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二章
451話
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さすがに小さな子供たちは、途中で寝ちゃって、お土産にお菓子を持たせてお母さんに抱っこされて戻って行った。
お父さんたちも付き添って帰ってまた戻って来たり。
アズライトたちの飲み勝負は決着がつかないまま、空にした酒樽がどんどん増えてる。
もうそろそろアルコール低めにしたって気付かないだろうって酒精低めのを出したら「水出すんじゃないよ」って言われた。
水じゃないよ!ちゃんと白ワインだったよ。もう味わからなくてなってるじゃん!馬鹿舌じゃん!!!
『主、我は泡盛にして欲しいぞ』
アズライトがパバブの葉っぱをむしゃむしゃしながら言ってきた。
竜殺しって言わないだけマシなのかな?
「今日はもうランダムで出してるから樽の山から選んで」
絶え間なく追加されてるけど、工場フル回転させてたのかな。
『ほう、クジだの』
「なぁに!それは負けられないな」
樽の山からそれぞれ選んでるんだけど、一人(一匹)一樽を専用ジョッキのように抱え込んで飲むのはビックリだよ。
その樽、四十リットルくらいはあるよね?
(棚に積みやすいサイズで仕込んでる)
一体一人で何樽飲んでるんだか。
「今日はあるだけ飲むぞー」
「「「「おー」」」」
メグミだった頃、周りに今の私の気持ちにさせてたのかなぁ。
さすがに瓶の単位だったけど。
「リーシャちゃん、あんなに飲めるのは酒が美味しくなったからだぞぅ」
骨付き肉を持ったお義父さまがやってきた。
「そうですよ。雑味もなく香り高く飲み心地の良い酒ですから、いくらでも飲めます。以前のただ酔いを楽しむような酒とは違いますからねぇ」
ハロルドがモツなお肉を乗せたお皿を持ってニコニコしてる。
ちょっと見た目ホラーだけど、トロトロで美味しい部分。
チョイスが酒飲みなんだな。
「普段、賄いに出されるリーシャさまのお酒は毎回力試しに勝った者が飲めるので必死です」
「力試し?」
たまにお裾分けしてる量は確かにみんなに行き渡る量じゃないよね。今の状況見てると。
「はい、工場の物はいつでも飲めますがリーシャさまの分は争奪戦です」
ニッコリ言われるけど、目が怖い。
「先日は腕相撲でその前は的当てでしたか」
あ、腕力だけじゃなく弓とか投擲もあるんだ。
「ただの力自慢ですと勝てる者が決まってますからな」
平等にチャンスがあるのは素晴らしい。
「ルークは何をしても毎回勝つので、居ない日は狙い目です」
ルーク、たまには遠慮してあげて。
樽で出してるのを毎回五十人くらいで飲むんだって。
いやさ、少しずつ飲めばもっと人数飲めるの!
なんでも楽しんじゃうんだから!
さすがに樽ごと飲もうとしてる猛者はマギー先生たちの周りくらいだけど、予想以上に飲めるんだね。
あ、食べる量もえげつないんだった。
胃がブラックホールなんだよ。
「父上、私は今夜は池で過ごしたいのであとはお任せしても?」
「そうじゃな。精霊樹のそばで過ごすのも良かろう」
夜も更けて、日が変わり夜空の星と精霊の煌めきが一層増したころ、半分くらいは家に戻った。
体力有り余った独り身の人が多く残っているらしい。
お義母さまとお祖母様は屋敷で休んでる。
お祖父様たちはまだお肉を食べてる。胸焼けしないんだね。
そんなわけで、私はジュリアスさまとセバスチャン、ルーク、ニーナ、ルルゥ、アラン、ジェイクとジャスパー、アズライト、ポム、ティム、ディディエ、そしてシエルを連れてアズライトの寝床の島に向かった。
池周りはガーデンライトと精霊の放つ光で幻想的で、池の水面はさらにキラキラして、空と水面の境界がわからないほど煌めいてる。
ゴンドラを三艘で進んで。
「迷子になりそうだな」
「海でこれになるとちょっと恐ろしいわねぇ」
『我が行き先を示せるから問題ないの』
ふはー。ミラーハウスだっけ?アレの中にいるような。キラキラがすごすぎて万華鏡の一部になったような気もする。
でもたまに水面を跳ねる魚の音で自分の場所を把握する。
「来るたびに神聖さを増す素晴らしい池です」
シエルがうっとりとアズライトを見つめる。
『シエルは良い子じゃの、精霊の気配をしっかり捉えておるの』
アズライトがうむうむとやってるのをポムが不満そうに見る。
褒める時はポムのことも褒めてるでしょ。
光の中、また違う強い光が放たれてるのがアズライトの寝床の島。
精霊樹が多くの精霊を生み出してるのが見える。
他の島からも喜びの気配があるから、蜜ミツバチなど住んでる獣たちも元気になってると思う。
星の絨毯のような水面を流れるように進んで、島に着岸した。
『ふむ、ここ何十年ぶりかの良き日よの』
『精霊王が喜んでるんだぞ!』
島に足を踏み入れると強い気配が喜びを伝えてくる。
「・・・ああ・・・尊きお姿を」
シエルが胸元で手を組んで泣き出しちゃった。
どうやら、精霊樹に何か偉い人が降臨してるようだ。
王都に呼ばれてるんじゃなかったの!??
お父さんたちも付き添って帰ってまた戻って来たり。
アズライトたちの飲み勝負は決着がつかないまま、空にした酒樽がどんどん増えてる。
もうそろそろアルコール低めにしたって気付かないだろうって酒精低めのを出したら「水出すんじゃないよ」って言われた。
水じゃないよ!ちゃんと白ワインだったよ。もう味わからなくてなってるじゃん!馬鹿舌じゃん!!!
『主、我は泡盛にして欲しいぞ』
アズライトがパバブの葉っぱをむしゃむしゃしながら言ってきた。
竜殺しって言わないだけマシなのかな?
「今日はもうランダムで出してるから樽の山から選んで」
絶え間なく追加されてるけど、工場フル回転させてたのかな。
『ほう、クジだの』
「なぁに!それは負けられないな」
樽の山からそれぞれ選んでるんだけど、一人(一匹)一樽を専用ジョッキのように抱え込んで飲むのはビックリだよ。
その樽、四十リットルくらいはあるよね?
(棚に積みやすいサイズで仕込んでる)
一体一人で何樽飲んでるんだか。
「今日はあるだけ飲むぞー」
「「「「おー」」」」
メグミだった頃、周りに今の私の気持ちにさせてたのかなぁ。
さすがに瓶の単位だったけど。
「リーシャちゃん、あんなに飲めるのは酒が美味しくなったからだぞぅ」
骨付き肉を持ったお義父さまがやってきた。
「そうですよ。雑味もなく香り高く飲み心地の良い酒ですから、いくらでも飲めます。以前のただ酔いを楽しむような酒とは違いますからねぇ」
ハロルドがモツなお肉を乗せたお皿を持ってニコニコしてる。
ちょっと見た目ホラーだけど、トロトロで美味しい部分。
チョイスが酒飲みなんだな。
「普段、賄いに出されるリーシャさまのお酒は毎回力試しに勝った者が飲めるので必死です」
「力試し?」
たまにお裾分けしてる量は確かにみんなに行き渡る量じゃないよね。今の状況見てると。
「はい、工場の物はいつでも飲めますがリーシャさまの分は争奪戦です」
ニッコリ言われるけど、目が怖い。
「先日は腕相撲でその前は的当てでしたか」
あ、腕力だけじゃなく弓とか投擲もあるんだ。
「ただの力自慢ですと勝てる者が決まってますからな」
平等にチャンスがあるのは素晴らしい。
「ルークは何をしても毎回勝つので、居ない日は狙い目です」
ルーク、たまには遠慮してあげて。
樽で出してるのを毎回五十人くらいで飲むんだって。
いやさ、少しずつ飲めばもっと人数飲めるの!
なんでも楽しんじゃうんだから!
さすがに樽ごと飲もうとしてる猛者はマギー先生たちの周りくらいだけど、予想以上に飲めるんだね。
あ、食べる量もえげつないんだった。
胃がブラックホールなんだよ。
「父上、私は今夜は池で過ごしたいのであとはお任せしても?」
「そうじゃな。精霊樹のそばで過ごすのも良かろう」
夜も更けて、日が変わり夜空の星と精霊の煌めきが一層増したころ、半分くらいは家に戻った。
体力有り余った独り身の人が多く残っているらしい。
お義母さまとお祖母様は屋敷で休んでる。
お祖父様たちはまだお肉を食べてる。胸焼けしないんだね。
そんなわけで、私はジュリアスさまとセバスチャン、ルーク、ニーナ、ルルゥ、アラン、ジェイクとジャスパー、アズライト、ポム、ティム、ディディエ、そしてシエルを連れてアズライトの寝床の島に向かった。
池周りはガーデンライトと精霊の放つ光で幻想的で、池の水面はさらにキラキラして、空と水面の境界がわからないほど煌めいてる。
ゴンドラを三艘で進んで。
「迷子になりそうだな」
「海でこれになるとちょっと恐ろしいわねぇ」
『我が行き先を示せるから問題ないの』
ふはー。ミラーハウスだっけ?アレの中にいるような。キラキラがすごすぎて万華鏡の一部になったような気もする。
でもたまに水面を跳ねる魚の音で自分の場所を把握する。
「来るたびに神聖さを増す素晴らしい池です」
シエルがうっとりとアズライトを見つめる。
『シエルは良い子じゃの、精霊の気配をしっかり捉えておるの』
アズライトがうむうむとやってるのをポムが不満そうに見る。
褒める時はポムのことも褒めてるでしょ。
光の中、また違う強い光が放たれてるのがアズライトの寝床の島。
精霊樹が多くの精霊を生み出してるのが見える。
他の島からも喜びの気配があるから、蜜ミツバチなど住んでる獣たちも元気になってると思う。
星の絨毯のような水面を流れるように進んで、島に着岸した。
『ふむ、ここ何十年ぶりかの良き日よの』
『精霊王が喜んでるんだぞ!』
島に足を踏み入れると強い気配が喜びを伝えてくる。
「・・・ああ・・・尊きお姿を」
シエルが胸元で手を組んで泣き出しちゃった。
どうやら、精霊樹に何か偉い人が降臨してるようだ。
王都に呼ばれてるんじゃなかったの!??
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