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二章

446話

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 食事の後は希望者だけ、サシェ各種の制作指導をすることに。
 クラウスさまは騎士や自警団、そして騎士団に入りたい子たちの訓練にお付き合いだそう。

 小さな女の子たちは針も火も危ないので布にハーブを置いて丸めてリボンにするタイプをお任せ。
 リボンが難しい子たちにはコマ結びで良いって言ったんだけどみんな可愛くしたいって必死。可愛い。精霊さんたちもそんな子供達からのサシェだったら大喜びだね。

 大きい子たちや刺繍自慢な人は、袋に刺繍入れて、バザーに出せるようなモノを望んだ。お祭り以外でも神殿に貢献し続けていける方が望ましいって。

 火を使うアロマワックスサシェ、アロマキャンドルは子供のいない人が中心に受け持ってくれるそうだ。
 やけどしちゃうと大変だもの。
 みんなで分担がきちんとしてるの素晴らしい。
 男の人も興味があるって参加してくれる。

 熊獣人のディードさんがキャンドルにハーブを使うのに興味津々で、お菓子作りみたいだと参加してくれた。

 猫や狼な獣人っ子たちは鼻に刺激が強いとクラウスさまの方に行っちゃってる。

 お花の香りも密だとキツいかぁ。

 ポムとティムは畑を見回りだとディディエ連れて走り回ってる。

「刺繍ならなんとか・・・」
 デイジーさんが恐る恐る作ってくれた刺繍の入れ物は、なんて言うか斬新だった。

 お花をデザインしたんだと言うけども、デフォルメしたライオンだ。
 この世界のライオンはライオンっぽい魔獣で可愛くはないのでなんともホラーな仕上がりで、他の奥さんたちが「あちゃー」って無言。

 なんでも出来そうな雰囲気もデイジーさんなのになんか可愛い。
「これはこれで逆に面白いです」
 だってゴスとかパンクとかいろんな好みに分かれてて、ブスカワとかキモカワとかなんでもありだもん。

「そんな慰め・・・」

 ちょっとリアルタイプの太陽のイラストとかに似てる。ありあり。

「これは私が予約です♪」

 他にも作って欲しいって言えば、真剣にやってくれる。やっぱりデイジーさんは良い人だ。
 他の女の子でセンスが爆発してる子がいて、謎の妖怪とかブサめのご当地キャラみたいなのが仕上がってきてとってもお得な気分になった。
 その後、若奥様は物好きとかキワモノが好きって噂になったらしいけどこの時の私はまだ知らない。

 ワックスサシェもなんかそれぞれ流派の違う生花みたいにハーブが飛び出しまくってるのがあって、感性の違いがあって楽しかった。

 こうでなきゃダメとかないから思い思いにやってみるの新鮮だな。

 すごい腕前の刺繍を見せてくれたお姉さんは、マダムに紹介したいな。村を出たくないとかだとダメかな。

 私は最初だけ見本を作って後は皆に質問されて過ごしてたけど、みんな手先が器用だから私が口を出す必要はなかった。

 みんな集中してる時にデイジーさんがいきなり手に持ってたハサミを吹っ飛ばした。

「!!???」

 ガザザ。

「わー、一角だ~」

 ナタ以外も飛ぶのね。
 って言うかデイジーさん!!!!??!?

 グレーデンに馴染みすぎー!

「すっげー!一撃だぞ」
「腕を上げたねぇ」

 嬉しそうなデイジーさん。
 一角はウサギみたいな見た目で大型犬くらいあった。
 これをハサミで一撃必殺ってプロじゃん!

 子供達が回収に行って戻ってきたら、ハサミが眉間に刺さってた。

 プロじゃん!!!!

「子供たちを見ていたら私もやってみたくて」

 デイジーさんは最初は外していたけど最近はバッチリだそう。成長早い!

「まっる焼き!しっんっせっんっ!!」

 女の子たちがスキップしてる。

 こちらの騒ぎが気になったのか男の子たちが走ってきて、その後ろからクラウスさまたちがついてきた。

「おー!先生ついにじゃん!」
「わー、これは俺でも無理~」
 バンカやアッシュがデイジーさんのそばで大騒ぎ。

「よーし、今夜はデイジー先生が一発で仕留めた祝いだ~」
「「「おーーーー!!!」」」

 他にも男性陣が途中で仕留めてきた魔獣がいたみたいで子供達がめっちゃジャンプしてる。

「あははー、ここは新しい村だけあって活気がすごいよねー」
「若いのも多いですしね」

 どこの村もこうじゃないのか。

「まぁ騒ぐ機会は大事だよね」
「チャンスがあればいつでもねー」

 以前より暮らしやすいからこそ、盛り上がれるんだよってクラウスさまが教えてくれた。

 みんなにお祝いされてるデイジーさんとそばで笑ってるディードさん、二人とも他所から来てくれてここで楽しそうに暮らしてるの、ほんと良かったねぇって思う。

 先生しに来てもらえてありがたかったし、幸せになってもらえて良かった。

 ディードさんもバーベナさんも他の獣人っ子たちもみんな幸せになってもらわないと。
 私のせいではないと言ってもハーボットって言う血縁らしき人たちの悪事の被害者だから、何かしらしあわせのお手伝いが出来たらなって思う。
 自己満足だけど。

 みんなにお祝いの参加に誘ってもらえたけど、私についてはジュリアスさまがいない場所での外泊は許可出来ないとクラウスさまがお断りした。
 また来るからって子供達に約束して。

 村の人たちに見送られて村を後にした。


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