ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
474 / 764
二章

463話

しおりを挟む
 午後は離れ周りに畑にある野菜や果物のチェックをしようと出かけた。

 ポムたちが自分達に手柄をドヤァとしつつ、あれが美味しくなってる、あっちも美味しいと身振り手振りで説明してくれる。

 野菜の種類も増えた・・・?

「ねぇ、ニーナ、あの葉っぱはなぜ揺れてるのかしら?」
「ほんとですね?風はそこまで吹いてないですよねね」
 なぜかあの一帯だけフラワーロックみたいな状態。

『ほぅ、ポムよ。マンドラゴラを植えたのかの?』
 マンドラゴラー?
 ポムはサムズアップみたいにしてるけど、錬金素材の抜くと死んじゃう伝説のやつ?

『あの頃合いで抜かないと脱走するの』
 えええ!
 野菜が脱走するの!?

『グレーデンでは良く根が捻じれている素材があるであろ?魔素がたっぷりの土地で育つから魔物化の直前のものじゃ、じゃからあのマンドラゴラはきっと生きが良いよの』

 あのセクシー大根や人参もどきって寸前だったのか!!!???
 ヤバい食材じゃん!

「抜いたら絶叫するんだよね?」
『そうさの、土の表面でぶった斬って息の根を止めてから収穫でも良いが鮮度が一気に落ちるの』
 一気に落ちちゃうんだ。
 錬金素材ならそのままにしたい。

「プッキュ」
「モッキュ」
『酒にしたいからぶった斬らないで欲しいらしいの』
 それはまたとんでもなお酒だなぁ。
 なんだっけ、神経毒とかなかったか?

「プッキュウウキュキュ」
「モッキュモキュモッキュ」
『他の薬草と混ぜたらいい塩梅らしいの』

 そっかぁ。ならいいかなぁ?

『それ、ポムとティム、我が結界を張ってやるから一気に抜くがいいの』

 土魔法で撹拌してる風魔法で土とマンドラゴラを分けて、一瞬で終わらせた。
 ハイスペックだね。

 引き抜かれて、風で踊っていたマンドゴラはこの世の終わりのような表情で、結界で外には聞こえなかったけど、多分物凄い絶叫してたよ。夢に出そう。

 そしてなぜか一山プレゼントされた。
「プーーキュン!」
「モーーーキュン!」
 フンスとポムとティムが山を指差す。
『性欲マシマシな栄養剤ができるそうだの』
 えー、マシマシ素材ばっかりいらないかも。
『ポーションで済むが怪我の痛み止めや睡眠剤にもなる。取っておけば良いの』
 そうね。素材としてはありがたいし、新鮮さも抜群だ。

「ありがとうね」
 クッキーを出すとお尻フリフリ歓喜の舞をしてくれて、ニーナがニヨニヨしてる。

 とりあえず、ポムたちのマンドラゴラも預かって、近くにいたケビンや他の庭師にポムたちの細い薬草とハーブを集めてもらって。

 マイ酒蔵へ入る。

 ほとんどが完成してたのでアランとジェイクに樽へ入れてもらう。

「いい香りすぎる」
「俺はもうエールが飲めない」
 二人とも呑兵衛になって来てるようだ。合掌。

 タンクの〈洗浄〉をして、ポムの指示でマンドラゴラと薬草、ハーブと入れて行く。
 最後に二匹で何か舞を始めたので、人間が飲めないものになりそう。
『ほほう、我も飲みたいからの』
 そう言って、多分水を霊水に変えちゃったね。

 精霊王にマシマシになっていただくとして。

 他のタンクは、日本酒とウオッカとワインが欲しいからそれ系になる素材を詰めた。

 今から作ると多分、お宿の前日に行けないかな。
 時間経過早めたタンクだけね。

「アラン、ジェイク、小瓶分だけだよ」
「「はーい」」
 もちろんニーナにも。
 手伝ってもらってるのと、表に出せない分の口止めでもある。
 もちろん賄賂なくても口を割ることはないと信用してるけどね。

 お酒に仕込みが済んだので、お宿での料理の試作をする。

 アランとジェイクには訓練してもらって、ニーナだけお手伝い。

 厨房に入ったからか、ポムもティムも興味津々で様子を伺ってる。

 まずは汁物かな。
 お出汁を取って、お魚使おう。

 うん。お刺身~はあんまりだから半分は焼いたり炙ったりしないとかな。

 酢の物と天ぷらと。
 牛鍋とカニ・・・スパイダーの脚鍋。

 ん!量がいるからなんでも旅館っぽいものを!

 タケノコも手に入るし、わりとなんでも作れそう。

 私のレパートリーはそこまでないので家庭料理に毛が生えた感じだけど、それっぽく。

 見栄えが良くしたいのでカブっぽいのをカツラ剥きして野菜とお肉を巻いてちょっと茹でる。
 
 彼氏には弁当くらいは作ったけど、あいつ多分食べずに捨ててたよね。八股じゃランチとかで時間作ったりもしてたでしょ!
 夜も作ったりはしてたけど、時間なくて簡単なものだったし?

 今はジュリアスさまのために好きなだけ凝ったり出来るし幸せだな。

 まぁあんなのは思い出さなくて良し。
 クミちゃんはよく休みに一緒に料理作ったりしてた。多分クミちゃんのが料理上手。
 私は教わってた方だなぁ。

 クミちゃん、私のスマホとPCと推し活グッズ、ちゃんと処理してくれたよね。信じてるからね。

 マッチョがひしめく動画とかお母さんが見たら倒れちゃうよねぇ。
 はぁ!全部こっちに持って来れたら良かったのに。
 あ、でも今は天然ものマッチョを見放題が最高だから、グッズに未練はないかも。

 魚の煮付け作ってたら、ちょっと思い出に浸っちゃった。
 
 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ラスボス姫に転生したけど、ドS兄貴はシスコン設定になっていたようです

ぷりりん
ファンタジー
転生ラスボス姫がドS兄貴の溺愛に大困惑する、ラブコメファンタジー

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...