ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

468話

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 もふもふもちもち。ふかふか。

「・・・んっ・・・リーシャ?」

 ジュリアスさまの声で起きた私は、自分の寝相と自分の手の位置にびっくりした。

 ジュリアスさまに体半分よじ登って、胸と腿を揉んでいたっぽい。

 ぎゃぁーーーーーーー!!痴女!!

 頭はジュリアスさまの腹筋という自分の欲望丸出しなポジション!!!

 夢の中のふかふかは、大胸筋だったのかしら?

 なぜ今日はガッチリ抱き込まれてなかったんだろう。
 ジャスパーはジュリアスさまの足の間に大の字だ。器用。

「ごめんなさい」
「いや・・・」

 私を抱き上げつつベッドから降りて、ハグとキスをもらう。

「おはよう」
「おはようございます」
『クワァ~!おはようなんだぞ』

 ジュリアスさまの足の間もちょっと羨ましいと思っちゃった。太腿四頭筋に抱きついてヒラメ筋に挟まれたい。

 ニーナを呼び入れて着替えてから食堂に向かえば、すでにセリウスさまたちが席についてた。
 
「おはよー、朝の鍛錬でタグ使ってみたんだけど、すっごく面白かったー」
 面白いとは?
「汗がじわっときた瞬間にスッと乾くのってなんか変な感覚だよー!ずっとさっぱりしてて楽しー」

 それは効きすぎな気がするな。

 汗滴る筋肉さまを拝めないじゃないか。

「適度な湿気は欲しいんですけどね?」
「そうー?」
 
 皮パンはサラッとしてた方がいいかな。蒸れない安心は違うか。
 一日皮パンを履いて過ごしてみないとわからないかなぁ。

「リーシャさま!!服に縫い付けようと思って一旦寝具に置いたらブワッと綿が膨らんでとっても気持ちよく寝ちゃいました」
 サラがそう報告してくれると、侍女さんメイドさんが一斉に彼女を見た。
「「「「「「「!!!!!!???」」」」」」」

 布団乾燥!!!!

 〈洗浄〉も綺麗になるけど、それより強力に湿気を飛ばす効果が!!!

「快適な寝床・・・」

 タグ、クローゼットに置いておくといいかもしんない。

「あはは、プレートタイプを作るね?」
「「「「ありがとうございます!!!」」」」

 尋常じゃない喜ばれ方だ。

「それー、僕たちも欲しいなー」
「はいはい」

 タグよりは魔法陣が定着しやすいし、サイズも大きく出来るから楽だよ。

 お義母さまが食堂に入ってきた。
「おはよう~」
「「「おはよう」」」
「おはようございます。お義母さま」
 
 揃ったのでお祈りして食事を始める。

「お風呂上がりにねぇ、タグを持ったら髪の毛乾いてびっくりしちゃったぁ」
 ポムたちみたいなことしてる。

「それなりの水分が残ってないと髪が痛むんで、タグでの乾燥はお勧めじゃないです」
「「「「!!!!!???」」」」

 あ、何人かの侍従さんと侍女さんが目を見開いた。
 使用目的じゃないご利用はやめましょうね。

「水分が抜けちゃうとダメなのぉ?」
「そうですね、水分抜けきっちゃうとギシギシってなって途中でキレやすくなるかも?」
 
 一回くらいなら大丈夫だけど。

「それは大変ねぇ、お風呂入ってきた方が良いかしらぁ?」
「そこまでしなくてもいいと思いますけど、化粧水を薄めて手で少し塗れば少し潤うかも??」
 手作り化粧水なので髪に悪いものは入ってないし、うる艶成分だしね。

 タグの吸収率を少し変えよう。
 うっかり使うとパリパリになっちゃう。

「服に縫い付けたら服だけに作用するんだろう?」
「そうですね、タグが接してる一種類に作用するはずです」
 体に作用したのは〈人間〉で枠決めしたのかも??

「もう少し指定を細かく入れて改良しますね」
「無理のない程度に頼むよ」

 そんなわけで、今日もお宿での料理の下拵えとレシピ編纂と〈乾燥〉の術式改良を頑張ろー!

 朝食後に離れに向かった。

「まずは、料理をするからアランとジェイクは自由にしててね」

 今日はお宿で過ごす時用の下拵えをやっちゃうの。
 さすがに当日に手際良くは出来ないからね。

 午前中は、出汁を作って、ゴハーンを土鍋で炊いたり、煮物用の野菜を飾り切りしたり。
 漬物は浅漬け。塩で叩いただけだけど、まぁそれっぽいでしょ。
 野菜のピクルスも使っちゃおう。

 一通り納得したら、お昼は余った野菜くずを煮込んだスープとサンドイッチにした。

 やっぱり昼時にはちゃっかり待ってるアズライトとポム、ティム。
 最近ディディエはルルゥのそばをあまり離れない。子供の時期を過ぎて、主一筋になってきてるんだそう。
 もしかしてポムとティムが教師だったの?大丈夫かな??

 アズライトが私ベッタリじゃないのは、アズライトと私の契約は後天的で、ディディエは生まれる前から、先天的だから、関係性が違うんだって。
 んー、まぁ、ベッタリは望んでないけど、なんか切ないのはなぜだろう。

「サンドイッチの肉にパバブをもっと塗ってくれるかの」
 もうさ、サンドイッチを一口食べて、飲み込む前にパバブを一口齧ればいいんじゃないかなぁ。

 ポムとティムもパバブの葉っぱをサンドイッチに入れてる。

「辛いの好きすぎるんだよねぇ」

 ワサビ入り団子とか普通に喜ぶんだろうな。
 つい試したくなっちゃう。

 午後からは、先に〈乾燥〉プレートとタグの方を優先することにした。




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