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二章
502話
しおりを挟む「リーシャさま」
ホッと一息、自室でだらけようと思ったら、ニーナがノックして、返事をするとナギ国の侍女らしき人が一緒に入ってきた。
『如何なさったの?』
知らない美女がいたから思わず畏まって話しちゃうよ。
『はい、私はファリン王女、ルアラン王女付き侍女のリンと申します。王女からのお願いで、こちらの言葉を学ぶための書をお貸しいただけないかと』
リンさんはなんて言うか中国の美人女優さん、なんて言ったけ、ワイヤーアクションで物凄く飛ぶの見たとき感動したんだけど、マッチョに欲望が振り切りすぎてて忘れちゃったけど、そんな感じの美人!!
『勉強にため・・・、えっと家庭教師では無く書でよろしいの?今すぐ用意出来るものは平民の子供向けに作ったものだけですの』
そう、貴族の子が学ぶのは家庭教師や家族が付いて教える感じなので、教科書的な物が一般的に普及してない。
ので、高等教育向けに文字の本とかないのだ。
古代文字とかも教師が古書を見ながら音読して教える感じ。
『一から覚えるなら子供向けで十分です。王女たちは子供ですし』
まぁ、そうだけどさ。
王都の高位貴族にこれで学べって出したら怒ると思うんだ。
『こちらからはナギ、デレード、我らの学ぶ公用語の書を国王陛下に献上します。その時にこちらのアッガスのシーズ伯爵家にもお渡ししたいとのことです』
そりゃ王家が先よね。先に学びたいけど、書物は高価だし、もちろん、国のやり取りだものね。
『出来れば、通訳としてつかれる夫人にお時間のある時は教えていただければありがたく存じます』
道中とかもかなぁ。
まぁお互いの歩み寄りは大事。
『私も会話を通して言葉を学びたいと思います。よろしくお願いしますね』
うん。教え合いが出来れば助かる。
『ニーナ、写本はすぐ用意できる?』
『はい、予備もございますのですぐ手配いたします』
『リンさま、手元に届きましたらお渡ししますね。おそらく夕刻には揃うかと思います』
『感謝いたします。では私はこれで失礼を』
所作が美しいな。なんて言うか和を感じる。しずしず?
ニーナも一緒に出て行っちゃったので一人になった。
ジュリアスさまは当然お仕事中。
そういえば、お茶タイムに出すものの確認をしなくちゃ。
暇だからじゃないよ。
部屋を出るとアランが待機してた。
「どうなされました?」
「厨房を覗こうかと」
いつものことって感じで一緒に厨房に向かった。
「ナギ国のお方たちより、我が国の役人たちの方が我儘ですね」
「ん?」
「お茶がまずいとか茶菓子がしょぼいとか」
なんだって!
そこらで食べれるオヤツより美味しいだろうが!!
お茶??賓客扱いするのはナギ国の人たちとガルフ侯爵と側近までだ。
自分が連れてきた執事だか使用人に言え!!
「食事も出さなくて良いレベルだよね」
「そうですね。出されたものにケチをつけるのはマナー違反です」
厨房にいくとみんな忙しそう。
「ルルゥ」
「あら、リーシャちゃん、何か入り用?」
ルルゥがサッと出てきてくれる。
「王女さまたちのオヤツは?」
「出来てるわよぉ~」
「自信は?」
「満々~⭐︎」
パイにジェラートとシャーベットを添えるらしい。
暑いらしいナギから暑いアッガスに来てるからさっぱり冷たいものは良いね。
「アイスと果物をシェイクするのも用意して欲しい」
バニラアイスに氷、生クリーム、牛乳、バナナ、プルルン、いちごにシロップでミキサーでジャカジャカするとねっとり美味しいシェイクが出来る。
果物はもどきばっかだけど。
メグミだった時に真夏にクミちゃんと果物シェイクするのにハマってた。
氷をミキサー使うと刃が痛まないか心配だったけどそうでもなかった。
「まぁ、甘くて美味しそうねぇ」
「賄いでも出して良いかしらぁ?」
「良いよ。厨房暑いから涼んで欲しいもの」
茹るマッチョたちにご褒美~。
「「「「あざーす!!」」」」
どっかの若い子達のノリだなぁ。
「晩餐用は?」
「極上のお肉が入ってるから、ナギ国の方たちはお肉中心ねぇ。船旅じゃ魚も飽きてるかもだしぃ」
「そう、こっちの役人はムカつくから辛めのソースかけちゃって良いよ」
マジでラー油やカレーのスパイスでヒーヒー言えば良い。
ま、スパイスも希少品だから勿体無いけど。
「あはは、王都の若い子達は荒波をくぐってないから阿呆よねぇ。親を見て育ったんだと思って生ぬるーく見てあげてねぇ」
親がああだったとか。終わってるじゃん、王都。
いや、イダルンダも○ンコだったな。そうか。エリート教育を受けたまるンコたちか。
不浄に流しても良いかな。
「ガルフ侯爵みたいな人は希少?」
「そうでもないわよぉ~、一部の吹き溜まりにいた連中は要するに後進を育てる気がないジジィたちの餌食だったんでしょ」
わー。自分たちの代が肥えれば良い人たちか。
「上司に恵まれないって辛いね・・・」
ネチネチパワハラ課長とかいるよねぇ。
「そうよねぇ、良い上司も仲間もご縁よねぇ」
ルルゥも他のコックさんたちも力強くウンウン言ってる。あなたたち何があった。
「さぁ、シェイクの見本を作るから味見お願いねぇ」
「「はーい」」
ん?声が重なった。
アランが恥ずかしそうだ。
「あはは。あんたもリーシャちゃんに似てきたねぇ」
ちょっと!何不服そうな顔してるの!
なんでみんな笑うの!!
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