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二章
438話
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ダンジョンを交代で攻略に出てる合間、すっかり忘れ去られていた、精霊祭の開催が話題に上った。
精霊王の日であり、全国民の誕生日。
誕生日って言っても生まれた日じゃないから、うっかりしちゃうのは精霊祭がグレーデンでは重要じゃないと言うか、戦さが多いこの地では長い間、それどころじゃなかったんだろう。
ポムとティム、ジャスパーの存在のおかげでグレーデンの歴史の中で、一番豊穣になったのでお礼をしないとってことで領地をあげてお祭りをしようと各村の長たちから嘆願があったそうだ。
グレーデンでは供物の食べ物を飾ったりしたら魔獣の餌になっちゃうから、あまり大きな祭りをして来なかったそう。
精霊祭も豊穣祭も各家で慎ましく行うのがグレーデン式だったそう。
神と精霊王への信仰が薄れてるはずだよ。
お祭り好きなグレーデンだけど、領地上げてとなると警備の問題と食糧の問題があったそう。
以前は今ほど農作物が育ってなかったしね。
土地柄の事情が大きかったんだね。
アズライトの池から生まれたての精霊がワッサーと飛んでいくから領民にも精霊の気配がわかるようになってきたのかも。
去年は私が王都からグレーデンにドナドナされる直前で、ニーナと二人でひっそりいつもより具の多いスープと多少マシなパンで過ごした。
あの日を境に随分と色々変わったなぁ。
「結構準備がギリギリだな」
「この前みたいに外でバーベキューにしてたくさん供物を供えれば良いだろう」
大雑把な感じだなぁ。
「神官などは呼ばないんですか?」
「神殿に近隣の者が集まって一緒に祝う感じだな」
ほえ。熱心な信者が顔を出す感じかな?
「では神殿に供物とお菓子と寄付を」
精霊たちはお菓子や甘い物が好きだからね。
ささやかながら毎年ちゃんと各地の神殿に配ってるそう。
今年の寄付からは私の貯金からも出してもらおう。
文字や計算を教えるのも手伝って貰ってるしね。
お酒は神に捧げると言ってもお下がりは神官飲んで良いのかなって思ったら、捧げ物はほとんど消えちゃう=精霊が食べたり飲んだりしてるから、残った物を信者に振る舞うんだって。
目に見えて減るってすごいよね。
「祭りの食糧も配分せねば」
お義父さまたちはダンジョンに向かうのを休止してそれぞれ配達に向かうことになった。
領主一族が運んでいくのびっくりしそうだけど、普段からわりと視察がてらの顔出しをしてるから向こうも慣れてるだろうって。
クラウスさまがフーゴの村に配達する時に私も連れて行ってもらうことにした。
遠くはワイバーンを使うそう。
ラヴァに乗せてもらってあちこち回るのは楽しそうだけど、足手纏いだから私は馬車で行ける範囲。
精霊祭用に厨房でお菓子作りをするって聞いたので、私はお酒を増産しようと考えてタンクの改良を試みた。
訓練場のマイ酒蔵に向かえば、ポムとティムとアズライトがご機嫌だ。
タンクは四つが中身完成していたので樽に詰め替えて〈洗浄〉した。
現在、使った素材によって一週間から十日くらいが目安になってるけど、三日から五日間に出来ないかな。
一気に作らなくても良いかなぁ?
精霊たちには甘いお酒がいいなって思うと祭まで時間が足りないんだもの。
普段はそんなに急がなくていいから二つだけ短縮させた。
さて何を入れようかって考えてたら、ポムがプルルンと蜜ミツバチの蜂蜜を、ティムがバナナと甘酒の実を激推し。
プルルンと蜂蜜はともかく、バナナ等甘酒はありなんだろうか。
精霊の加護持ちが言うんだから信じてやってみる。
って久々に豊穣の舞が始まっちゃった。
「プキュプッキュ」
「モッキュモキュン」
「ギャオォ」
ディディエまで。
『精霊に捧げる分なのだから良かろうの?』
アズライトまでしれっと言う。
まぁ精霊に捧げる物だからいいよ。
タンクの中でピッカピカと光ってるじゃん。なんの飲み物になってるんだ。
お酒の仕込みはもう気にしないことにして、私なりのお菓子を作ろうと思う。
精霊が喜ぶって言えば甘い物。
金平糖なんかどうかな。
頭の中で作り方を思い出したんだけど、手作りは無理!!
延々と鍋かき混ぜるとか無理!!!
先に回転釜を作ろう。
設計図を書いて、素材に魔法陣を書き込む。
私の腕を広げて抱えれるくらいのサイズで電源を入れたら、材料自動投入して延々と作り続ける設定。
一応火事とか気になるから厨房の片隅に置いてもらおう。
色合いは七虹草の蜂蜜任せ。薄くなるかな。
あとはマシュマロが欲しい。
ふんわり甘いから精霊が喜んでくれるはず。
んー、メレンゲはミキサーで立てれば良いか。
ゼラチン代わりにプルル草を乾燥したやつで。
シロップの代わりに七虹草の蜂蜜使ってほんのり色付け。
焼かずに置いておけば完成だからバット代わりのお皿に並べて粉を振っておく。
アランとジェイクはミキサー使わずメレンゲ立てて、ポムとティムが蜂蜜混ぜてくれた。
ニーナが一緒にマシュマロ絞り。
お菓子作りにルルゥが来ちゃったをしないのは忙しいからな。
楽しくお菓子作りを堪能した。
精霊王の日であり、全国民の誕生日。
誕生日って言っても生まれた日じゃないから、うっかりしちゃうのは精霊祭がグレーデンでは重要じゃないと言うか、戦さが多いこの地では長い間、それどころじゃなかったんだろう。
ポムとティム、ジャスパーの存在のおかげでグレーデンの歴史の中で、一番豊穣になったのでお礼をしないとってことで領地をあげてお祭りをしようと各村の長たちから嘆願があったそうだ。
グレーデンでは供物の食べ物を飾ったりしたら魔獣の餌になっちゃうから、あまり大きな祭りをして来なかったそう。
精霊祭も豊穣祭も各家で慎ましく行うのがグレーデン式だったそう。
神と精霊王への信仰が薄れてるはずだよ。
お祭り好きなグレーデンだけど、領地上げてとなると警備の問題と食糧の問題があったそう。
以前は今ほど農作物が育ってなかったしね。
土地柄の事情が大きかったんだね。
アズライトの池から生まれたての精霊がワッサーと飛んでいくから領民にも精霊の気配がわかるようになってきたのかも。
去年は私が王都からグレーデンにドナドナされる直前で、ニーナと二人でひっそりいつもより具の多いスープと多少マシなパンで過ごした。
あの日を境に随分と色々変わったなぁ。
「結構準備がギリギリだな」
「この前みたいに外でバーベキューにしてたくさん供物を供えれば良いだろう」
大雑把な感じだなぁ。
「神官などは呼ばないんですか?」
「神殿に近隣の者が集まって一緒に祝う感じだな」
ほえ。熱心な信者が顔を出す感じかな?
「では神殿に供物とお菓子と寄付を」
精霊たちはお菓子や甘い物が好きだからね。
ささやかながら毎年ちゃんと各地の神殿に配ってるそう。
今年の寄付からは私の貯金からも出してもらおう。
文字や計算を教えるのも手伝って貰ってるしね。
お酒は神に捧げると言ってもお下がりは神官飲んで良いのかなって思ったら、捧げ物はほとんど消えちゃう=精霊が食べたり飲んだりしてるから、残った物を信者に振る舞うんだって。
目に見えて減るってすごいよね。
「祭りの食糧も配分せねば」
お義父さまたちはダンジョンに向かうのを休止してそれぞれ配達に向かうことになった。
領主一族が運んでいくのびっくりしそうだけど、普段からわりと視察がてらの顔出しをしてるから向こうも慣れてるだろうって。
クラウスさまがフーゴの村に配達する時に私も連れて行ってもらうことにした。
遠くはワイバーンを使うそう。
ラヴァに乗せてもらってあちこち回るのは楽しそうだけど、足手纏いだから私は馬車で行ける範囲。
精霊祭用に厨房でお菓子作りをするって聞いたので、私はお酒を増産しようと考えてタンクの改良を試みた。
訓練場のマイ酒蔵に向かえば、ポムとティムとアズライトがご機嫌だ。
タンクは四つが中身完成していたので樽に詰め替えて〈洗浄〉した。
現在、使った素材によって一週間から十日くらいが目安になってるけど、三日から五日間に出来ないかな。
一気に作らなくても良いかなぁ?
精霊たちには甘いお酒がいいなって思うと祭まで時間が足りないんだもの。
普段はそんなに急がなくていいから二つだけ短縮させた。
さて何を入れようかって考えてたら、ポムがプルルンと蜜ミツバチの蜂蜜を、ティムがバナナと甘酒の実を激推し。
プルルンと蜂蜜はともかく、バナナ等甘酒はありなんだろうか。
精霊の加護持ちが言うんだから信じてやってみる。
って久々に豊穣の舞が始まっちゃった。
「プキュプッキュ」
「モッキュモキュン」
「ギャオォ」
ディディエまで。
『精霊に捧げる分なのだから良かろうの?』
アズライトまでしれっと言う。
まぁ精霊に捧げる物だからいいよ。
タンクの中でピッカピカと光ってるじゃん。なんの飲み物になってるんだ。
お酒の仕込みはもう気にしないことにして、私なりのお菓子を作ろうと思う。
精霊が喜ぶって言えば甘い物。
金平糖なんかどうかな。
頭の中で作り方を思い出したんだけど、手作りは無理!!
延々と鍋かき混ぜるとか無理!!!
先に回転釜を作ろう。
設計図を書いて、素材に魔法陣を書き込む。
私の腕を広げて抱えれるくらいのサイズで電源を入れたら、材料自動投入して延々と作り続ける設定。
一応火事とか気になるから厨房の片隅に置いてもらおう。
色合いは七虹草の蜂蜜任せ。薄くなるかな。
あとはマシュマロが欲しい。
ふんわり甘いから精霊が喜んでくれるはず。
んー、メレンゲはミキサーで立てれば良いか。
ゼラチン代わりにプルル草を乾燥したやつで。
シロップの代わりに七虹草の蜂蜜使ってほんのり色付け。
焼かずに置いておけば完成だからバット代わりのお皿に並べて粉を振っておく。
アランとジェイクはミキサー使わずメレンゲ立てて、ポムとティムが蜂蜜混ぜてくれた。
ニーナが一緒にマシュマロ絞り。
お菓子作りにルルゥが来ちゃったをしないのは忙しいからな。
楽しくお菓子作りを堪能した。
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