521 / 701
二章
510話
しおりを挟む
王女さまたちがアッガスを出る前に役人の大半、ナギ国の役人の一部が出発した。
改造馬車でないから先に出して、宿泊場所も別の領地に分配した形。
進行方向でも立ち寄れない領地の不満解消にね。ならないだろうけど、多少お金を落とすでしょう。
わがまま役人のお相手で申し訳ない。
何かしら被害があった場合は、外務部に請求しなさいって通達が回ったらしい。
ガルフ侯爵たちが禿げちゃう。
「多少マシになったわねぇ」
「そうね。同行に混ぜられたナギ国の方たちのフォローは騎士団がやってくれるわ」
グレーデン騎士団から公用語が出来て人当たりのいい騎士さんを選抜してナギ国のお役人に付けた。
ダメ役人にはちょっとガザツ系?ガタイがいい文句言いにくいだろう騎士さんたちを。
わかりやすくて面白い扱い。
「チェイスさんとアモンさんはあっちつかなくてよかったの?」
「嫌っす。あー言うおバカを楽しんで揶揄うのが得意なのが行ったから大丈夫ー」
「ですよ。あんなん、俺の繊細な胃が持たない」
騎士団の移動をなんとなく眺めてた私に、今日はチェイスさんとアモンさんが付いてる。
アランとジェイクは小休憩中。
チェイスさんとアモンさんの胃は多分鋼鉄製。心臓も剛毛じゃなくてタングステンの針金がボーボーでしょ。
王女さまたちは明日出発。
もう少しゆっくりしてもいいんだろうけど、王都までの移動の日数もそこそこあるし、隣国とか行くかもだとあまりゆっくり出来ないよね。
今日は、お昼からアッガスの畑と魔の森付近まで見学するって。
復興途中の街なんてなかなかみる機会がないだろう。魔の森はナギにはないそう。
魔獣がいないわけじゃなく、魔の森って概念じゃなくて、山ならどこにでも居る認識。
魔獣がどこにでも居るって嫌だな。
海を越えてこれるだけの戦力があるのはどこにでも居る魔獣に対処してるなら当然なのかも。
「リーシャ、俺はもう戻らなくては行けない」
「はい」
ジュリアスさまが帰っちゃう。寂しいけど仕方ない。
「なるべく隙を見て会いにくる」
ラヴァや転移陣で頻繁に会いに来るってルークが怒りそうだから、ほどほどにね。
「アズライトたちのこともよろしくね」
「ああ、多分大人しくはしていないだろうが」
ポムとティムに大人しさは求めてないけど。
ギュウっとハグをして見送った。
ニーナはいつも通り一歩引いたところでルークを見送ったよ。少しくらいイチャついても良いのに。
昼食は、レオルカさまたちと王女さまたちとで頂く。
『『このピザ?に載っているのも薬方??』』
カレーパウダーを混ぜたソースに気が付いたよう。
『そうです。乾燥した薬方を粉末にして混ぜた物です』
伸びるチーズとふんだんに使ったハーブとスパイス。
ナギの船とともにデレード経由の商船も付いてきたのでスパイスはたっぷり補充できた。
コーナもいっぱいきたのでチョコ作り放題!!
『このスープは薬膳でもナギとは違いますね』
ユエさまも匂いと味を確認して堪能してくれた。
『こちらでは香り付けと味に深みを出すのに使っているので薬方そのものとして使ったりしないんです』
薬効とか期待して食べる物じゃないので。
あ、薬術にはお粥にしたり、お茶に煎じてとか色々使うよ。でも食事は滋養強壮以外の期待をして作ってないかなぁ。
飲み合わせみたいに組み合わせで困るのは避けてるけど。
『薬膳として作る場合はそれぞれの分量が変わってきますが、丸ごと入れるとかはないですね』
そこまで実をふんだんに使えないって意味もあるけど。
『こうして普段から体に良いものを取り入れるにはちょうど良い量といった感じですね』
健康な体作りかぁ。
グレーデンにはマッスルになれる薬膳が欲しいなぁ。
そんなレシピあるかしら。
『『ユエ!二番目の兄は薬方が濃すぎて口に合わぬかも知れない。帰ったらこれを試してあげたいな』』
薬方って言うか辛いからとかじゃ・・・。
いや、国全体の基本の味付けが苦手ってあるのかな。
日本人が味噌と醤油苦手だったら食べるもの少ないよ。
ん?パン食でイタリアン食べておけば良いかも。
インドでカレー、韓国でキムチが苦手って人いるのかな。
もしいたら匂いからは逃げれないから辛いな。
『ジェイミンさまは別に薬方が嫌いなわけじゃないですよ』
『『果物とお茶しか口にしないですはないか』』
むっちゃ偏食だった!
『『ここに来たらみんな美味しいから二番目もきっと食べれるだろうに』』
王女さまたちなりに心配をしてるのね。
『まぁまぁ!お帰りの際には日持ちのする物をたくさんご用意いたしましょうねぇ』
王女さまたちにズキュンとなったお義母さまが張り切ってる。
食べ物をたくさん食べる子が好きなのね。
『私としては兵糧が気になっています』
『兵糧?』
ユエさまが言うとレオルカさまが聞き返した。
『庭で騎士たちがうちの騎士に自慢していたのです』
なぜ兵糧を自慢した!?
『頂いてみたら、遠征が楽しみになる美味しさだったとか』
『は?』
『ええ~?』
レオルカさまと私はなんだそれって思ったんだけど、
『まぁコレがあれば最悪獲物が捕れなくても数日は満足だろう』
セリウスさまがポケットから兵糧のシリアルバーを取り出した。
興味深々な王女さまたちの希望で兵糧試食会が急遽開催になった。
改造馬車でないから先に出して、宿泊場所も別の領地に分配した形。
進行方向でも立ち寄れない領地の不満解消にね。ならないだろうけど、多少お金を落とすでしょう。
わがまま役人のお相手で申し訳ない。
何かしら被害があった場合は、外務部に請求しなさいって通達が回ったらしい。
ガルフ侯爵たちが禿げちゃう。
「多少マシになったわねぇ」
「そうね。同行に混ぜられたナギ国の方たちのフォローは騎士団がやってくれるわ」
グレーデン騎士団から公用語が出来て人当たりのいい騎士さんを選抜してナギ国のお役人に付けた。
ダメ役人にはちょっとガザツ系?ガタイがいい文句言いにくいだろう騎士さんたちを。
わかりやすくて面白い扱い。
「チェイスさんとアモンさんはあっちつかなくてよかったの?」
「嫌っす。あー言うおバカを楽しんで揶揄うのが得意なのが行ったから大丈夫ー」
「ですよ。あんなん、俺の繊細な胃が持たない」
騎士団の移動をなんとなく眺めてた私に、今日はチェイスさんとアモンさんが付いてる。
アランとジェイクは小休憩中。
チェイスさんとアモンさんの胃は多分鋼鉄製。心臓も剛毛じゃなくてタングステンの針金がボーボーでしょ。
王女さまたちは明日出発。
もう少しゆっくりしてもいいんだろうけど、王都までの移動の日数もそこそこあるし、隣国とか行くかもだとあまりゆっくり出来ないよね。
今日は、お昼からアッガスの畑と魔の森付近まで見学するって。
復興途中の街なんてなかなかみる機会がないだろう。魔の森はナギにはないそう。
魔獣がいないわけじゃなく、魔の森って概念じゃなくて、山ならどこにでも居る認識。
魔獣がどこにでも居るって嫌だな。
海を越えてこれるだけの戦力があるのはどこにでも居る魔獣に対処してるなら当然なのかも。
「リーシャ、俺はもう戻らなくては行けない」
「はい」
ジュリアスさまが帰っちゃう。寂しいけど仕方ない。
「なるべく隙を見て会いにくる」
ラヴァや転移陣で頻繁に会いに来るってルークが怒りそうだから、ほどほどにね。
「アズライトたちのこともよろしくね」
「ああ、多分大人しくはしていないだろうが」
ポムとティムに大人しさは求めてないけど。
ギュウっとハグをして見送った。
ニーナはいつも通り一歩引いたところでルークを見送ったよ。少しくらいイチャついても良いのに。
昼食は、レオルカさまたちと王女さまたちとで頂く。
『『このピザ?に載っているのも薬方??』』
カレーパウダーを混ぜたソースに気が付いたよう。
『そうです。乾燥した薬方を粉末にして混ぜた物です』
伸びるチーズとふんだんに使ったハーブとスパイス。
ナギの船とともにデレード経由の商船も付いてきたのでスパイスはたっぷり補充できた。
コーナもいっぱいきたのでチョコ作り放題!!
『このスープは薬膳でもナギとは違いますね』
ユエさまも匂いと味を確認して堪能してくれた。
『こちらでは香り付けと味に深みを出すのに使っているので薬方そのものとして使ったりしないんです』
薬効とか期待して食べる物じゃないので。
あ、薬術にはお粥にしたり、お茶に煎じてとか色々使うよ。でも食事は滋養強壮以外の期待をして作ってないかなぁ。
飲み合わせみたいに組み合わせで困るのは避けてるけど。
『薬膳として作る場合はそれぞれの分量が変わってきますが、丸ごと入れるとかはないですね』
そこまで実をふんだんに使えないって意味もあるけど。
『こうして普段から体に良いものを取り入れるにはちょうど良い量といった感じですね』
健康な体作りかぁ。
グレーデンにはマッスルになれる薬膳が欲しいなぁ。
そんなレシピあるかしら。
『『ユエ!二番目の兄は薬方が濃すぎて口に合わぬかも知れない。帰ったらこれを試してあげたいな』』
薬方って言うか辛いからとかじゃ・・・。
いや、国全体の基本の味付けが苦手ってあるのかな。
日本人が味噌と醤油苦手だったら食べるもの少ないよ。
ん?パン食でイタリアン食べておけば良いかも。
インドでカレー、韓国でキムチが苦手って人いるのかな。
もしいたら匂いからは逃げれないから辛いな。
『ジェイミンさまは別に薬方が嫌いなわけじゃないですよ』
『『果物とお茶しか口にしないですはないか』』
むっちゃ偏食だった!
『『ここに来たらみんな美味しいから二番目もきっと食べれるだろうに』』
王女さまたちなりに心配をしてるのね。
『まぁまぁ!お帰りの際には日持ちのする物をたくさんご用意いたしましょうねぇ』
王女さまたちにズキュンとなったお義母さまが張り切ってる。
食べ物をたくさん食べる子が好きなのね。
『私としては兵糧が気になっています』
『兵糧?』
ユエさまが言うとレオルカさまが聞き返した。
『庭で騎士たちがうちの騎士に自慢していたのです』
なぜ兵糧を自慢した!?
『頂いてみたら、遠征が楽しみになる美味しさだったとか』
『は?』
『ええ~?』
レオルカさまと私はなんだそれって思ったんだけど、
『まぁコレがあれば最悪獲物が捕れなくても数日は満足だろう』
セリウスさまがポケットから兵糧のシリアルバーを取り出した。
興味深々な王女さまたちの希望で兵糧試食会が急遽開催になった。
633
お気に入りに追加
1,774
あなたにおすすめの小説
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。
大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。
見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。
黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…?
対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。
婚約破棄にも寝過ごした
シアノ
恋愛
悪役令嬢なんて面倒くさい。
とにかくひたすら寝ていたい。
三度の飯より睡眠が好きな私、エルミーヌ・バタンテールはある朝不意に、この世界が前世にあったドキラブ夢なんちゃらという乙女ゲームによく似ているなーと気が付いたのだった。
そして私は、悪役令嬢と呼ばれるライバルポジションで、最終的に断罪されて塔に幽閉されて一生を送ることになるらしい。
それって──最高じゃない?
ひたすら寝て過ごすためなら努力も惜しまない!まずは寝るけど!おやすみなさい!
10/25 続きました。3はライオール視点、4はエルミーヌ視点です。
これで完結となります。ありがとうございました!
卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく
しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ
おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ
すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした
珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。
色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。
バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。
※全4話。
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる