックさんは最初はビビってたけど慣れたらしい。順応早い。
『お弁当はこんな感じよぉ~』
サッと見せてくれたのは食べやすいおにぎりとサンドイッチに唐揚げなど。さすがわかってるぅ。
私たちは宿に泊まれるけど、騎士さんたち全員は入りきらないので野営の人たちにはたっぷり用意してもらう。
『豆はお汁粉だっけぇ?』
ルルゥも夕食の席のことは聞き及んでてすでに豆は用意してるし、ナギ側の準備に常に用意できるように仕込んでる分を出してもらえるんだそう。
『朝にはお餅も用意しておくわぁ』
おお、朝から甘い!!まぁ良いか。他のも用意してくれるし。
『お餅の量足りそう?』
『すいとんも出すわぁ』
お餅も適度に補充してくれてるんだけどさすがにナギの船員さんたちまで行き渡るか?は微妙なラインだ。
ナギにも餅はあるけど五平餅のタレを付ける前に近い状態の餅らしい。
小麦や穀物の餅もあるとか。
ふむー。それはそれで美味しそう。
今すぐに出せるって言うので五平餅を作らせてもらうことにした。
『皆さんのお夜食にしましょー!』
『『『『おー』』』』
まずは餅?ほぼ米っぽいのを半殺しにしまーす!!!
まとめて串刺しにしてちょっと焼きまーす!
一緒にやってるのがおじさんたちなのでちょっと迫力がある。
味噌と醤油とお砂糖、お酒、ナッツを砕いたタレを絡めてまた焼きまーす!
なんとナギの調味料に味醂に似たものがあったのでタレにちょっと混ぜました。
香ばしい香りが立ち込める。
『『『『『うぉー・・・』』』』』
おっきいおじさんたちがよだれ垂らしそうですよー。
ルルゥはタレをチェック。
味醂もどきの味見もしっかりして頭の中ではどのハーブとスパイスに合わせるか計算してるっぽい。いい顔してる!!
『ではいただきましょう』
お茶も入れてもらってみんなで拳サイズの餅を食べる。
『この味噌と醤油は合うのですね』
『キーィンが混ざるとこんな感じですか』
味醂もどきはキーィンと言うらしい。古酒が発酵し過ぎた時に出来たのが始まりだとか。
ふむー?これは日本的な味醂ではなさそうだ。
発酵は発酵かー。いつか味醂も作りたいね。
『夜通しの調理の時にこんな美味しいのを簡単に食べれるのいいですね』
『腹持ちもいい!!』
『『『逆に食い過ぎそうだぞ!ガハハ』』』
この餅も汁粉に入ると良さげだから明日のお汁粉はいろんな餅を入れることに決定!!
『リーシャさま、そろそろ』
ニーナストップが入っちゃった。
お弁当はしっかり用意してくれてるし、お汁粉も出来ちゃうので大人しく従うよ。
ちなみにニーナもアランもジェイクもちゃっかりしっかりお餅食べてるし、なんなら警備の途中に厨房近くを通った騎士さんたちもおすそ分けしてるのでちょっとうるさかったかも。
部屋に戻る途中にセリウスさまとレオルカさまに遭遇して、二人は厨房の香りに気がついた。
「リーシャちゃんが美味しそうな匂いさせてるー」
って、セリウスさまに匂いを嗅がれて、レオルカさまに頭を叩かれてた。
「やめろ!」
やっぱりちょっと酔っ払いなセリウスさまだった。
「リーシャさま、ごめんね。コイツ部屋でもちょっと飲んでたんだ」
セクハラよりも飲んでたことが羨ましいぞ。
「明日もよろしくねー」
「お休み」
従兄弟同士仲良しだねぇ。
ちょっと遅くなったのでお風呂は備え付けでニーナに丸洗いされて、簡易エステを受けてそのまま寝ちゃったよ。
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