ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
510 / 764
二章

499話

しおりを挟む
 お部屋の中がカラフルかつフローラルになったよ。

 選りすぐりの侍女さんたちとお義母さまとシャロンさまが良い匂いなんですの。

 ドレスもバーンと並べると毎度のことながら壮観だね。
 続きの間にまで並んでるのは五人分なので仕方なし。

 マデリーさまは一番最後なので休んでもらって。

 まずはニーナのドレスを。

「私は添え物程度にしていただければ」
「なぁに言ってるのぉ!ルークの嫁はうちの嫁のようなものぉ。みんな美しくて着飾って、王都の連中にもナギ国の皆さまにもグレーデンの存在感を示さないとぉ」
 ふむ。ナギのお方たちに見窄らしく思われると国の威信に関わるし、王国のあのクソ役人たちにグレーデンが思えたちの実家より羽振りが良いと思わせるのは良い報復だよね。

 って言うか、アッガスの発展とウチの騎士さんたちの強さとか良い加減わかってるとは思うけど。

「まずはニーナは若草色に銀糸のこのドレスはどうかしらぁ?」
「素敵だけど夫がいると知らしめる為に銀と青は外さない方が良いわ」
 ルークの色でバリバリっと魅せるのね。

「そうねぇ、王都でも同じ色で過ごすことになるけど、最初が肝心よねぇ」
 ナギ国の人にニーナが見初められないように?ってことかな。

「ではこの少しグリーンの入った銀のドレスはいかがですか?」
 グラデーションでほんのり。
「まぁ良いわね」
 ニーナ用のドレスが全部で十着。王都でも宴に出たりするから結局全部着るんじゃ??
 言っちゃダメ?
 ちなみに王都のタウンハウスにも家族分と親戚分の予備が揃ってる。
 私のドレスはサイズがアレなので特に多い。
 お義母さまとサイズ調整とかで共用できないから。

「グレーデンの者として赤い色も足したいわねぇ」
 お花のコサージュを腰やスカートに色々使ってみた。

「印象が変わって良いわ」

 お化粧はいつもより柔らかめな印象にして髪は巻いた。ニーナが照れてて可愛い。

 次はシャロンさま。
 お義母さまよりはちょっとだけ身長が小さいのとお胸も迫力じゃないけど、とってもセクシーなので「良いなぁ」って言っちゃうよね。
 筋肉はほどほどに女性らしい柔らかさがある。ハグしてほしい。

「私はダレスさまのお色がほんと似合わなくて困ったのよ」
 金の髪に茶色の瞳は何色も合うと思うのだけど、
「スノウリリィーみたいな迫力がないでしょう?赤や金に見劣りしてる気がして」
 なんて。
「もうぅ、私は顔が派手なだけで貴女のその優しげな瞳が私は羨ましいのよぉ~」
 話しちゃうとそこそこ毒舌な感じだけど、見た目は確かにほんわかするかも。

「リーシャちゃんが考えてくれたドレスのデザンは個性が強くなくても華やかに見せてくれて、でも派手派手しくないのが好きだわ」
 むぅ?派手派手しくって言うかゴテゴテしてたよねー。重いんだよね。コルセット嫌いだし。

「だけどくびれは大事なのよ!」
 そう言ってお義母さまとコルセットを侍女さんたちに「ふん!!」とか締めてもらった。
 怖い。
 ニーナは少し締めただけだったけど、お義母さまたちは「これでもか」ってくらい締める。

「歳を取ればわかるだろうけどどうやってもお肉が垂れるのよぉ」
 いえ!!少なくともお義母さまのお肉は垂れてませんけど!?

 思わずニーナの後ろに隠れる。
 私の身長がそこそこあってお肉が付いてたらコルセット免除は無かったんだろうな。
 くびれがないのも良いものだった。

「シャロンさまはこのゴールドの赤い刺繍のドレスでお義母さまは赤のグラデーションの・・・」
 金のドレスって言っても白金の柔らかめな金色ね。
 胸元に赤いお花のコサージュを飾って。
 お飾りは赤。ダレスさまが贈った魔石だそうで、とっても綺麗なネックレス。

 お義母さまのお飾りもお義父さまが贈った赤い魔石。土台は金。派手なのに派手に見えないエレガントさよ。

 そして私。

 お義母さまのイチオシなドレス。
 赤に薄い金のシフォンを重ねて。派手だ。
 Aラインでスカートの広がりが華やか。
 お飾りはピンクの入った赤い魔石。
 いつの間にやら装飾品が増えてる。
 ジュリアスさまが狩った魔獣から採れた魔石で出来たお飾り一式はもう数えられない。
 お義母さまもかなり持ってる。
「ここの殿方は良い魔石が採れたら妻に贈るのが当然なのよぉ~」
って言うのでありがたく頂くのだ。

「なんだか採れる魔石の質が上がってきてるわね」
「そうねぇ、奥まで行っちゃってるのかしらねぇ?」
「まぁ、ダレスさまもかしら。聞いていないけれど」

 お義父さまもお祖父様たちもダンジョンや魔の森に良く行っちゃってるから、ダレスさまも当然行っちゃってると思う。
 脳筋一族だもの。

 お義母さまたちのお化粧は、なんて言うか絵画の手順かって。
 スッピンが美しいからちょっとやってるくらいと思ったら、すごかった。
 って言うか色っぽさが追加されてるとは言っても、顔の変化がない気がするのにどうなってるんだ??

「艶々よね。ほんとありがたいわ。リーシャちゃんのお化粧水をいただいた時はちょっと泣いたもの」
 そこまで!?

「でしょぉ?私も嬉しすぎて旦那さまと一晩中踊ったのよぉ~」
 一晩中!?

「私も日焼けが消えてびっくりした後で切り傷すら目立たなくなっていたので驚きました」
 椅子に座ってお義母さまたちの様子を眺めていたマデリーさままでお化粧品のお話に参加しちゃった。

「傷まで!?」
「そういえばシミや吹き出物の後も目立ってないわよね?」

 んー、私が試しただけじゃ分からなかった部分。

「成分の配合を変えたので次からのは傷までは治らないかも?」

 ギンって迫力のある目で見ないでください。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...