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二章
494話
しおりを挟むすでにナギ国の船は近くまで来てるはず。海の討伐も最終確認になった。
王国騎士団は海には全く慣れてないので陸上警備中心だ。
他の領地の海にも派遣経験がないらしい。平和なのねぇ。そもそもこの国は海を有効活用しなさすぎだよ。
ちなみに今朝早くに、ガルフ侯爵とお付きの三名が少し離れた場所の森に王国騎士団の希望者引き連れて、ボアや一角ウサギを狩ってきて、文句言い役人たちの前で「ははは、私の狩の腕もなかなかであろう?」と言いつつ、捌いてたらしい。
捌けちゃう大臣カッコいいじゃん!筋肉ないからトキめかなかったけど、ちょっと惚れる!
昼食から、大臣たちには肉料理が追加されて、恨めしげに見る人たちを横目に美味しく頂いてたらしい。
大広間の飾り付けや客室の準備も整って、ナギ国の騎士団や従者、船員たちに貸す建物もなんとか用意ができた。
建築中だった商館や工場も急ピッチで仕上げて、グレーデンとアッガスの名産を魅せるためのお店も開店が間に合いそう。良かった。お店は随時増やしていってるんだけど、海外からのお客様を迎えるために、間に合う場所だけ、ちょっと予定を早めた感じ。
それをまたうるさい役人がずるいとか言ってる。
今から売りたい物を自力で持ち込んで、自分たちで接待して契約できるならいくらでも場所を貸すって、レオルカさまやセリウスさまが言ったら、逃げたらしい。
商品を自領からグレーデン騎士隊に運んでもらう気だったのかしら?
ワイバーン隊は借りるとかなりお高いよ?
払う気ないんだろうけど。
王都にいるご家族がナギ国御一行が王都に滞在中に、売り込みしたら良いんじゃないかな。
アッガスが自由にやってると思ってるとしたら、警備や歓待の準備を自領でやりますから王都までの道中の宿泊に我が領を選んでくださいって言えば良いと思うよ。
一泊だって準備が大変だ。
ちなみに王都まで一泊にガルフ侯爵領も予定されてる。大臣が来るの遅かったのは領地に確認に寄ってたからだろう。
海の討伐でたまに大きな雄叫びが聞こえる。大臣たち上層部の人たちは「ほぉ」って感じで、若手からは「ひっ」って聞こえるからわかりやすい。
また辺境は怖いとか野蛮っていう噂が出るかなぁ。
「彼らが確実に仕留めてくれる安心感があるから王都で安寧に暮らせておるのだと心に刻めよ」
ガルフ侯爵が若手にそう言ってくれた。わかってくれる人はちゃんといるのに、どうして辺境下げな人たちが多いのか。
『グレーデン辺境伯夫人、此度は未成年王族がお見えなことで年齢的にも一番近い貴方に負担をお願いするが、我が妻も公爵夫人も得意とまでは言わないが公用語を使える。四六時中とまでは言わないので安心してほしい』
おお、そりゃ高位貴族のご夫人はちゃんとしてらっしゃるわね!良かった。
『仕官している人間より奥方さまたちの方がお仕事出来ますね』
『年齢的にまだ学園がマシだったからなぁ』
『今とは違ったんですか?』
『セラーナ・マーベルハント夫人がいらした頃はとても厳しかったよ』
わぁ。ここでお祖母様の話が出てくるんだ。
『私は男爵家で普通コースだったのであんなものと思ってたんですが、仕官コースや領主コースも緩やかだったんですか?』
『逆に普通コースがわからぬが、息子たちの出来を思うとかなり緩かったようだ』
お?
『家庭教師を増やして対応してしたがな』
なるほど、お高い学費に見合わぬ感じだったのか。
『夫人以外はマーベルハント家の一門は一人も教職についておらぬから勿体無いことだよ』
お祖父様たちは篭って書をまとめたり、現地に調べに行くことが性に合ってるから、教えるのには向いてないよ。多分。
『出来れば、カイダール男爵にも薬学を指導にきてもらいたいくらいなのだ』
『あー・・・お弟子さんを受け入れるとかなら出来ても教えに出るのは無理です』
領地の運営と研究に忙しくて。
私たちが話してる内容をわかる人たちは苦笑、わからない人たちは、自分たちを馬鹿にされてると疑心暗鬼って感じかな。
これで公用語を学ぶ気になれば良いのだけど。
『教師の質によって生徒だった者の将来は随分差がつくものだ』
そうだなぁ。まず教職に就くものを育てないとってなる。
敏腕家庭教師を勧誘してみたり??
『どんなに良き師を得ても学ぶ気がなければ無駄ですけどね』
『で、あろうな』
しょんぼりしちゃうね。
そんな話をしつつも、ナギ国のお方たちのお相手の時、気をつけることや、逆にこちらの風習のことであちらに気を付けてもらうことなどの確認をした。
ダメ役人たちに理解できると良いけどね。
流石にこの内容はレイドラアース語で説明してしっかり認識させるってなったよ。
聞いてないとかわからないとか言い出したら大変。
夕刻前にクラウスさまがやって来て、ガルフ大臣と挨拶した。
みんな公用語で話してて、お義母さまがニッコリしてたのできっちり伝達してたんだね。
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