493 / 765
二章
482話
しおりを挟むお義母さまは、ジャスパーたちのオヤツに付き合ってくれるのでお任せして、夕食までは私も王様とリックさまから届いていた書簡を読んで返信に悩んで過ごした。
ナギからは未成年の王女が二人と外務大臣と護衛隊と外交官、商人などと船に残る船長と船員、海軍で大型船三隻ほどでこられるそうだ。
王族二人ならお供少ない方かな?
その接待と移動を請け負うのは大変だなぁ。
一番の要件は、やっぱり特効薬の取り扱いについての話で、両国で取引できそうな商品についての関税や受け入れる量などなど。
ナギ国の生産物の売り込みがあって、私が欲しがってるものや、国として受け入れるべき商品の検討を任せたいって。
おーぅ。
薬草やスパイス、繊維とかこっちの大陸で、手に入れにくいものが欲しいよねぇ。
それってこっちの外務官とかがする仕事なんじゃ?
私は学園の普通科の最低限な教養しか学んでないでござる。
あ、十歳まではお母さまの教育があったか。
日本の教育もあったでしょ?って?
そこそこの短大でて中小企業の事務職だったから、海外とどう交渉しようとかないわよねー。てへ。
未成年の王女って、もしかしてだけどぉ、もしかしてだけどぉ、それぇってお見合いさせたいんじゃないのぉ?
うちの王子様ってまだ婚約者いないんだよね。
王子様が二人、どちらかは国内の公爵か侯爵家からって選びたいんだろうけど、海向こうとの縁談はありなのかしら?
まぁどんな王女さまかわからないし、先触れには触れてないみたいだから考え過ぎかなぁ。
デレードからの縁談も驚いたけどねぇ。
政治的なお話も私が同席するのかな。めっちゃ嫌だ。
薬の話が出るため、アーロンお兄様も王都に来るそうで、お祖父様と伯父さまも書記官として呼ばれてるそうだ。
知識人としての協力も期待してるみたい。
リックさまからは、ナギ国は魔道具にも精通しているから、そっち方面の情報や買取が出来るように協力して欲しいって。
自分でできるでしょ!
最後に、p.sっぽく、宰相の頭髪と胃が気の毒だから何かポーションか気休めの液体を用意してやって欲しいって書いてあって吹いた。
気休めの液体って!!!
毛生え薬なぁ。増えてから一気に抜けても良いなら?って良くないわ。誰が希望を感じた後に一瞬で絶望したいか。
思わず一人突っ込みしちゃった。
せめて胃薬、いや精神安定剤の方が良いのかな。
穏やかになり過ぎちゃうと交渉術に影響が出そう。胃薬一択か。
全て終わった後なら安定剤も良いかも。
何となく、当たり障りないような遠回しの「わかりました。頑張ります」的な事をグダグダ書いてお返事にした。
私は美味しいものが食べたかっただけの、マッチョ好きーなおバカです。
難しい事は回してこないで欲しい。
あ、アッガスについては私の責任もあるから頑張るけど、国単位の責任は逃げたい。
ナギについての情報はデレードから得た分とネイマーシェや他国の文献にチラッとあるだけなので、圧倒的に情報が足りない。
私が予想するアジア系な感じでいけると良いんだけど。
ナギ国歓待用のマニュアルとか正解がないから、レイドラアース風で行くしかない。
レオルカさまたちが少しでも気楽になれる情報があると良いんだけどなぁ。
考えてるうちに夕刻のお知らせをニーナがしてくれたので、玄関ホールに向かう。
ジュリアスさまは少し遅くなるみたいで、お祖父様たちだけ帰ってきた。
「お帰りなさい」
「よし来い!嫁!」
何てこった。お義父さまがいないから、お祖母様がお義母さまの突撃を受けることに。
ダン!
「ふぅー!!」
熱烈歓迎な抱き合いになった。
「なかなかやるねぇ」
「鍛えた甲斐がありましたわぁ」
やっぱり虎ノ門か何かだよ。私も次世代が育ったらお義母さまくらいの突撃をしないといけないのかな。
「俺にもおかえりは?」
「私がしましょうかぁ?」
お祖父様にはなぜかルルゥが!
「いや、断る」
「ケチねぇ」
あら、断っちゃった。そこは「だが断る」にしてほしかった。
「オッさんと抱き合うのはないなぁ」
「誰がオッさんだよ」
ルルゥが低い声出した。
んー、二十七、八は微妙なお年頃だね。見た目的におっさん同士・・・オッ○ンズラブ!!!アリアリのアリ!!!
お色気系オネェとヤンチャなオジ、良い。
薄い本下さーーーい!
マッチョオネェ×マッチョオジだよ。
あ、どっちがどっち。
・・・自分の旦那さま似の薄い本はやめとこう。なんかごめん。
セリウスさまとお義父さまはアッガスに行っててお泊まり。ジュリアスさまとクラウスさまは、騎士団が護衛を引き受けることになったための編成と対応についての会議で遅いらしい。
お宿でゆったりした後に一気に現実に戻った。
夕食の席でも、アッガスやナギのことを話した。
そんな空気を気にしてか、ポムたちがいつもよりお尻フリフリあざとさいっぱいで踊ったり、ジャスパーとアズライトがお祖父様やスピネルさんたちの頭に登ろうとして笑いをとってくれた。良い子たち。
「なるようになるさね」
お祖母様がなんてことないと笑うのが心強いな。
702
お気に入りに追加
1,876
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる