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二章
462話
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朝食の席で、ジュリアスさまが魔の森の処置が済んだら、休暇を取ると伝えた。
「ほー、いいんじゃないか」
「そうねぇ、ジュリアスは中々休めないしねぇ」
お義父さまもセリウスさまたちも快く承諾してくれた。
「僕は討伐に行く方が好きだけど、温泉もいいよねー」
「そうじゃな。ワシも次の機会に予約じゃ」
「うふふ、交代で行きましょうねぇ」
他にもお宿は建築中だけど、和風の宿に興味津々だ。異国っぽいと気になるのはここでも一緒かな。
「プッキュ」
「モキュキュ!」
自分たちも行くってポムとティムがキュルルーンと見つめてくる。
グレーデンの功労者なのでちゃんと慰安しますってば。
そんなわけでジュリアスさまたちの出勤と、お祖父様、お祖母様たちとお義父さまとお義父さまの騎士団での側近チームで、魔の森を潰しに出掛けるのをお見送り。
こんなシーンだと火打石でカチカチって時代劇であったよねって思い出したけど、そういった儀式はないので、お義母さまの「ご武運を」って言葉に礼をとった。
「「「行ってくる」」」
「「行ってらっしゃいませ」」
お見送りはいつものことだけど少しセンチになるよね。
「魔の森の出来立てはどんなものがいるかわからないからちゃんと気をつけてやってくれるわぁ」
待つ側ベテランなお義母さまが言うので頷いた。
「ルルゥ!今日の昼食は甘いのにしてねぇ」
「はぁい」
お義母さまは普通に食後に甘いのを頂くので、甘いもの&甘いものですよね?
「糖分いっぱいとったら多幸感に包まれるのよぉ」
多幸感の後に脂肪肝がやって来ます。
「甘味のあるお茶を出しますから食事は普通のにしましょう?」
太らないお義母さまには意味ない心配だけど、なんかダメだよ。
「えー?」
「しょっぱいの食べた後の甘いものはとても効きますよ」
なんか中毒な人を宥めている感。
アルコール中毒死だった私が言う事じゃないね。
いや、死亡診断はどうだったか知らないけど、多分記憶的にそう。
普段ならあのくらいどうって事なかったんだけどね。
「ルルゥ!お昼はいつも通りでオヤツを多めにね」
「まぁまぁ、了解よぉ~☆」
なんとかお義母さまが納得してくれた。
お義母さまは執務があるそうなので、私はちょっと申し訳ないと思いつつ、食材を漁りに貯蔵室に。
なぜか、でもなく普通にルルゥとポムたちが付いてくる。
「何が欲しいのぉ?」
管理者だからね。なぜ欲しいか、どれくらいいるかは言わないと。
懐石料理に使えそうな食材を適当に選んで、お出汁用のカツオ節と、味噌と醤油など調味料も出してもらう。
向こうに頻繁に誰かしら泊まるなら調味料や食材は常備でいいかな。
近いから使用人さんにお任せでもいいし。
当日に手の込んだ物を作るとせっかくのジュリアスさまの休暇で一緒にいる時間が減っちゃうので、下拵えはしたい。
で、私たちの後に泊まる人のために料理のレシピハグコックさんに伝授しないとなんだけど、ジュリアスさまに一番最初に見せたいので、休暇明けに教えるからとルルゥたちを宥める。
「もう~可愛いんだからぁ」
一応の理解はしてくれたものの、好奇心で目がギラギラだよ。
「下拵えは離れでやるから来ないでね?」
「「「えー」」」
ニックスやベンまで「えー」って。
「別に今まで作ったものと大差ないから。盛り付けとかちょっと変えるだけー」
旅館ほどのものは出せないけどね。
「主人の愛の時間を邪魔する気はないけど料理は気になるわぁ」
クネクネしてもダメー!
「でもどうせルークたちと側仕えに来るんでしょ?」
「あらぁ!だって従者の分を含めて三食をリーシャちゃんにお任せできないでしょ?」
確かに。それは無理だ。
最低でも十人はついてくるし、みんな量が半端ない。
「ヨロシクオネガイシマス」
二人っきりじゃないんだもんね。
「どんな料理が出るか目に焼き付けるわよぉ~」
ラブラブ手料理にルルゥの付き添いとか泣ける。
「そもそも奥方さまは料理しないのよぉ~?リーシャちゃんが特別よねぇ」
貴族の暮らしを全部知ってるわけじゃないけど、使用人雇えない家とかだったら作ることもありそうだよ?
「さぁ、お昼の準備に入るわよぉ」
「「応」」
ある程度の食材を選んだら、お昼の準備時間になっちゃった。
部屋に戻って、お品書きを考える。
ポムたちが今日は私につきっきり。
お宿の食事が気になって仕方ないらしい。
「お菓子はモナカとかでいいかなぁ」
梅酒ゼリーもいいなぁ。
あーでもないこーでもないとやってたら、ニーナに食事ですよって呼ばれて、食堂に向かう。
お義母さまがすでに席に付いてた。
「お魚入りのおにぎりですってぇ」
テーブルにはおにぎりと味噌スープ、お魚の煮付けとお肉と野菜炒め。
なんとなく日本食だ。色合いはやばいけどね。
「うふふ、海苔もだいぶ厚さが安定して来たわねぇ」
「製造に慣れましたかね」
赤い海苔は最初に比べたらムラもない。
「海の周りの村にはだいぶ浸透してるらしいわぁ」
「そうなんですね。みんなが美味しく感じてくれるなら嬉しいです」
ずっと作って欲しいし。
そしてデザートはプリンタルトと生クリームたっぷりのケーキ。
ナッツのタルトもある。
「幸せねぇ」
目の前でどんどん消えて行くホールを眺めて、お腹いっぱいです。
「ほー、いいんじゃないか」
「そうねぇ、ジュリアスは中々休めないしねぇ」
お義父さまもセリウスさまたちも快く承諾してくれた。
「僕は討伐に行く方が好きだけど、温泉もいいよねー」
「そうじゃな。ワシも次の機会に予約じゃ」
「うふふ、交代で行きましょうねぇ」
他にもお宿は建築中だけど、和風の宿に興味津々だ。異国っぽいと気になるのはここでも一緒かな。
「プッキュ」
「モキュキュ!」
自分たちも行くってポムとティムがキュルルーンと見つめてくる。
グレーデンの功労者なのでちゃんと慰安しますってば。
そんなわけでジュリアスさまたちの出勤と、お祖父様、お祖母様たちとお義父さまとお義父さまの騎士団での側近チームで、魔の森を潰しに出掛けるのをお見送り。
こんなシーンだと火打石でカチカチって時代劇であったよねって思い出したけど、そういった儀式はないので、お義母さまの「ご武運を」って言葉に礼をとった。
「「「行ってくる」」」
「「行ってらっしゃいませ」」
お見送りはいつものことだけど少しセンチになるよね。
「魔の森の出来立てはどんなものがいるかわからないからちゃんと気をつけてやってくれるわぁ」
待つ側ベテランなお義母さまが言うので頷いた。
「ルルゥ!今日の昼食は甘いのにしてねぇ」
「はぁい」
お義母さまは普通に食後に甘いのを頂くので、甘いもの&甘いものですよね?
「糖分いっぱいとったら多幸感に包まれるのよぉ」
多幸感の後に脂肪肝がやって来ます。
「甘味のあるお茶を出しますから食事は普通のにしましょう?」
太らないお義母さまには意味ない心配だけど、なんかダメだよ。
「えー?」
「しょっぱいの食べた後の甘いものはとても効きますよ」
なんか中毒な人を宥めている感。
アルコール中毒死だった私が言う事じゃないね。
いや、死亡診断はどうだったか知らないけど、多分記憶的にそう。
普段ならあのくらいどうって事なかったんだけどね。
「ルルゥ!お昼はいつも通りでオヤツを多めにね」
「まぁまぁ、了解よぉ~☆」
なんとかお義母さまが納得してくれた。
お義母さまは執務があるそうなので、私はちょっと申し訳ないと思いつつ、食材を漁りに貯蔵室に。
なぜか、でもなく普通にルルゥとポムたちが付いてくる。
「何が欲しいのぉ?」
管理者だからね。なぜ欲しいか、どれくらいいるかは言わないと。
懐石料理に使えそうな食材を適当に選んで、お出汁用のカツオ節と、味噌と醤油など調味料も出してもらう。
向こうに頻繁に誰かしら泊まるなら調味料や食材は常備でいいかな。
近いから使用人さんにお任せでもいいし。
当日に手の込んだ物を作るとせっかくのジュリアスさまの休暇で一緒にいる時間が減っちゃうので、下拵えはしたい。
で、私たちの後に泊まる人のために料理のレシピハグコックさんに伝授しないとなんだけど、ジュリアスさまに一番最初に見せたいので、休暇明けに教えるからとルルゥたちを宥める。
「もう~可愛いんだからぁ」
一応の理解はしてくれたものの、好奇心で目がギラギラだよ。
「下拵えは離れでやるから来ないでね?」
「「「えー」」」
ニックスやベンまで「えー」って。
「別に今まで作ったものと大差ないから。盛り付けとかちょっと変えるだけー」
旅館ほどのものは出せないけどね。
「主人の愛の時間を邪魔する気はないけど料理は気になるわぁ」
クネクネしてもダメー!
「でもどうせルークたちと側仕えに来るんでしょ?」
「あらぁ!だって従者の分を含めて三食をリーシャちゃんにお任せできないでしょ?」
確かに。それは無理だ。
最低でも十人はついてくるし、みんな量が半端ない。
「ヨロシクオネガイシマス」
二人っきりじゃないんだもんね。
「どんな料理が出るか目に焼き付けるわよぉ~」
ラブラブ手料理にルルゥの付き添いとか泣ける。
「そもそも奥方さまは料理しないのよぉ~?リーシャちゃんが特別よねぇ」
貴族の暮らしを全部知ってるわけじゃないけど、使用人雇えない家とかだったら作ることもありそうだよ?
「さぁ、お昼の準備に入るわよぉ」
「「応」」
ある程度の食材を選んだら、お昼の準備時間になっちゃった。
部屋に戻って、お品書きを考える。
ポムたちが今日は私につきっきり。
お宿の食事が気になって仕方ないらしい。
「お菓子はモナカとかでいいかなぁ」
梅酒ゼリーもいいなぁ。
あーでもないこーでもないとやってたら、ニーナに食事ですよって呼ばれて、食堂に向かう。
お義母さまがすでに席に付いてた。
「お魚入りのおにぎりですってぇ」
テーブルにはおにぎりと味噌スープ、お魚の煮付けとお肉と野菜炒め。
なんとなく日本食だ。色合いはやばいけどね。
「うふふ、海苔もだいぶ厚さが安定して来たわねぇ」
「製造に慣れましたかね」
赤い海苔は最初に比べたらムラもない。
「海の周りの村にはだいぶ浸透してるらしいわぁ」
「そうなんですね。みんなが美味しく感じてくれるなら嬉しいです」
ずっと作って欲しいし。
そしてデザートはプリンタルトと生クリームたっぷりのケーキ。
ナッツのタルトもある。
「幸せねぇ」
目の前でどんどん消えて行くホールを眺めて、お腹いっぱいです。
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