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二章

471話

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 みんなが勢揃いの食卓は嬉しい。
 結局、お祖父様たちは、離れを作っても夕食はこちらなのでずっと賑やかでいられる。

「そーいえば、出来立ての森に変わった木があったから引っこ抜いて持ってきた」
「余ってる土地に植えたら良いさね」

 ほほう!その木なんの木気になる木!!

 木の実も雑草も見かけないのは回収してきたんだって。
 もし有用なのあったら、魔の森潰しちゃってショック!!ってなるかも。


 ファイアドリルバードは照り煮と丸焼きで出てきた。
「こってりして美味しいのよぉ~」
 お義母さまの唇がツヤッツヤに!!
 もし蜜蝋よりプルプルするグロスリップを作ったら油物食べたって言われちゃう?
 でもやっぱりセクシーな唇に見えるからあると良いなぁ。

「どうした?リーシャもいっぱい食べると良い」
「はい」
 自爆鳥はなんて言うか油?皮がとっても油を含んでて焼いてあるけどジュワッと溢れる凄さ。 
 この油分で自分を燃やすんだね。

 そして味!!濃厚なのに後味スッキリ。
 不思議だけど、なんだろう。山椒とマスタードみたいなのが混じった複雑な感じのピリッとした味がする。
 そんな味の木の実を食べてるのかな。

「これは美味しいです!!」
「そうであろう」
「ははは、もっと食え!!」

 デーンとお皿に乗せらたるけどそんなに食べれないよー。

『主よ、この味の木の実は魔の森の深いところにあるの。そうそう入れない深い森じゃの』
 なんだって!!弱いらしいのにそんな奥地に!?
 (じゃぁ、採りにいけないね)
 しょんぼりだよ。
『ライデンに頼めば良かろうの』
 (森の守護獣にお使いさせるの!?)
『美味い菓子や酒をやれば尻尾を振って持ってくるんではないかの?』
 
 いやいや、人間界に関わらないって言ってたじゃない。

「リーシャちゃん、このお肉の味は私もいろんなハーブを混合して試してるけど近い味が出せないわぁ」
 ルルゥがお義父さまに追加を持ってきた時に言われる。
 私が自爆鳥を噛み締めてるから気がついたのかな。

 山椒やマスタードはそれに近いハーブがあるんだけど、自爆鳥の深い味わいは何味なんだろうねぇ?

「ルルゥが無理なら私も無理だねぇ」
「あらぁ買い被りよぉ☆リーシャちゃんの発想力は私にはないものぉ」
 私はあっちの世界の記憶があるだけで神の舌は持ってないよ。

「これの味が出たらそれは嬉しいが、また捕まえてこれば良いのじゃからそう悩まぬで良いぞぅ」

 お肉以外にも使いたい気もするけど、無いものは無いんだから、このお肉を楽しめば良いか。

 (ライデンを食い意地に巻き込んじゃよダメだよ。ポムもティムもね?)

 自爆鳥を美味しく食べてたポムとティムは「!?」ってこっち向いた。
 考えてたね。これは。

 ジャスパーもこの鳥肉はかなり好きみたい。
 しっかし何羽獲ってきたんだろう。

 他にもクマも蜘蛛も色々出てきた。

 そんなに食べれないってば。

 デザートの時には、冷えたプルルン大が出てきた。

「これは何もしなくても満足感いっぱいだ」
「味もいいし、腹にたまる」

 あっという間に山盛りのプルルン大が消えた。ポムとティムは胸張りだよ。

 でもお義母さまは普通にケーキを四ホール食べた。

「そういえば、乾燥するタグ?とプレートは少し試したが面白かった。あれは良いな。防具庫にも良かろう」
 鉄や皮の防具は、湿気に弱いから手入れが大変で、湿度調整出来れば助かるんだそうだ。
 マジックバッグやボックスがあるけど、獲物を回収するとか他の用途で使ってるから、防具や普段使ってないものまで収納する分はない。
 ふーむ。まとめてマジックバッグにしまっておくと逆にいざとなった時使えないだろうし、仕方ないね。

 お義父さまがどちらも商業ギルドと魔道具ギルドに登録するってことなので、最終決定版が出来たらお願いする。

 料理学校については、今取り掛かってる旅館関係が落ち着いたら始めることになった。

 グレーデンだけでやると五月蝿いのがいるからのって、王都でも学校が必要だって言われた。
 確かにグレーデンに来れない地域も人もいるだろうなぁ。

「グレーデンで料理を食べたら確かに普段の料理が食べれなくなるな」
 ザイルさんとスピネルさんたちも大きく頷いた。
 私も塩味だけには戻りたくないな。

「何も一気に進めなくても良いだろうさね、しっかり計画を練ってから取り掛かろうではないか」
 お義父さまのパワフルさと勢いで行きがちだけど、急に工場や工房がいっぱい出来て、雇用も大変だからね。

「善は急げなのじゃぞぅ」
「慌てると足元を掬われるさね」
 
 そのあとは、ジュリアスさまの休暇の話になって、一週間後に取れることになった。

「その後は私たちが順番よぉ~」

 和風のお宿の期待値が高い。
 後から泊まるお義母さまたちのために不便はないかとか、チェックしないとなぁ。



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