ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
454 / 764
二章

443話

しおりを挟む
 
 ジュリアスさま共にお祖父様たちが戻ってきた。
 セリウスさまとクラウスさまとお義父さまは歓待を受けてくるそう。

「お祭りに日もあちこち回られます?」
「いや、当日はどこむ家族と過ごすのが優先なんだ」
 なるほど。
 なら、住んでる町や村から離れないんだね。

 ねー?

「また来ておるんか」
「当日は出歩けないから」
「準備とかあるであろうに」
「宰相と執務官が仕切っておるから」

 お祖父様が呆れたように話してる先には王様とリックさま。

 頰を膨らませて、チョコがけイチゴを食べてる。
 美形がやるとなんかねぇ!
 オジサンたちなのに可愛いかもね。

「精霊祭をやると言うから気になってな」
 報告してるんだ。

「王都ではあまり精霊を見られないから年々縮小していたが、豊穣になったグレーデンが大々的にやるとなれば真似る者も増えよう」
 
 縮小してたんだ。そりゃエグい野菜しか採れなくなるよ!

「結局お供えより自分たちで食べるのが精一杯な地もあるからな」

 私は狭い世界に生きてたし、今もぬくぬく甘やかしてもらってるから別の領地のこととか知らないんだよね。
 一応、資料は読んでるけどさ。書面で見ても実感ない。

 王様がポムにおねだりして種もらって行ってたから、困ってはいるのはわかってるけど、グレーデンでは野菜が巨大化するくらいなんだもの。

「精霊樹の種を植えた先では少しずつ草花が増えてきているから、祭りにも熱心になるだろう」
 それは良かったな。

 ポムとティム、ジャスパーが喜んでる。尻尾がぶんぶんだよ。

「あんまり急激に発展すると周辺国がざわつくんで穏やかにね?」
 リックさまがポムたちの頭を撫でつつお願いした。

「プキュ?」
「モキュッ?」

 ポムたちに人間の柵やルールなんて知ったこっちゃないんだろうけど。

「畑荒らされない程度にしないとダメだよって」
 戦争とかになっちゃうと大地が傷んじゃうって言う説明をしたら、不服そうだけど何か分かったと言うポーズをした。

 多分わかってないと思うけど。

『精霊王たちや神がその存在遠濃くすれば多少は退けられるがの』
 向こうにも信仰があるなら神同士とかになっちゃうよ。
 戦争は起きないほうがいい。
 所詮、人間の欲なんだから、精霊たちが巻き込まれないようにしないとだよ。

 夕食を食べないと帰らないってごねた王様とリックさま。
 偉い人ってこんなんでいいのかしら。

 食べ放題状態なの知ってて来たかな。

 ニックスに頼んで、小型コンロに油を入れたお鍋を用意してもらって自分で揚げるようにしてもらった。

 他のみんなも絶対欲しがるから結局人数分用意するんだけど。

 お肉も野菜もお魚も好きなの取って揚げる。素揚げもあり。

 王様だけ、セバスチャンに止められた。

「御身に火傷などさせては我グレーデンが取り潰しになります」
 そりゃそうだ。お忍びとか無茶する人だけど怪我はダメ。

「さぁ、ご希望の物は?」

 切なそうにアレコレと指差す。
 自由に揚げるニックさまをうらやましげにしてる。

「揚げたてはまた違うな。自分で揚げたって言うのも良い」

 お祖父様が三本揚げとかやってくっつけちゃったりしてるのもご愛嬌だ。

 ポムたちはサイズ的に厳しいし、アズライトやジャスパー、ディディエは身体的に無茶なのでお付き(くじ引き)が揚げて揚げる。

 ここの人たち、小動物好きすぎだよね。

 ニーナまでくじ引きに参加してるんだよ。
 食事中は私のことはジュリアスさまにお任せでってなってるから!!

「チーズに衣をつけて揚げるのも好きです」
 ってジュリアスさまにお願いすれば、お祖母様もお義母さまも真似して「美味しい~」ってやってる。
 串が足りなくなりそうと思ったら、すぐ追加される。

 他のパスタとかも食べようと見たら、誰も見てなかったからとスピネルさんがカレーを独り占めしてた。
 どんだけ好きなの!!!!!

 追加が出てくるからいいけど、鍋ごとって。

 ジュリアスさまとお皿なってる載せるものを選んでるとお肉の塊があったので自分で削ぎ切りした。
 バーベキューじゃないけどちょっと嬉しい。
 ジュリアスさまのナイフは深く身に入って大きく削がれるけど、私はペラペラ~っとなる。
 しゃぶしゃぶの肉か!?ってくらいだけど、これはこれで食べやすくて好き。

 パンもおにぎりもある。

 食べたいだけ食べるとデザートが出てくる。

 イチゴタルトとイチゴパフェもある。
 バナナまで飴がけにしてある。違う、そうじゃないって言いたくなる。
 でも別に悪くないか。

 マシュマロクッキーがあったので一つ。

 主食を終えたポムたちとお義母さまの仁義なき戦いが始まった。
 追加くるのに早い物勝ちみたいに楽しんでる。

 王様が取りたいのに取れなくて引いてるから。

「グレーデンの祝祭に来た方が幸せですね~、私は家族が王都にいないんでどこでもいいんですよ」

 食べ物に釣られすぎだよ。リックさま。

「これ、筆頭魔導師は王都にいないとだろう」
 スピネルさんが言うとリックさまがげんなり。

「なかなか後継を引き受けて貰えないんですよね」
「そりゃなりたくとも能力不足で何かあれば大変なことになるからだろうが」

 権力欲しいだけじゃなれない職業なんだし、楽隠居は難しいだろうなぁ。

「食事は気軽に来てるんだからお祭りの日じゃなくてもいいでしょ?」
「良くないですよ~、雰囲気もご馳走の一部ですよ」

 そりゃそうだけど。

 王様もリックさまも駄々っ子だなぁ。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...