ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

487話

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 お義母さまを呼んだら、レオルカさまのお母上も来た。
 音速で。と言うのは嘘だけど、お昼過ぎに呼んで夕食後には来ちゃった。
 お義父さまとダレスさま(義伯父上)にワイバーンで送って貰って、お二人は奥様と夜間デートでご機嫌だったけど、奥様たち当面アッガスに残るって言われてガビーンって顔してた。
 そっくりなお顔でおやめください。
 自分たちも残ると言い出したけど、お義父さまはジュリアスさまの忙しい間は領主業をお手伝いだし、ジェイデン領は長男シグルドさまに任せてるダレスさまも、騎士団を色々移動させてる中なので息子を手助けなさいなって、奥様のシャロンさまに言われて泣きながら帰って行った。マジで泣いた。ビックリ。

 愛妻家なのは血筋かな???


 ご懐妊の報告はしてないけど、嫁に頼られたってだけで飛んできてくれたよ。
 シャロンさまを呼んだのは、私がお義母さまを呼ぶ→マデリーちゃんも慣れない夫人業にきっと心細いはずって、なったそう。

 マデリーさまは、お世話をおかけするのに内緒にしていてはいけないと結局はお話しした。

「あらぁ!まぁ!まぁ!」
「レオルカちゃんにはまだ内緒なのは正解ねぇ」

 どうやら、お義父さまもダレスさまも自分の嫁に子供が出来たとわかった途端、はしゃぎ回って、領地中に報告したり、お振る舞いのために速攻で魔の森に飛んで行ったりと大変だったんだそう。
 二人目でも三人目でもそうなるんだとか。
 うわぁ。
 ちなみにお祖父様も。

 レオルカさまは大人しそうなんだけど、やるかな?

「でも先にわかって良かったわねぇ、気が付かないまま忙しくしてると辛いことになる可能性もあったのよぉ!母親思いの子ねぇ」
「ですわね。運の良い子になるわよ」

 ベテランママさんたち、さりげなく無茶しないように釘刺しも忘れない。

「リーシャさまの判断に感謝します」

 私が四ヶ月くらいまで大人しくって言ったことをお義母さまたちに言っちゃった。

「まぁ!お腹が目立ってくるまでって思っていたけれど、確かにそのくらいねぇ」
「そうなるとなるべく書類仕事だけ回したほうが良いわね」
 私なんて必要ないくらい、仕事の振り分けを二人で始めちゃう。

「今回は私たちのやり方を見て学んでるって思っておきなさい」

 歓迎の宴の準備は、百戦錬磨なお義母さまたちがやる気に満ちてるので、私は、王都のクソ役人対策に回ろう。

 今日の仕事を終えてきた、レオルカさまとセリウスさま、アンゼリカさまは、お義母さまとシャロンさまを見て固まった。

「なんでー?」
「うふふ、王都のお方たちに好き放題されるのはやっぱり嫌じゃない?」
「グレーデンを蔑ろにするタヌキたちに格の違いを見せないとねぇ」

 マデリーさまのことを話さないかわりの言い訳は、王都の役人に押し付けた。

「父さんたちが落ち着かないんじゃ?」
「父上、毎日迎えに来るよー?」

 息子たちも父親像はそれで良いのかな。

「うふふ、ちゃんと長男を支えてもらうから大丈夫よ」
「そうねぇ、たまにはシャロンちゃんと遊びたいわぁ」

 シャロンさまは、辺境寄りの伯爵家出身で、王都暮らしは学園の間だけだったそう。
 タイプとしてはお祖母様寄りだけど、お義母さまと仲良し。

「たまには息子の嫁にうざがられるほど構いたいから、この大仕事中は絡むわよ」
「うざいってわかってるなら帰れよ」
 シャロンさまもさすがグレーデン一族の嫁った感じだった。

「シグルドの嫁は構いまくったからレオルカの嫁も同じくらい構うのよ!平等にしないとね」
「そこは平等じゃなくて良いだろうよ」

 ちなみにシグルドさまの嫁、フェリスさまとは仲良しだそう。

「今回は私たちが出張ったほうが王都の輩も困るでしょうよぉ~」
 お義母さまが楽しそうに言えば、三人ともゾッとした顔をした。

「なんでいきなり・・・」
 セリウスさまが小声で私に言ってきた。私のせいだけど、しれっとスルーしたよ。

「心強くて良いではないですか」
「強すぎるよー」

 レオルカさまとアンゼリカさまが固まるほどの母なのねぇ。

「セリウス、あなたから見てアンゼリカはまだ使えるかしら?」
 ん??
「使えるとは?」
 あ、セリウスさまも真面目な顔になった。

「騎士としてよ。あのデリアさまも三十超えたあたりで前線を引いたのよ。冒険者としての復帰には驚いたけれど、騎士として他の子達の命を預かるに足るかしら?」
 男女差は肉体的にどうしてもあるのが辛いところ。

「・・・足ると言えば足ると思います。だが、イトコとして言うなら早めに引いて、シグルドやレオルカの護衛に回ったほうが長く騎士としていられると思っています」
 
 ぬー。お祝いごとで賑やかに過ごすはずかなぜか、アンゼリカさまに引導!?

「言っておくが、護衛は楽な仕事ではない。ただ危険度が下がるほうが、マデリーや伯母上の心配が減る」
「心配されるほど弱くはない。だが引き際は決めている。今ではないだけだ」

 アンゼリカさまは、いつもの朗らかさが消えて冷めた表情だ。

「アンゼリカ、別に剣を置けとは言ってないの。魔の森もダンジョンもルドガーさまやお祖父様のように楽しめば良い、人手がいる時に騎士団を手伝ってもいい。でももう少し私の娘としてゆっくりして欲しいわね」

 
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