ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
479 / 765
二章

468話

しおりを挟む
 
 もふもふもちもち。ふかふか。

「・・・んっ・・・リーシャ?」

 ジュリアスさまの声で起きた私は、自分の寝相と自分の手の位置にびっくりした。

 ジュリアスさまに体半分よじ登って、胸と腿を揉んでいたっぽい。

 ぎゃぁーーーーーーー!!痴女!!

 頭はジュリアスさまの腹筋という自分の欲望丸出しなポジション!!!

 夢の中のふかふかは、大胸筋だったのかしら?

 なぜ今日はガッチリ抱き込まれてなかったんだろう。
 ジャスパーはジュリアスさまの足の間に大の字だ。器用。

「ごめんなさい」
「いや・・・」

 私を抱き上げつつベッドから降りて、ハグとキスをもらう。

「おはよう」
「おはようございます」
『クワァ~!おはようなんだぞ』

 ジュリアスさまの足の間もちょっと羨ましいと思っちゃった。太腿四頭筋に抱きついてヒラメ筋に挟まれたい。

 ニーナを呼び入れて着替えてから食堂に向かえば、すでにセリウスさまたちが席についてた。
 
「おはよー、朝の鍛錬でタグ使ってみたんだけど、すっごく面白かったー」
 面白いとは?
「汗がじわっときた瞬間にスッと乾くのってなんか変な感覚だよー!ずっとさっぱりしてて楽しー」

 それは効きすぎな気がするな。

 汗滴る筋肉さまを拝めないじゃないか。

「適度な湿気は欲しいんですけどね?」
「そうー?」
 
 皮パンはサラッとしてた方がいいかな。蒸れない安心は違うか。
 一日皮パンを履いて過ごしてみないとわからないかなぁ。

「リーシャさま!!服に縫い付けようと思って一旦寝具に置いたらブワッと綿が膨らんでとっても気持ちよく寝ちゃいました」
 サラがそう報告してくれると、侍女さんメイドさんが一斉に彼女を見た。
「「「「「「「!!!!!!???」」」」」」」

 布団乾燥!!!!

 〈洗浄〉も綺麗になるけど、それより強力に湿気を飛ばす効果が!!!

「快適な寝床・・・」

 タグ、クローゼットに置いておくといいかもしんない。

「あはは、プレートタイプを作るね?」
「「「「ありがとうございます!!!」」」」

 尋常じゃない喜ばれ方だ。

「それー、僕たちも欲しいなー」
「はいはい」

 タグよりは魔法陣が定着しやすいし、サイズも大きく出来るから楽だよ。

 お義母さまが食堂に入ってきた。
「おはよう~」
「「「おはよう」」」
「おはようございます。お義母さま」
 
 揃ったのでお祈りして食事を始める。

「お風呂上がりにねぇ、タグを持ったら髪の毛乾いてびっくりしちゃったぁ」
 ポムたちみたいなことしてる。

「それなりの水分が残ってないと髪が痛むんで、タグでの乾燥はお勧めじゃないです」
「「「「!!!!!???」」」」

 あ、何人かの侍従さんと侍女さんが目を見開いた。
 使用目的じゃないご利用はやめましょうね。

「水分が抜けちゃうとダメなのぉ?」
「そうですね、水分抜けきっちゃうとギシギシってなって途中でキレやすくなるかも?」
 
 一回くらいなら大丈夫だけど。

「それは大変ねぇ、お風呂入ってきた方が良いかしらぁ?」
「そこまでしなくてもいいと思いますけど、化粧水を薄めて手で少し塗れば少し潤うかも??」
 手作り化粧水なので髪に悪いものは入ってないし、うる艶成分だしね。

 タグの吸収率を少し変えよう。
 うっかり使うとパリパリになっちゃう。

「服に縫い付けたら服だけに作用するんだろう?」
「そうですね、タグが接してる一種類に作用するはずです」
 体に作用したのは〈人間〉で枠決めしたのかも??

「もう少し指定を細かく入れて改良しますね」
「無理のない程度に頼むよ」

 そんなわけで、今日もお宿での料理の下拵えとレシピ編纂と〈乾燥〉の術式改良を頑張ろー!

 朝食後に離れに向かった。

「まずは、料理をするからアランとジェイクは自由にしててね」

 今日はお宿で過ごす時用の下拵えをやっちゃうの。
 さすがに当日に手際良くは出来ないからね。

 午前中は、出汁を作って、ゴハーンを土鍋で炊いたり、煮物用の野菜を飾り切りしたり。
 漬物は浅漬け。塩で叩いただけだけど、まぁそれっぽいでしょ。
 野菜のピクルスも使っちゃおう。

 一通り納得したら、お昼は余った野菜くずを煮込んだスープとサンドイッチにした。

 やっぱり昼時にはちゃっかり待ってるアズライトとポム、ティム。
 最近ディディエはルルゥのそばをあまり離れない。子供の時期を過ぎて、主一筋になってきてるんだそう。
 もしかしてポムとティムが教師だったの?大丈夫かな??

 アズライトが私ベッタリじゃないのは、アズライトと私の契約は後天的で、ディディエは生まれる前から、先天的だから、関係性が違うんだって。
 んー、まぁ、ベッタリは望んでないけど、なんか切ないのはなぜだろう。

「サンドイッチの肉にパバブをもっと塗ってくれるかの」
 もうさ、サンドイッチを一口食べて、飲み込む前にパバブを一口齧ればいいんじゃないかなぁ。

 ポムとティムもパバブの葉っぱをサンドイッチに入れてる。

「辛いの好きすぎるんだよねぇ」

 ワサビ入り団子とか普通に喜ぶんだろうな。
 つい試したくなっちゃう。

 午後からは、先に〈乾燥〉プレートとタグの方を優先することにした。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...