ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

509話

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 夜はさすがにジュリアスさまも解放された。
 むぎゅーっとくっ付いて抱っこちゃんで過ごした。
 いつもは抱っこで食事とかしてるから、逆に離してって思うけど、今はずっと隣でニコニコしてるだけで接触が足りない。

 ムキムキ不足だよ。ムキムきを眺めてるだけだったメグミがリーシャな今は思う存分堪能できるんだよ!この素晴らしき日々をいきなり取り上げられたら死んじゃう!

 一緒にお風呂に入ってる時もずっと抱っこちゃんしてたら、ジュリアスさまがしょうがないって笑ってくれる。

 ニーナを早々に下がらせて、椅子でもベッドでも離れないよ。

「王都までの期間は寂しくなるな」

 ううー。

「魔馬で早めても他が追いついてこれないからなぁ」
 王国騎士の馬は立派だけど魔馬ほど馬力がない。
 馬車も貴賓や高位貴族のガルフ侯爵は改造馬車だけど、全部の馬車が改良されてはいない。
 もっと普及させるべきか。でもダメ役人のおケツが爆発するのは構わないよね?

 良い役人にはスプリングなクッションを配給してあげて欲しい。

「途中で何泊もしないとだもの」
「王女さまたちを野宿させるわけにはいかないからな」
 いっそ転移陣で移動させたいくらいだけど。さすがに他国の人に転移陣の存在も場所も教えるわけにはいかない。

「セリウスが俺と変わってくれたら良かったんだが」
「さすがにジュリアスさまが一ヶ月近く付きっきりは」
 ウォレスに行ったり、カイダールの旅館の視察したり、他にお出かけも控えてるのでお仕事溜めたらダメだ。

「お祖父様がいるから俺たち兄弟が離れたところで父上と二人いれば全然良いんだが」
 お二人は気まぐれにダンジョンとか行っちゃうから常駐をアテにしたらダメ。

「何を言われてもシグルドに任せるべきだった」
 領主を?
 だとすると私は誰の嫁に指定されてたんだろうか?
「・・・そうか、領主になってなかったらこんな悩みはなかったな」
 私の頭に浮かんだ疑問に気がついたらしい。
「結婚していなかったらそもそも休みがなくても気にしてない」
 おー、ワーカーホリックだった。

「仕方ない。世の中のまともな領主は年の半年は領地に単身赴任のようなものだ。俺はまだマシだな」
 
 社交を必要とするお家は夫人がずっと王都にいたり、子供も学校と婚約相手探し、花嫁修行とほとんど王都にいて、領地の視察や管理に戻るのは当主だけとかが多い。
 家令や代官に任せっぱなしの家もあるけど、それを他の領主に知られると信頼を無くして付き合いが断たれるから、みんなそれなりに領地に帰るんだそう。

 グレーデンやホーンのように領地に篭りっぱなしな方が珍しい。
 だけど辺境伯は、騎士団連れて領地を離れるとやばいので。奥さんとかは本人次第だけど、行き来が大変だから社交は最低限だ。

「王宮勤めがボロボロな分、地方の文官はそれなりに出来るのが多い」
 王宮に残れなかったハボット派以外の優秀な人材が領地を守る家令や代官になってる。
 ただ悪さに使えた土地にはハーボット派閥の文官が配属されてた。抜け目がない。

 悪さをしなけりゃ今後も優秀な宰相とか大臣を輩出してたでしょうね。なんで悪い方向に向かったのかな。

「薬だけならまだ目こぼしされたかも知れないが。イダルンダの奴隷売買とカイダールの暗殺はやり過ぎだ」
 薬はねー、自分で買って自分で楽しむまでは自己責任。
 売るのは悪いけど、買う人がいなきゃ儲からなくて続かない。
 望まぬ相手に使うのは論外だし。
 薬術を悪用するのは許せないし。
 薬と毒は紙一重。ちょっと配合を変えればって思っちゃうのはある。より良い薬が出来ないかって研究してるとたまに思わぬ作用があってってなったのかなぁ。

 だけど、カイダールお父さまのように特効薬を作るんじゃなくて、魔薬に走っちゃった人たちに同情はしないよ。

「頭よくても悪いことに使ったら台無し。真面目にコツコツ頑張った人に良いことが起こるようにしたいですね」

 腐らず真面目に生きた人が望めば、王宮の高給取りになれたら良いな。

「地方が困るかも知れない」
 それはそれで困った。

「まずは問題なく王都にナギ国の客人方を送って、少しでもマシな役人を帰路では用意したい」
 一ヶ月くらいでどうにかなるかしら?

「王様にネチネチ苦情言ってきます」
「陛下にそんなこと言えるのは・・・父上も母上も結構言ってるな」
 私だけって言いかけて、気づいちゃった。

「お祖父様もお祖母様も言いそうです」
「そうだな」

 ジュリアスさまはグレーデン家の中ではかなり常識人なのよね。一人だけ。
 セリウスさまとクラウスさまはちょっと適当な部分があるけど、それでもジュリアスさまを立ててる分控えめだけど、考え方はお義母さま寄り。

「陛下は昔からお優しい方だから、あまりいじめないようにな」
 お優しいって言うか、グレーデンには甘えに来てる感じ。

 多分ズバズバズケズケ言われるの楽しんでる。
 でも!!
「変な人押し付けたことは文句言います」

 だって絶対使えないって知っててこっちに丸投げしてきたもん。

「改革中だから許してあげなさい」

 えー。そう言われるとハーボットのせいだから強く言えないなぁ。とほほ。



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