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二章

443話

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 ジュリアスさま共にお祖父様たちが戻ってきた。
 セリウスさまとクラウスさまとお義父さまは歓待を受けてくるそう。

「お祭りに日もあちこち回られます?」
「いや、当日はどこむ家族と過ごすのが優先なんだ」
 なるほど。
 なら、住んでる町や村から離れないんだね。

 ねー?

「また来ておるんか」
「当日は出歩けないから」
「準備とかあるであろうに」
「宰相と執務官が仕切っておるから」

 お祖父様が呆れたように話してる先には王様とリックさま。

 頰を膨らませて、チョコがけイチゴを食べてる。
 美形がやるとなんかねぇ!
 オジサンたちなのに可愛いかもね。

「精霊祭をやると言うから気になってな」
 報告してるんだ。

「王都ではあまり精霊を見られないから年々縮小していたが、豊穣になったグレーデンが大々的にやるとなれば真似る者も増えよう」
 
 縮小してたんだ。そりゃエグい野菜しか採れなくなるよ!

「結局お供えより自分たちで食べるのが精一杯な地もあるからな」

 私は狭い世界に生きてたし、今もぬくぬく甘やかしてもらってるから別の領地のこととか知らないんだよね。
 一応、資料は読んでるけどさ。書面で見ても実感ない。

 王様がポムにおねだりして種もらって行ってたから、困ってはいるのはわかってるけど、グレーデンでは野菜が巨大化するくらいなんだもの。

「精霊樹の種を植えた先では少しずつ草花が増えてきているから、祭りにも熱心になるだろう」
 それは良かったな。

 ポムとティム、ジャスパーが喜んでる。尻尾がぶんぶんだよ。

「あんまり急激に発展すると周辺国がざわつくんで穏やかにね?」
 リックさまがポムたちの頭を撫でつつお願いした。

「プキュ?」
「モキュッ?」

 ポムたちに人間の柵やルールなんて知ったこっちゃないんだろうけど。

「畑荒らされない程度にしないとダメだよって」
 戦争とかになっちゃうと大地が傷んじゃうって言う説明をしたら、不服そうだけど何か分かったと言うポーズをした。

 多分わかってないと思うけど。

『精霊王たちや神がその存在遠濃くすれば多少は退けられるがの』
 向こうにも信仰があるなら神同士とかになっちゃうよ。
 戦争は起きないほうがいい。
 所詮、人間の欲なんだから、精霊たちが巻き込まれないようにしないとだよ。

 夕食を食べないと帰らないってごねた王様とリックさま。
 偉い人ってこんなんでいいのかしら。

 食べ放題状態なの知ってて来たかな。

 ニックスに頼んで、小型コンロに油を入れたお鍋を用意してもらって自分で揚げるようにしてもらった。

 他のみんなも絶対欲しがるから結局人数分用意するんだけど。

 お肉も野菜もお魚も好きなの取って揚げる。素揚げもあり。

 王様だけ、セバスチャンに止められた。

「御身に火傷などさせては我グレーデンが取り潰しになります」
 そりゃそうだ。お忍びとか無茶する人だけど怪我はダメ。

「さぁ、ご希望の物は?」

 切なそうにアレコレと指差す。
 自由に揚げるニックさまをうらやましげにしてる。

「揚げたてはまた違うな。自分で揚げたって言うのも良い」

 お祖父様が三本揚げとかやってくっつけちゃったりしてるのもご愛嬌だ。

 ポムたちはサイズ的に厳しいし、アズライトやジャスパー、ディディエは身体的に無茶なのでお付き(くじ引き)が揚げて揚げる。

 ここの人たち、小動物好きすぎだよね。

 ニーナまでくじ引きに参加してるんだよ。
 食事中は私のことはジュリアスさまにお任せでってなってるから!!

「チーズに衣をつけて揚げるのも好きです」
 ってジュリアスさまにお願いすれば、お祖母様もお義母さまも真似して「美味しい~」ってやってる。
 串が足りなくなりそうと思ったら、すぐ追加される。

 他のパスタとかも食べようと見たら、誰も見てなかったからとスピネルさんがカレーを独り占めしてた。
 どんだけ好きなの!!!!!

 追加が出てくるからいいけど、鍋ごとって。

 ジュリアスさまとお皿なってる載せるものを選んでるとお肉の塊があったので自分で削ぎ切りした。
 バーベキューじゃないけどちょっと嬉しい。
 ジュリアスさまのナイフは深く身に入って大きく削がれるけど、私はペラペラ~っとなる。
 しゃぶしゃぶの肉か!?ってくらいだけど、これはこれで食べやすくて好き。

 パンもおにぎりもある。

 食べたいだけ食べるとデザートが出てくる。

 イチゴタルトとイチゴパフェもある。
 バナナまで飴がけにしてある。違う、そうじゃないって言いたくなる。
 でも別に悪くないか。

 マシュマロクッキーがあったので一つ。

 主食を終えたポムたちとお義母さまの仁義なき戦いが始まった。
 追加くるのに早い物勝ちみたいに楽しんでる。

 王様が取りたいのに取れなくて引いてるから。

「グレーデンの祝祭に来た方が幸せですね~、私は家族が王都にいないんでどこでもいいんですよ」

 食べ物に釣られすぎだよ。リックさま。

「これ、筆頭魔導師は王都にいないとだろう」
 スピネルさんが言うとリックさまがげんなり。

「なかなか後継を引き受けて貰えないんですよね」
「そりゃなりたくとも能力不足で何かあれば大変なことになるからだろうが」

 権力欲しいだけじゃなれない職業なんだし、楽隠居は難しいだろうなぁ。

「食事は気軽に来てるんだからお祭りの日じゃなくてもいいでしょ?」
「良くないですよ~、雰囲気もご馳走の一部ですよ」

 そりゃそうだけど。

 王様もリックさまも駄々っ子だなぁ。







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