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二章

459話

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 書物は、ネイマーシェ語、古代神聖語、古代神代語とそれぞれ違う年代物な本だった。

 古代神代語がちょっと苦手なので一番最初に片付けよう。
 内容は三冊とも全部魔物素材を使ったポーションや薬について。

 さすがに読みたいとこだけ浮かんで来たりしないかなとちょっと思う厚さ。

 数ページ読んで慌てて閉じたよね。

「・・・」

 不老不死薬とか絶対素材が手に入らない系のあり得ないレシピ。
 なぜ出て来ちゃった。
 書架に「次からは人間が触っても良い知識だけね?」ってお願いしちゃったよ。
 他のページに欲しい情報があったとしても、これ知っちゃったらダメだと思うのよ。

 気を取り直して、古代神聖語の本を開いた。

「・・・」

 古代ってだけあって素材がヤバい。
 燃え盛る炎の中に咲く花とかどうやってゲットするんだ。
 燃え盛る中で咲けるのもすごいな!!
 炎のレベルにもよるけど、人間が魔法を使ってどうにかなるものだろうか?

 永久凍土の中に育つ雪華石とか、お義父さまならかち割って採れるかも?

 サーペントの卵殻の代わりを探してるだけなので、どんどん流し読みして目的のページを探す。

 パックに使うとかは無いだろうから、素材の応用が知りたいんだ。

 普段使わない言語がびっしりでちょっと目が疲れる。

 その中に大きいカエルみたいな魔物が出す粘液が使えそうと言うのを見つけた。
 却下で良いよね。

 カエルってことは湿地とかでしょ?グレーデンにもいるかな。
 主な出現地域は今はない国名だった。
 ・・・隣じゃん!
 グリーンリバー国。よし、諦めよう。
 輸入したり冒険者に頼めば簡単に手に入りそうだけど。他になかったら考える。

「リーシャさま、そろそろ昼食を」
 ニーナに声をかけられて調べ物中断。

 ルルゥに言われてるので厨房に向かう。

「調べ物捗ってるぅ?」
「うーん?あんまり使いたい素材じゃないから困ってる」
 蛇かカエルって。
 卵膜はまだ良いけど、粘液ジェルは嫌かな。

「そうなのぉ?」
「ルルゥってジャイアントウォートトードの粘液を浴びたい?」
「イ・ヤ・ヨ!!そんな物好きいないわよぉ!!!」
 デスヨネー。
「トードとサーペントならサーペントの巣に行く方がマシよぉ」
 どっちも嫌ですけど!?

 食事中にしたい話じゃないね。

 お昼はローストビーフ?サラダに大麦パンとコンソメスープだった。
 私の食べられる量で持って来てくれる。

 アズライトとポムたちは今日も池に行った。
 静かで良いね。

「植物から採れるのが良いなぁ」

 贅沢言わずに布でやっても出来なくはない。

 卵膜使う前ならね。私が墓穴掘りました。
 だって手元にあったから。

 お試しした私の腕は一箇所だけ潤いが違う。

 昨晩、ジュリアスさまにお試しした時に私も首の後ろとお尻にパックした。
 お尻はね、痩せすぎてた時にちょっと負荷がかかってたみたいで若干肌が黒ずんでた。
 細い人ならわかると思うけど、肉というクッションって結構大事みたい。
 いや太りすぎても負荷がかかるから適度にだね。
 
 以前飲んだ百目ポーションも効いてたみたいだけど、ちょっと残ってたみたい。お尻意識してなかった。
 
 サーペントが結構出るみたいだし、一匹でたくさん卵採れるから運が良ければすぐ手に入るかも。


 お昼を食べたら、また隠し部屋に。
 ルルゥが入ってみたそうだけど、ジュリアスさまも入れられないんだから。

 いつか私に子供ができたら、お母さまから受け継いだように私も渡したい。いつかね。
 
 ネイマーシェ語の本は私には読みやすい。お母さまと学んだ魔道具や薬術はほとんどネイマーシェ語だったから。
 
 ネイマーシェの植生や出現魔獣が書かれてて、素材の有効活用方法が網羅出来る。

 一番に読めば良かった。

 でもレイドラアースとはかなり違うみたい。
 国々や地域差はどうしようもない。

 結果的には樹液と花の種油に可能性があった。
 樹液が採れる木は近類種がレイドラアースにもあるっぽい。
 花はネイマーシェとその近郊だけ。
 狙うは樹液だな。
 花の方がおしゃれだけど。

 庭師のケビンにグレーデンにもあるか聞いてみないと。
 林業が盛んなウォルシュ領にならあるかな。

 プルルの実の皮やゼラチン質にも可能性はあるけど、何にでも使える代わりに成分的に弱い。

 プルルって有能だねぇ。
 混ぜる素材次第では、パックも良くなるかも。

 とりあえず三冊は書架に戻した。

「もう宜しいのですか?」
「うん」

 ニーナはずっとポム、ティム人形を作っていたらしい。
 侍女仲間やコックさんたちいまだに人気なんだな。

「オヤツ食べに行かなくちゃだね」

 オヤツに食堂に向かうとお祖母様がパンケーキ食べてた。

「リーシャちゃん、お疲れさま」
「お祖母様も」

 私の分のパンケーキが出て来て二段だったことにお祖母様が驚く。

「本当に少食だね?」
「二枚は多い方です」

 お祖母様は五枚、お代わりしてなきゃだけど。

「スノウリリィー花最初っから結構食べてたけど、あれはちょっと多めだったらしいと知った時は笑ったんだよ」
「最初から!!」
「都会の令嬢は人前じゃほとんど食べないからねぇ」

 それはコルセットのせいでは。

「あそこまで食べる必要はないけど、もう少し食べるといいさねぇ」

 胃が小さくなってたからこれでも増えたよ。

「年寄りは子供がよく食べるのが好きなんだよ」

 子供ではないけど、お祖母様にしたら子供って言うか孫だしね。






 
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