ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

515話

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 ナギのお茶は結果的に言うと鉄観音っぽかった。
 烏龍茶の仲間だっけ?

 濃いめに入れて辛い味や薬方の風味を緩和するような。

 オヤツには月餅のような餡子菓子の中に棗とか干した果物が入っていて美味しかった。

 本当に豆ぎっしり。いろんな豆が甘くなってて砂糖をふんだんに使えるって言うのはやっぱり凄いことなんだとか。

 グレーデンでは甜菜とサトウキビもどきの畑がうまくいって安定してるのに驚かれた。
 まだまだお高いんだけどね。一般に回せるまで畑を広げる予定でお義父さまとクラウスさまが予定を立ててくれてる。
 綿菓子を子供たちに配れるようになる日も近い。

 緑茶と抹茶らしきものはなかったけど、茶葉の発酵を習うことが出来そうなのでそのうちどうにかなると思う。
 発酵度だったよね?確か。

『『ケーキの繊細な味わいを知ってしまったら姉たちは樽になる気がする』』

 ナギの他の王女さまたちの敵になりそうなので豆乳やオカラを使ったヘルシーレシピにしておこうかな。

『『コーナがこんなに甘くて美味しくなるとはなぁ』』

 ナギでは薬方の一つで苦いものの認識だったそうだ。
 デレードから簡単に手に入るのに勿体無い!!
 砂糖をいっぱい入れるって発想が豆に使われたならコーナも甘くしたら良かったのに。

『ナギでは食事には辛味や旨味にこだわり、オヤツは極端に甘くするのが基本なのです』

 ほえー、おしることかもないのかしら。
 豆だけど。

『ファリンさま、ルアランさま、この豆を甘く煮た汁物はナギでは飲まれないのですか?』

 月餅の中のあんこを見せて聞く。

『『甘い豆はおやつでしか食べないから汁にはしない』』

 煮豆も金時豆とかも邪道??

『甘い豆の汁に餅を入れて飲むのも美味しいと思うのですが』

 そう言うとナギ側の人たちがザワッとした。

 豆の汁がありえないらしい。

 料理に使う豆と甘い菓子の豆は別で汁物は甘くない物だって。

 ぜんざいとお汁粉は存在しないのかぁ。

『豆は色々使えて万能なので甘い豆のスープも美味しいですよ』

 明日の出発前にか、王都滞在中にお出ししてみたいね。

『『カレーに入った豆は面白かったから甘い汁もいいかもしれないな』』

 王女さまたちはチャレンジしてもいいみたい。

『そうですね。豆は山ほどあるので新しい食べ方は良いかもしれません』

 山ほど!

 お菓子を出して良い頃合いで未成年の王女さまたちがお休みするために一旦解散になった。

『『今日も良き一日だった。ありがとう』』

 お休みの挨拶をしてお見送り。

 そして大人の時間!!

 と言っても、ガルフ侯爵たち上級役人とユエさまたちのナギ側のお偉いさまたちとレオルカさま、お義母さま、セリウスさまって顔ぶれで、お酒のお話をする。

 とりあえず、ナギからのお酒を並べて貰って一杯ずつ頂く。

『ほう』
 私は二杯と言う制限があるので小さいお猪口に少しずつで合計二杯程度になる計算で飲む。
 こう言う時くらい解禁して欲しかったけど、お義母さまが首を振った。ちくせう。

 提燈酒はなんて言うか舌がビリッとした。
 一舐めじゃわかんないでしょ!!

 レオルカさまが『ウォ』って呻いたのでとにかく辛いんだなって。

 薬方のお酒は養○酒が濃くなった味?セリウスさまが少し咽せた。

 花のお酒はお義母さまが喜んでる。私ももっと飲みたい。

 全体的にクセが強いお味だったけど、濃いお酒好きなのでいつかたっぷり飲みたいな。

 ガルフ侯爵たちもレイドラアースの一般的なお酒よりクセがあるのを楽しんでる。

 そして、こちら側からは一般的に売ってるワインやエール、ウィスキーを出して、グレーデン産も並べた。

『とても素晴らしく』
『私たちも陛下のお供の時に頂いた程度でしたがとても美味しかったです』

 ユエさまたちもガルフ侯爵たちもグレーデン産で目の色が変わった。

『今お気に召していただいたお酒は、リーシの考案した魔道具で作っているお酒です』
 お義母さまが言うと『魔道具』についてめっちゃ質問された。

 魔道具のタンクより、麹菌の存在が大きいのだけど。
 まぁ、時短と入れておけば良いって言う優れものなのでタンクも欲しいか。
 ナギにはタンクを売るのか設計図を売るのかで魔導師たちのお仕事量が変わるね。

『その甘酒の実とビヤの実はお売り頂けますか!?』

 ビヤはそこらじゅうにあるって聞いたけど甘酒の実はどうだっけ。
 ナギにはそれらしき実がないらしい。

 商売の契約はお義母さまとセリウスさまに丸投げしちゃおう。

『ビヤはいくらでも採れるのですが甘酒の方はどこにあるかが確定してないので量が確保できません』
『ではお酒としてお売りいただくのは!?』

 工場はたくさん増やしてるけど、結構な消費量なので追いつかない。

『量の確保は工場を広げているのでしばらくお待ちいただければ出来ると思います』

 ガルフ侯爵たちは自分たちもと言いたそうだけど、外交が先だと我慢している。

『なるほど、では増産が可能になりましたらお願いいたします』
『ありがとう存じますわ』

 ナギのお酒もいっぱい仕入れて欲しいってセリウスさまにお願いした。

 提燈は通好みだけどきっと人気出るよ。

 しっかし、みんなそこそこサイズのコップでグイグイ飲んでほんのり赤くなってさ。

 私も赤くなりたいなぁ?


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