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二章
478話
しおりを挟むチュンチュン・・・
ならぬ、ギャオーで目覚めた。
チュンでも何も起こってないけどね!
居住区では、卵のために大型の鳥を飼ってる。グレーデン邸はここのを分けてもらったり、商会から仕入れたり、もしくは森で新鮮生まれたてのを親含めて頂いちゃったりね。
コケコッコーでもクックドゥルドゥーでもなくギャオーが辺境って感じね。
今日はガッチリ抱きしめられたままなので変な格好じゃない。
「朝か」
「おはようございます」
一階平屋なので、空もちょっと遠いよ。
屋敷は天井が高いから、ニ階と言っても四階くらいに感じる。
私が小さいから?
窓から見える庭もいつもの洋風じゃないのが不思議に感じる。
温度変化が激しくないから、薄曇りの霧とかないけど、朝には朝の風情がある。
石庭はやっぱ作って良かった。
木も和な剪定とかできたら良いんだけど無理かな。
「リーシャ?何か懐かしいものでも見てるかのようだな」
「え」
「あまり見たことのない顔をしてる」
なんだろう。懐かしい、になるかな。
京都や金沢に行った思い出的な?
「楽しいなって思っただけですよ?」
「そうか?」
バフっとジュリアスさまの胸に埋まってみた。ジュリアスさまの胸元は少し崩れてる。浴衣だったらもっと崩れたのに!勿体無いことしたかも。
私も抱き込まれていたからかはだけたりはない。崩れないのは胸がないからとかじゃないよね?
朝のイチャイチャタイムをたっぷり堪能して、ニーナを呼ぶ。
全く仕事をさせないとかは怒られそうだから。
「おはようございます」
「おはよう、ニーナ」
すでにお仕着せを着てる。早いよぅ。
私の洗顔と着替えを手伝ってもらった。
「お風呂楽しめた?」
「はい、お空を見ながら過ごしました」
ほんのりお肌の具合がよろしいようで。
泉質が良かったかしら?
「グレーデン家の皆様がお寛ぎになるにはもってこいのお風呂です」
それは何より。
ジュリアスさまもラフな格好に着替えたので、まずは朝食の準備に。
やっぱりついて来ちゃう。
すでにルルゥがゴハーンを炊いて、お魚を焼き初めてた。
「おはよう~」
「おはよう~☆」
朝食はシャケの朝定のイメージで。
ゴハーン、海苔と漬物、お味噌汁。
シャケがないのでシャケっぽい魚の切り身。大きめ。
納豆はないので、おぼろ豆腐にした。
男性陣は足りないだろうから、具をいろいろなおにぎりとお肉を生姜焼きっぽく焼いたのを付ける。
ディディエとポムとティムがルルゥと一緒に魚の火加減見てた。
昨日静かだったな。
ジャスパーとアズライトはまだ寝てるらしい。
「私はジャスパーと寝ました。至福の時間でした」
ニーナがうっとり。
あれ?ルークはお預けだったのか。いや、チェイスさんとアモンさんもいるから、そもそも落ち着かないよね。
「ポムたちは?」
「ポムとティムはアランとジェイクのそばにいました」
ん?アズライトはどうしてたんだろう。
「おはようございます!!」
「はよーっす」
アモンさんとチェイスさんが入って来た。
「いやー、昨日は外から歩いてたら、獲物が自らやって来たっす」
夜間警備中に小さめのボアが突撃して来たから、おやつゲットになったらしい。
「魔物避けが厳重なのに出たの?」
「これくらいは見逃されるんで、だってオヤツ食べたいですからねぇ」
弱いのは通れちゃうってやつか。
「ぶっちゃけ、この居住区に住んでる奴らなら、子供でもこれのニ倍くらいまでは平気だろう」
「子供だけじゃダメだろう」
二人で意見の相違だ。
「嘘を教えないでください。少し奥を見に行ったでしょう?」
ルークが奥の部屋から出て来た。アズライトを頭に乗せてる。
「嘘?」
「そうですよ。居住区はもちろん、この宿は大奥様たちも泊まる予定です。安全を確保するに決まってるでしょう」
お義母さまなら、なんか倒せそうな気もする。
「まぁ、ちょっと走ったけど、ちょっとだぜ?」
ルークがとっても冷たい目で見てるよ!
チェイスさんって、わりと強心臓だ。
ニーナがアランとジェイクに指示して、お皿を並べてくれてる。
「朝食はみんなで食べよう」
私たちが使った部屋の隣の部屋の襖を外せば広くなる。
「お皿に盛ったのから運んでちょうだぁい」
「「「「おう」」」」
「プッキュン」
「モッキュン」
ポムとティムが小皿を持ち上げて運ぶってやってる。
可愛いけど、時間かかりそう。
「まぁ!私の肩に乗っていきましょう」
ニーナがしゃがんで二匹を肩に乗せると、ニーナもお盆におかずを乗せて運んでいく。
「いい女だなぁ」
「出遅れたよなー」
チェイスさんとアモンさんってば、ニーナを狙ってたの?あげないよ!
ルークがジトっと見てるから帰ったら仕事増やされるか猛特訓になるか。
私は知らないよ~。
「お魚もバッチリィ~」
ルルゥが我関せずだ。
机に並べられた食事は、すでに私の思い描いた朝定じゃないけど、美味しそう。
みんな、座ったら、
「いただきます」
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