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二章
497話
しおりを挟むガルフ侯爵とジュリアスさま、リックさまが軽く挨拶してから、今日の仕事は終了とばかりに解散になった。
夕食を食べながら少しお話。
「王都の役人のレベルが下がりすぎじゃなくって?」
「いやぁ、私は魔道師団を見るのが精一杯でー」
「あらぁ?でもぉ、王都外からから雇った魔道師たちはそれなりに使える子だけどぉ、王都の魔導士団の下請けにお任せした魔道具のは不具合報告多いわよぉ~?」
ほよ。
マジですか。権利を預けたその後の魔道具については聞いてなかったなぁ。
「グレーデンの工房の方がいい給金だからやる気無くすんでしょー」
あら。でもかなりブラックですよ。
「魔導師団も半分くらい使えない子を押し付けられてるんでねぇ」
あー、どこもかしこもズブズブなコネの世界。
「外交はこれから仕事が増えるから今のままだと国が潰れるわよぉ」
お義母さまがわりと真剣に言う。
戦争とかになったら、辺境三家がまず矢面になるから洒落にならない。
「今回のことで定期試験導入に持ち込みますよう。でもみんな居なくなりそうー」
わぁ。それは大変。
リックさまが食事が美味しいと食べつつ、美味しくなくなりそうなお話をしている。お気の毒だ。
悪巧みチームがいたほうがマシだったとか泣ける。
「公用語が使えないレベルとかはさすがに厳しいな、うちの騎士は半分は貴族出じゃない。接待を外交官たちに任せれないとはなぁ」
ジュリアスさまが渋い顔。
「王国騎士は貴族出が多いはずだ。道中は近くに配置させたらどうだ」
ルークがそう言うけど、王国騎士さんたちも結構青ざめてたよ。大丈夫かな。
「王女たちはリーシャとルーデウスが側につくとして、あちらの官吏と護衛とのやりとりがしっかり出来るか?」
「セリウスさまを隊長にアンゼリカとデリーあたりを出すが足りるか?」
レオルカさまの方からも少し部隊を借りるんだよ。
「外交が失敗するのは王都側の責任だが港がある以上は窓口はウチなんでそれなりに対応するしかないです」
ルークが冴えざえと笑顔でリックさまを見つめながら言う。
「はー、正直言ってもう少し時間があったとしてもまともな役人が育つ気がしないから今ある人手で頑張るしかない」
どんだけー。教育レベルの見直しを最優先にね。
そういえばネイマーシェに留学は出来ても国として付き合いらしい付き合いがないんだよ。なぜかと思ってたら出来ないのね!
お祖母様が亡くなって途切れたのかなって考えたんだけど、お祖母様はず駆け落ち状態でこっちに来てたからあえてお付き合いする気はなかったんだろう。
「先に頭のいい人を確保しないと留学とかさせる前に就職とかしちゃうかも」
「ははは、優秀な家令や執事や代官候補なんかは身内に確保されちゃうよねー」
困ったねぇ。国に仕えるメリットが無さげだし。
「そして行き場のない無能の押し付け合いが起こると」
シャロンさまがおほほって。実家の父が王宮の人事部で胃に穴が開きがちで早期引退をの申し出たのに辞められず四十代で儚くなったらしい。ひゃー!ブラックの極み。
「財務と法務はハーボットがやりたい放題していたから今残ってるのは良くも悪くも事勿れでしょうし」
「外務はガルフ侯爵になって多少マシでアレじゃぁほんとよく潰れずにいたわねぇ」
なんだろう。権謀術数巡らせてたハーボット家が消えたら悪化とかどうなってんの。
あ。でも薬物や奴隷売買が消えたなら良かったのか。
どっちみち国的に大問題だけど。
「ともかくナギ国との友好条約を結んで気持ち良く帰っていただこう」
「そうだな。輸出入はこの際後回しで」
「後回しはダメ!」
レオルカさまとジュリアスさまが事勿れ~に流そうとした。
「せっかく向こうからお品を持ってきてくれるのにちゃんと決めないと次はいつになることか」
スパイスとか調味料の宝庫だったらどうするのよー!!
「「あ、はい」」
あちらの国の情報とか、海向こうの他の国のこととか聞けるだけ聞きたい。
「国同士のことはガルフ侯爵とリックさまにお任せしますが王女さまたちのことは私がしっかりお相手いたしますから」
めっちゃやばい性格とかしてたら困るけど、向こうも友好しにきてるんだからきっとイケる。
「そうよ、せっかく来てくださるんだからあちらにも巧みがないといけないわ」
「デレードの布地や果物は素敵だったからきっとナギも素敵な出会いがあるわよぉ~」
あ、私以上に食いしん坊なお義母さまが乗ってきた。
「コーナみたいな衝撃な出会いがあるといいわねぇ、リーシャちゃん」
「デレードのお衣装は私たちには露出が多すぎるけれど、殿方が着る分には素敵だったもの」
胸おっぴろげで貴金属がジャラジャラなセクシー衣装をお義父さまとダレスさまが着たら、素晴らしすぎるよね。
ジュリアスさまが着たら、お部屋に閉じ込めて丸三日くらい眺めたい。
「どんなお衣装かしら?楽しみね」
私の頭の中が見えたのかしら?お義母さまとシャロンさまが悪い笑顔をしてるよ。
その夜は久しぶりにジュリアスさまと一緒に寝られて幸せだった。
ジャスパーもお留守番でモフモフがなかったけど。ムッキムキがあれば幸せ。
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