ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
505 / 764
二章

494話

しおりを挟む
 
 すでにナギ国の船は近くまで来てるはず。海の討伐も最終確認になった。
 王国騎士団は海には全く慣れてないので陸上警備中心だ。
 他の領地の海にも派遣経験がないらしい。平和なのねぇ。そもそもこの国は海を有効活用しなさすぎだよ。
 
 ちなみに今朝早くに、ガルフ侯爵とお付きの三名が少し離れた場所の森に王国騎士団の希望者引き連れて、ボアや一角ウサギを狩ってきて、文句言い役人たちの前で「ははは、私の狩の腕もなかなかであろう?」と言いつつ、捌いてたらしい。
 捌けちゃう大臣カッコいいじゃん!筋肉ないからトキめかなかったけど、ちょっと惚れる!

 昼食から、大臣たちには肉料理が追加されて、恨めしげに見る人たちを横目に美味しく頂いてたらしい。

 大広間の飾り付けや客室の準備も整って、ナギ国の騎士団や従者、船員たちに貸す建物もなんとか用意ができた。

 建築中だった商館や工場も急ピッチで仕上げて、グレーデンとアッガスの名産を魅せるためのお店も開店が間に合いそう。良かった。お店は随時増やしていってるんだけど、海外からのお客様を迎えるために、間に合う場所だけ、ちょっと予定を早めた感じ。

 それをまたうるさい役人がずるいとか言ってる。
 今から売りたい物を自力で持ち込んで、自分たちで接待して契約できるならいくらでも場所を貸すって、レオルカさまやセリウスさまが言ったら、逃げたらしい。
 商品を自領からグレーデン騎士隊に運んでもらう気だったのかしら?
 ワイバーン隊は借りるとかなりお高いよ?
 払う気ないんだろうけど。

 王都にいるご家族がナギ国御一行が王都に滞在中に、売り込みしたら良いんじゃないかな。

 アッガスが自由にやってると思ってるとしたら、警備や歓待の準備を自領でやりますから王都までの道中の宿泊に我が領を選んでくださいって言えば良いと思うよ。
 一泊だって準備が大変だ。

 ちなみに王都まで一泊にガルフ侯爵領も予定されてる。大臣が来るの遅かったのは領地に確認に寄ってたからだろう。


 海の討伐でたまに大きな雄叫びが聞こえる。大臣たち上層部の人たちは「ほぉ」って感じで、若手からは「ひっ」って聞こえるからわかりやすい。
 また辺境は怖いとか野蛮っていう噂が出るかなぁ。

「彼らが確実に仕留めてくれる安心感があるから王都で安寧に暮らせておるのだと心に刻めよ」

 ガルフ侯爵が若手にそう言ってくれた。わかってくれる人はちゃんといるのに、どうして辺境下げな人たちが多いのか。

『グレーデン辺境伯夫人、此度は未成年王族がお見えなことで年齢的にも一番近い貴方に負担をお願いするが、我が妻も公爵夫人も得意とまでは言わないが公用語を使える。四六時中とまでは言わないので安心してほしい』

 おお、そりゃ高位貴族のご夫人はちゃんとしてらっしゃるわね!良かった。

『仕官している人間より奥方さまたちの方がお仕事出来ますね』
『年齢的にまだ学園がマシだったからなぁ』
『今とは違ったんですか?』
『セラーナ・マーベルハント夫人がいらした頃はとても厳しかったよ』

 わぁ。ここでお祖母様の話が出てくるんだ。

『私は男爵家で普通コースだったのであんなものと思ってたんですが、仕官コースや領主コースも緩やかだったんですか?』
『逆に普通コースがわからぬが、息子たちの出来を思うとかなり緩かったようだ』
 お?
『家庭教師を増やして対応してしたがな』
 なるほど、お高い学費に見合わぬ感じだったのか。

『夫人以外はマーベルハント家の一門は一人も教職についておらぬから勿体無いことだよ』

 お祖父様たちは篭って書をまとめたり、現地に調べに行くことが性に合ってるから、教えるのには向いてないよ。多分。

『出来れば、カイダール男爵にも薬学を指導にきてもらいたいくらいなのだ』
『あー・・・お弟子さんを受け入れるとかなら出来ても教えに出るのは無理です』
 領地の運営と研究に忙しくて。

 私たちが話してる内容をわかる人たちは苦笑、わからない人たちは、自分たちを馬鹿にされてると疑心暗鬼って感じかな。
 これで公用語を学ぶ気になれば良いのだけど。

『教師の質によって生徒だった者の将来は随分差がつくものだ』
 そうだなぁ。まず教職に就くものを育てないとってなる。
 敏腕家庭教師を勧誘してみたり??

『どんなに良き師を得ても学ぶ気がなければ無駄ですけどね』
『で、あろうな』

 しょんぼりしちゃうね。

 そんな話をしつつも、ナギ国のお方たちのお相手の時、気をつけることや、逆にこちらの風習のことであちらに気を付けてもらうことなどの確認をした。
 ダメ役人たちに理解できると良いけどね。
 流石にこの内容はレイドラアース語で説明してしっかり認識させるってなったよ。
 聞いてないとかわからないとか言い出したら大変。

 夕刻前にクラウスさまがやって来て、ガルフ大臣と挨拶した。
 みんな公用語で話してて、お義母さまがニッコリしてたのできっちり伝達してたんだね。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...