ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

505話

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 強い人が好きって言う思わぬ共通点でお義母さまとシャロンさまは大喜び。
 そもそも可愛いが大好きなので異国のお姫様も大好物だよ。

 そしてびっくり。
 王女さまたちの胃袋もイリュージョンのよう。
 ジェラートやシャーベットはかなり喜んでくれたけど、何よりパイやケーキが大好きなようでお義母さまと一緒に追加をどんどん呼ぶ。

 さすがにシャロンさまは「美味しいけどコルセットが爆発するわ」って。それなりに食べる方だけど、お義母さまの胃袋には勝てないそうだ。
 昔はそれでも味的にたくさん食べれるものが少なかったからお義母さまもそこまで食べてなかったと言う。
 お義母さまが太らない体質で良かった。もし太る人だったら私のせいでって嫌われちゃうとこだ。

『ナギは砂糖をふんだんに使う豆菓子しか出て来ないからな。海外に出る醍醐味の一つはおやつでもある』
『砂糖を固めた中にも豆だったりする』
 豆に飽きちゃってるらしい。
 可愛いお顔がご機嫌斜めなチワワのようだ。

 おはぎとか出さなくて良かった。
 話を聞いてると落雁や月餅、甘納豆を揚げた感じのっぽい。
 たまには食べたいけど毎日は甘ったるい。

『夕餉も色々出ますからお腹を空けておいてくださいませ』
 思わず言っちゃう。

『『それは別腹じゃから』』
『ねー♡』
 お義母さまの大食い外交が功を成した。
 
 パイだけじゃないからね。

『『このジェラートと言うのは柔らかくて果実が混ざっているのは幸せの味だな』』

 たんとお食べ(お飲み)。

『そういえば、兄上がファテイマ妃殿下のように肝の据わった美しい女性がいたら口説いてこいと言っていたが王家か近しい家柄に年頃のおなごはおるのか?』
『兄上の元婚約者は気は強いけれど阿呆だからね』

 ん?

『あ・・・阿呆とは?』
 思わず聞いちゃった。

『秘書にすらやきもちを焼いて床に寝転がって泣いて暴れる』
『機密文書を恋文かと勘繰って破り捨てる』

 阿呆って言うかヤベェですよ!?

『どうして選ばれたのでしょう!?』
 シャロンさまも思わず突っ込んだ。

『公爵の一人娘で子供の頃は矯正可能だと』
『私たちが物心ついた時にはもう今のような女子じゃ』
 うーん??元が付いてて良かった。

『姉上や側妃にまで突撃するのでさすがに公務をこなせないであろうと白紙になった』
『あの日は悪夢に出る』

 ヒィ。
 おいくつの方だったのか。

『『向こうの祖母がまともで良かった』』
 あ、まともな人がいて良かった。

『『アレを他に押し付けると王家も公爵家も憎まれそうだったから悩みどころだったが、そこまで気分屋だと逆にしつけ甲斐があると嫁にもらわれて行った。好みが人それぞれあるのよと母上が言っておった』』

 話し聞いてるとお茶会のご夫人たちみたいな語り口調だけど、十二歳!

『おほほ、ちゃんと乗りこなせると良いですわねぇ』
『『束縛が好きとか言ってたから気が合うのではないか』』
 〈束縛〉も嫌だけど、翻訳間違えで〈緊縛〉とかじゃないといいな。

『でもそこまで思われるなら素敵な殿方なのでしょうねぇ』
 お義母さまが王子様を思い浮かべてうっとりとしていると辛辣な双子王女が、
『素敵?』
『アレが?』
 お互いの顔を見て首を傾げる。

『『私たちは見慣れているからわからないけれど、ユエを細くして女顔にした感じだ』』

 うーーん!?
 ユエさんは黒髪ロン毛、目を細めて感情を読ませない、体格は細身で身長はおそらく百八十五あたり。

 かなり細いな!?もやしっこか。

『女性的なお顔なのねぇ』
『『王妃さまに似た。王妃さまは美人だ』』
 細身の美人。
 
 ファリンさまとルアランさまは、第四側妃の子で王様の十一番目と十二番目だそうで。

 ナギ国はハーレムだった。奥さんは七人いて全部で十七人の子がいるそうな。
 ヒィー。

『『王族も三番目以降はわりと自由だから、いずれは食事の旨い国か強い男のいる国に嫁に行くつもりでユエにあちこち連れて行ってもらっておる』』

 十二歳の婚活旅!!!

 そしてご飯か男!!

 なんて言うか見た目を裏切る剛毅さ。

『『ついでに兄上の嫁も探してあげてる』』

 ついでに。

『『私たちは双子だからできれば同じ国に行きたいが力関係で別々にばら撒きたいと宰相が言うので隣り合う国あたりで落ち着きたい』』

 宰相さん、子供に何言うの。
 でも国の話だとそういうものかしら。

『『三番目と七番目の兄が追いかけて来そうだから遠くに嫁いで本当に来るか試したくもある』』
 クスクス笑っていう双子。お兄さんたち、シスコンか。しかも楽しがられてる。

『「あまりいい国に行くと姉上がいじける。バランスが大事』』

 兄弟姉妹がめんどくさそう!

『まぁ!うちの殿下方は年下だからダメよねぇ、キャベルルンあたりおすすめだけれど、良い男性残ってるかしらぁ』
『カマランの近くであればご家族が訪ねて来やすいわね』

 お義母さまたちがお見合いおばさんに!?

『『ユエが見極めるので良さげな男性がいればレイドラアースで見つかれば嬉しい。オヤツが美味しいから』』

 オヤツ。

 んー。セリウスさまやクラウスさまはいかがですか?

 兄弟軒並みロリコン認定されちゃうからやめておこうか。




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