ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

429話

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 アンゼリカさまの隊の女騎士さんたちがお庭に来たので「皆さんで先にお風呂でもいかが?」って言ったら嬉しそうに駆けて行った。
 ほっ。
 アンゼリカさまはマデリーさまの後に副長になったレベッカさんが、
「ほらいろんな汁かかったんだから洗いに行きますよ」
「洗浄してる!!」
「気分的に嫌なんで全部流します」
って、レベッカさんが運んで行った。
 いろんな汁については聞かないぞ。


 バラされたカマキリたちは美味しいらしいけど、なるべく食べずにすみそうな焼き場に配置。始まっちゃえばわちゃわちゃだけど、一応上座下座みたいなのはあるからそこに行かなければ大丈夫。
 蜘蛛がカニ味的な美味かもしれないけど、ちょっと限界突破してるよね?
 バラバラな羽とかは辛うじて見ても平気なので羽一枚ずつ貰ってあとは騎士団に使ってもらおう。
 じっくり見たくないから〈鑑定〉しない。

 でもお肉色々出てくるから途中で混じったらもう知らずに食べちゃうんだ。
 ガワが見えなきゃいいって思うことにしてる。
 ・・・してるんだってば。

 ルルゥたちがコック服に着替えて戻ってきた。
「久々に楽しかったわぁ」
 それは良かった。
「素材もいっぱい採れるからきっと大旦那さまが離れに詰むわよぉ」
 わぁ。まだいっぱい持ってるのに。
「ルークが相変わらず面白い顔で討伐してたわぁ」
「面白い顔?」
「そっ、アイツってあんな澄ました顔してるけど血がたぎっちゃうと笑っちゃうのよねぇ、戦闘狂なのよぉ!アレ見れば乙女の恋心は粉砕よねぇ?」
 カマランやアッガスの時よりすごい笑顔なんだろうか。超怖い。
「魔獣の大発生なんて趣味と実益の両得よねぇ」
 って言うか後ろにニーナがいるんで柔らかめに話そうね!

「お義父さまとお祖父様たちも戦闘狂?」
「ルドガーさまとクラウドさまたちは普通よぉ~、だってこんな程度体があったまらないんだものぉ」
 普通とは。
 
 ニックスたちも調理を始めたので一気に良い匂いが。

 厩舎の方からワイバーンたちの声が聞こえてるし、あの子達にもお肉を振る舞わないと。

 酒樽が届くと「わぁ!!」って歓声が上がった。
 流石にマイ酒蔵の分だけじゃグレーデン全域は無理だけど、騎士団棟や使用人棟くらいは出せる。
 他は工場から出るらしいので一応平等なはず。

『主!!戻ったぞ』
 空から声がして上を見るとアズライトと横に綺麗な竜?が降りてきた。
 アズライトが東洋ちっくで綺麗な子は西洋ちっく。
 って言うかアズライト、ディディエを連れて行ったから普通に考えたらあの子はディディエだよね?成長した?

 アズライトがぐんぐん小さくなって私の肩に乗る。
 ちょっ、みんなの前でやっちゃダメじゃん。グレーデンの人たちだから良いけど気をつけないと。
 ディディエはサイズが一回り、見た目が結構変わってたけど、くるくるした眼は変わってない。

『我はもう必要がないと言えばないがたまにはいいものじゃの』
 お肉はもちろん魔石も食べてるんだって。
「ディディエも魔石いっぱい?」
「グッギャー♫」
「普段からあげたほうが良かったね?」
『否、普段は主の魔力があれば良いのじゃ、こういった大発生時は魔獣どもの魔素が籠った肉と魔石は一気に吸収できてラッキーというやつじゃの』
 一気に食べたいのか。普段切なくないんだろうか。
『うまい料理を食えるようになったんじゃからなんの問題もないの』
 よく分からないけど飢えてないならいいか。

『主にもちゃんと残してあるからの』
「何を?」
 嫌な予感しかない。
『強いのというてもサンダーバードとロック鳥がほとんどでの、ちと魔石が大きいのだけ残したんじゃの。良き魔道具が出来ようの』
「ありがとう」
 普通だった。肉の細切れとか内臓じゃなくて良かった。
『羽根も不味いから避けてあるのじゃ、後で出してやろうの』
(羽根不味いんだ)
 
 たくさん人が戻ってきて、お祖母様やハロルドも帰ってきた。
「三十年前よりは骨がなかったね」
「そうですか?十五年前のはまぁまぁでしたぞ」
 ん?十五年周期?
 お義母さまは三回とか言ってたけど??

「細かいのはたびたびあるんさね」
「外から来られた奥様は最初の頃はさすがにインパクトが強くお感じでしたでしょう」
 およよ。私が困惑したのを見て答えてもらえた。
 お義母さまも最初から平気だったわけじゃないと知って少しホッとした。

「あ、アンゼリカさまたちはお風呂に入ってもらってます」
 お祖母様も孫娘に会いたいだろうし、汗流したいだろうから。
「おや、ある程度でキリをつけたのかね。ルドガーのように最後まで粘りそうなのに」
「はっは、アンゼリカお嬢様はリーシャさまに会いたかったんでしょう」
 ええ、戦闘より私が良いとは言わないと思う。
「そうかね。我が家は女子がなかなか生まれないから妹にでもした気かね?」
「さぁ、ですが自分が男ならば嫁に貰ったとまで仰ったので身の内にお入れになったのでしょう」
 可愛がってくれてるとは思ってたけどそこまでなのかな?嬉しいけど照れるね。

「ああ、アズライト、あんた随分大きかったんだねぇ」
『まだ全開放しておらんよ』
「デェディエもなんか変わったねぇ?成長期かい?」
 普段通り、何のことはないって、おおらかな反応なので問題なさそう。
 
 お祖母様は、私の肩にいるアズライトを突いてお風呂に向かった。

 空が赤み出した頃、ジュリアスさまたち、お義父さまたちが戻ってきた。

「リーシャ、ただいま」
「おかえりなさい」
 ボスッとジュリアスさまに飛びついた。

 えーと、ラヴァたちが門の向こうに勢揃いしてるんだけど、バーベキューに参加するのかな!?



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