ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
513 / 765
二章

502話

しおりを挟む
 
「リーシャさま」
 ホッと一息、自室でだらけようと思ったら、ニーナがノックして、返事をするとナギ国の侍女らしき人が一緒に入ってきた。

『如何なさったの?』
 知らない美女がいたから思わず畏まって話しちゃうよ。
『はい、私はファリン王女、ルアラン王女付き侍女のリンと申します。王女からのお願いで、こちらの言葉を学ぶための書をお貸しいただけないかと』
 リンさんはなんて言うか中国の美人女優さん、なんて言ったけ、ワイヤーアクションで物凄く飛ぶの見たとき感動したんだけど、マッチョに欲望が振り切りすぎてて忘れちゃったけど、そんな感じの美人!!

『勉強にため・・・、えっと家庭教師では無く書でよろしいの?今すぐ用意出来るものは平民の子供向けに作ったものだけですの』

 そう、貴族の子が学ぶのは家庭教師や家族が付いて教える感じなので、教科書的な物が一般的に普及してない。
 ので、高等教育向けに文字の本とかないのだ。
 古代文字とかも教師が古書を見ながら音読して教える感じ。

『一から覚えるなら子供向けで十分です。王女たちは子供ですし』
 まぁ、そうだけどさ。
 王都の高位貴族にこれで学べって出したら怒ると思うんだ。

『こちらからはナギ、デレード、我らの学ぶ公用語の書を国王陛下に献上します。その時にこちらのアッガスのシーズ伯爵家にもお渡ししたいとのことです』
 そりゃ王家が先よね。先に学びたいけど、書物は高価だし、もちろん、国のやり取りだものね。

『出来れば、通訳としてつかれる夫人にお時間のある時は教えていただければありがたく存じます』

 道中とかもかなぁ。
 まぁお互いの歩み寄りは大事。

『私も会話を通して言葉を学びたいと思います。よろしくお願いしますね』

 うん。教え合いが出来れば助かる。

『ニーナ、写本はすぐ用意できる?』
『はい、予備もございますのですぐ手配いたします』
『リンさま、手元に届きましたらお渡ししますね。おそらく夕刻には揃うかと思います』
『感謝いたします。では私はこれで失礼を』

 所作が美しいな。なんて言うか和を感じる。しずしず?

 ニーナも一緒に出て行っちゃったので一人になった。
 ジュリアスさまは当然お仕事中。

 そういえば、お茶タイムに出すものの確認をしなくちゃ。
 暇だからじゃないよ。

 部屋を出るとアランが待機してた。
「どうなされました?」
「厨房を覗こうかと」
 いつものことって感じで一緒に厨房に向かった。

「ナギ国のお方たちより、我が国の役人たちの方が我儘ですね」
「ん?」
「お茶がまずいとか茶菓子がしょぼいとか」

 なんだって!
 そこらで食べれるオヤツより美味しいだろうが!!
 お茶??賓客扱いするのはナギ国の人たちとガルフ侯爵と側近までだ。
 自分が連れてきた執事だか使用人に言え!!

「食事も出さなくて良いレベルだよね」
「そうですね。出されたものにケチをつけるのはマナー違反です」

 厨房にいくとみんな忙しそう。
「ルルゥ」
「あら、リーシャちゃん、何か入り用?」
 ルルゥがサッと出てきてくれる。

「王女さまたちのオヤツは?」
「出来てるわよぉ~」
「自信は?」
「満々~⭐︎」
 パイにジェラートとシャーベットを添えるらしい。
 暑いらしいナギから暑いアッガスに来てるからさっぱり冷たいものは良いね。
「アイスと果物をシェイクするのも用意して欲しい」

 バニラアイスに氷、生クリーム、牛乳、バナナ、プルルン、いちごにシロップでミキサーでジャカジャカするとねっとり美味しいシェイクが出来る。
 果物はもどきばっかだけど。
 メグミだった時に真夏にクミちゃんと果物シェイクするのにハマってた。
 氷をミキサー使うと刃が痛まないか心配だったけどそうでもなかった。
 
「まぁ、甘くて美味しそうねぇ」
「賄いでも出して良いかしらぁ?」
「良いよ。厨房暑いから涼んで欲しいもの」
 茹るマッチョたちにご褒美~。
「「「「あざーす!!」」」」
 どっかの若い子達のノリだなぁ。

「晩餐用は?」
「極上のお肉が入ってるから、ナギ国の方たちはお肉中心ねぇ。船旅じゃ魚も飽きてるかもだしぃ」
「そう、こっちの役人はムカつくから辛めのソースかけちゃって良いよ」
 マジでラー油やカレーのスパイスでヒーヒー言えば良い。
 ま、スパイスも希少品だから勿体無いけど。

「あはは、王都の若い子達は荒波をくぐってないから阿呆よねぇ。親を見て育ったんだと思って生ぬるーく見てあげてねぇ」
 親がああだったとか。終わってるじゃん、王都。

 いや、イダルンダも○ンコだったな。そうか。エリート教育を受けたまるンコたちか。
 不浄に流しても良いかな。

「ガルフ侯爵みたいな人は希少?」
「そうでもないわよぉ~、一部の吹き溜まりにいた連中は要するに後進を育てる気がないジジィたちの餌食だったんでしょ」
 わー。自分たちの代が肥えれば良い人たちか。
「上司に恵まれないって辛いね・・・」
 ネチネチパワハラ課長とかいるよねぇ。

「そうよねぇ、良い上司も仲間もご縁よねぇ」
 ルルゥも他のコックさんたちも力強くウンウン言ってる。あなたたち何があった。

「さぁ、シェイクの見本を作るから味見お願いねぇ」
「「はーい」」
 ん?声が重なった。
 アランが恥ずかしそうだ。

「あはは。あんたもリーシャちゃんに似てきたねぇ」
 ちょっと!何不服そうな顔してるの!
 なんでみんな笑うの!!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

処理中です...