上 下
514 / 710
二章

503話

しおりを挟む

 シェイクは美味しかった。
 バナナがつなぎみたいになってるので飲みやすい。
 バナナ食べたい気分じゃない時は生クリームと牛乳に氷、チョコシロップっていうのも好き。
 ここにはチョコシロップはないので残念。
 アッガスにはまだチョコ室作ってないのでグレーデンから固めたのを持ってきてる。湯煎して作れなくもないけどまた今度。

 しっかしピンクのバナナ使ってるから見た目がストロベリーなのにバナナの味。
 他の果物入ってるのにバナナが勝っちゃうみたい。

「これは飲み口が良くてスルスル入る~」
「いっぱい飲みたいですな」

 冷たいの飲みすぎたらお腹痛いよ。
 頑丈そうな胃腸持ってそうだけど。

「腹持ちも良さそうだ」
「そうだな!」

 バナナで元気になってるんだよ。お通じにも良いよ。冷えと食物繊維で相乗効果だ。
 アイスクリームも大量生産だね。

「クッキーもあっちでたくさん作ってきたからなんでも出るわよぉ~」

 お茶タイムは豪華になりそう。

「会議の方には?」
「渋いお茶と堅いせんべえ出そうかなって」
 おー。
 ぶぶ漬け食べて行きぃってやつだね!
「お偉いさんたちには優しくね?」
「あっは!客人と侯爵にはクッキーとコーナティー出すわよぉ~」

 どうやらウザい役人にせんべえみたい。
 歯が折れそうなのでも良いよ。
 ちゃんとお茶含んでしっかり食べたら問題なし!

「そもそも役人たちは宿で泊まったら良かったのにねぇ」
「そう言えばそうだね」
 ただアッガスは宿を新築したばっかだからお客様優先にした感じ。
 アッガスで待機する船員や従者たちね。
 今思えばこれ問題起こしそうな役人をナギの人達と近付けることにしなくて良かったと思う。
「このお屋敷は旧アッガス侯爵が無駄に贅を尽くしてたからねぇ。デカいのは助かってるわねぇ」
 オンボロになってて修繕も大変だったらしいけど。部屋数と調度品、装飾品はいっぱいあったらしい。
 趣味が悪いのや使わないものは遠慮なく趣味の悪そうな貴族に売ったそうだ。
 成り上がりの人に人気な品々だったんだって。
 ゴテゴテなやつかな。

「部屋数あってもお手入れがされてなかったんじゃね?」
「そうねぇ、今は行き届いてるけどぉ、従者の質も主人次第よねぇ」
 以前を知らないからなんとも言えない。

「前の主人のままだったら緩やかに破滅したか王領になったかだから、レオルカさまが引き受けてくれて領民は助かったんじゃなぁい?」

 ハーボットの悪事に加担してたなら薬や奴隷売買で領民も不幸だったからそこは良かったんだろうね。

 ただ、レオルカさまとマデリーさまは、どうかなぁ?大変じゃない。

「さぁ、準備は出来てるから、リーシャちゃんもお着替えして応接室に行きなさいなぁ」

 ぐっ。お貴族の面倒なのは人に会うたびにドレスアップしないとなんだよ。良いじゃん。さっき挨拶した時と同じでも汚れてないし!

「はぁーい」

 アランに先導されて戻ると、ニーナと侍女さんたちが笑顔で待ってた。

「ニーナもお着替え?」
「夜までは侍女ですよ」
 くぅ。羨ましかね!!

 とりあえず、王都に向かう馬車に乗るまでは、主催側でそれなりの格好をしなくちゃらしい。

 マデリーさまはお茶は遠慮で、シャロンさまとお義母さまもすでにお着替えしたそうだ。
 これって晩餐も着替えるんでしょ!
 めんどくさーい。

 薄い金のドレスに赤い宝石をつけて、ちょっと甘い雰囲気な仕上がりに。

 髪は半分巻いて半分編み込み。
 可愛いなぁ~。お人形さんだなぁ。自画自賛して現実逃避だ。コルセットしてなくても着替え疲れるよ。
 
「リーシャさま、マダム・シャロンのリーシャさま専用のドレスは極力軽く仕上げてくださってますから大奥様やシャロンさまのドレスに比べたらかなり楽なんですよ」
 ヒィーーーー!
 その上コルセットで締め殺されてるの!?
 いや殺されてはいないけど。

「リーシャちゃん!用意出来たかしらぁ?」
 ノックと共に入ってきたお義母さまはさっっ気とは違う赤いドレス。

「まぁ!可愛いわ。私の娘はなんて可愛いのかしらぁ」
 娘じゃなくて息子嫁ですよ~。

「私の娘たちも可愛い・・・かっこいいでしょうが」
 シャロンさまってば、そのまま可愛いで良かったよ。
 んー、アンゼリカさまとマデリーさまは・・・、あれだ。舞台の男役な感じだけど!!
 
「張り合わなくっても、自慢の娘たちでしょぉ!」
「そうよ。どこに出しても・・・アンゼリカはダメだわ」
 ぎゃふん。
「アンゼリカちゃんは、女性の格好嫌い駄目のねぇ」
「ドレスの重さより筋トレ用の砂袋が良いって言うものねぇ」
 あ、筋トレは砂袋なんだ。

「温泉スパの筋トレも楽しんでるのよねぇ?」
「ルドガーさまにおねだりしてアッガスにもジェイデンにも自室に備え付けたのよ」
 なんてこった!お義父さまったら、そんなことしてたのね。

「それを見たシグルドが嫁に出すのは諦めたって」
 父のダレスさま通り越して、お兄様に呆れられてる!

「マデリーも欲しがってたけど、出産まではお預けがいいわね」
「そうねぇ、体調がいいとか言って運動しそうだものぉ」
「なんて言うかデリアさまと似たタイプよね」
 お祖母様も脳筋枠でマデリーさまもか。

「あなただってジュリアス妊娠中にワイバーンに乗らせてもらってたじゃない」
「魔馬に乗っちゃダメって言うからぁ」
 あ、お義母さまは脳筋じゃなくてお転婆だった。

「ある程度、鍛えた方が生まれる子が強いんでしょうか?」
「あ!そうかもぉ?」
「否定できないわね」

 私、もしそんな場面が来たら、だいぶ頑張らないとやばいかもしれないね!




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~

鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。 大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。 見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。 黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…? 対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。

愛なんてどこにもないと知っている

紫楼
恋愛
 私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。  相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。  白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。  結局は追い出されて、家に帰された。  両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。  一年もしないうちに再婚を命じられた。  彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。  私は何も期待できないことを知っている。  彼は私を愛さない。 主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。  作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。  誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。 他サイトにも載せています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

処理中です...