上 下
477 / 710
二章

466話

しおりを挟む
 お昼ご飯は、昨日の試食用のお魚を使って、鯛茶漬けもどき。

 敏感に匂いを察知したアズライトとポムとティムが窓から入ってきて全裸待機。元々マッパだってば。

 アズライトにはパバブを山盛りにしてある。

 アランとジェイクが五杯にお肉、ニーナが三杯におにぎり一つ。
 ニーナってば、グレーデンの胃袋になってるのよねぇ。

 美味しそうに食べてくれるから良いか。

 ちなみにニーナとルークは休みの日以外は従者棟で賄いを食べてるそう。
 休みにはニーナの手料理が食べれるだと?ってちょっとギリギリしちゃうよ。
 でも私のおかげでなんとか料理が出来るって、はにかむ姿が可愛いから良いの。

「プキュー」
「モキュッ」

 スプーンを片手にうま~ってやってくれるポムとティム。可愛い。流石にお茶漬けは食べにくいかな。
 アズライトは、茶碗口に首を差し入れてバクっとやってる。
 パバブもバクって。辛そう。激辛だよ。

「ゴハーンは色々使えて良いですね。炊飯器が家庭にも欲しいです」

 んー?今は業務用の大釜みたいなサイズだけだったかな??

「お義父さまに聞いてみるね」

 土鍋ご飯もやりたいし、ホームベーカリーも欲しいな。
 うちのコックさんが機械使わない系だから、後回しにしてたけど個人宅用なら需要があるよね。
 でもグレーデンの家庭は大容量で良さげ??

 とりあえず私が料理の試作を作る時用に扱いやすいサイズで考えてみようかな。
 一人暮らし用で売ってる設定な家電を思い出せー。

 午後からもレシピを書き書きして過ごした。

 料理学校については、どんな目的か、規模、かかる費用と、学費など、ざっくりした提案だけ。
 講師とかどのくらいのレシピを公開するかみたいなのは、その都度ね。

 料理を思い出すのに煮詰まって、制服への付与魔法を考える。

 作業部屋に入って、小さめな布に魔法陣を書き込んでみた。

 水を掛ければ、濡れたところが一瞬で乾いた。
 アランとジェイクに皮パンの内側に布を入れてもらってちょっと走ってきてもらった。

「汗蒸れは感じないですが逆に乾燥しすぎで肌が痛い気がします」
 おほー!難しいのね!
 
 ちなみに上半身はしっかり汗かいたそうだ。

 同じ生地なら反応したかな。

 人間の方の水分も吸収しちゃう勢いがあったのかと調べたかったんだけど、アランとジェイクに下着になれって言うのは事件だ。
 セクハラになっちゃうので、困ったぞ。

 ジュリアスさまに試してもらうしかないかな。

 とりあえず、〈速乾〉を〈乾燥〉くらいに抑えめで術式を変えてみた。
 水魔法を少し足すべきか。

「上着に入れて試したらサラッとして気持ちいいです」
 私が改良してる間に、上着で試してくれてた。
 上着はジャケットが綿生地、シャツが綿麻混合なんだよね。
 シャツのポケットに入れてみたらシャツがサラサラでジャケットに張り付かないって。
 
 じゃぁ二種類作ってみるかー。
 ついでに〈涼感〉も仕込むか。

 生地自体に〈防御〉〈防火〉〈魔法反射〉みたいな戦闘向き付与がされてる。

 涼感、速乾みたいなのは魔法の応用なので発想が無かったのかな。
 〈洗浄〉を使えば済むって感じで。
 行動中の汗とかまではね。

 暑さなんか蹴散らせ的なのもあるかな。

 魔法陣を書いた布をタグみたいに縫い付ければいい感じにしたいのでさっき書いたのより小さめの布を使ってみたよ。

 二回目に作ったのをまた皮パンに挟んで走ってもらった。

「これなら肌がヒリつきません」

 いい感じに笑顔だったので、とりあえずお試しでタグ一回目のと二回目のと布の色を変えて千ずつ錬金術で量産した。
 
 配る前にジュリアスさまたちとお義父さまたちのご年配の人にも試してもらおう。
 皮膚の感じで使用感が違うかも。

「リーシャさま、私たち使用人にも〈乾燥〉のタグ欲しいです」
 は!!!!そりゃそうか。

「そっか。汗かくね。じゃニーナとセバスチャンとハロルドにお試ししてもらうね」
 思いやりが足りなかった。
 
 メイド服に脇汗とか嫌だよね。
 執事服なんてジャケットにベストだし。

「おそらくですが淑女の間にも流行りますので大量生産になると思います」

 ひゃーー!!!
 魔導師が足りないよ。すでにスーパーブラックな魔導師工房から死人が出るよ。

「んんーーーーー!とりあえずグレーデンだけで!」

 早く魔導師を育ててもらわないと。

 領内の騎士団と使用人だけでも多分万単位でいるから商売っ気出せないよ。

「そうですね。コルセットでギシギシになってる夫人たちに知られないようにしませんと」

 うぉぉお。それは怖い。

 お義母さまには外部に漏らさないようにお伝えしないと。

 ゾッとしたので、とりあえずもう千組作った。

 完成版じゃないけど。

 なぜか〈速乾〉タグをポムとティムがお腹にくっつけて、アズライトが水をかけて遊び出した。

「プッキューーーン」
「モッキューーーウ」

 シャワーを気持ちよさそうに浴びたと思えばシュッと乾燥して、毛がふわふわになった。
 綿毛!!!!!

 それを数回繰り返して、水分含んだと思えばすぐ毛がふわっとするのでニーナが悶えてる。

 これはジャスパーにも試したい。

 夕刻になったので、ふわふわになったポムとティムをニーナが胸元に抱いて、みんなで本邸に戻った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~

鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。 大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。 見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。 黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…? 対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

愛なんてどこにもないと知っている

紫楼
恋愛
 私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。  相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。  白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。  結局は追い出されて、家に帰された。  両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。  一年もしないうちに再婚を命じられた。  彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。  私は何も期待できないことを知っている。  彼は私を愛さない。 主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。  作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。  誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。 他サイトにも載せています。

婚約破棄にも寝過ごした

シアノ
恋愛
 悪役令嬢なんて面倒くさい。  とにかくひたすら寝ていたい。  三度の飯より睡眠が好きな私、エルミーヌ・バタンテールはある朝不意に、この世界が前世にあったドキラブ夢なんちゃらという乙女ゲームによく似ているなーと気が付いたのだった。  そして私は、悪役令嬢と呼ばれるライバルポジションで、最終的に断罪されて塔に幽閉されて一生を送ることになるらしい。  それって──最高じゃない?  ひたすら寝て過ごすためなら努力も惜しまない!まずは寝るけど!おやすみなさい! 10/25 続きました。3はライオール視点、4はエルミーヌ視点です。 これで完結となります。ありがとうございました!

処理中です...