ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

424話

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 家具が入るまでは使えないのでお風呂だけ入れるよって状態なわけで。
 後日、細工師さんや大工さんがきてくれる。
 私は必死に欲しいイメージを思い起こしては紙に書く。
 紅い壁に釣られて中華な家具っぽくなっちゃう。
 ベトナムとかバリの方かも?
 まぁ異国情緒って感じ?
 外国人の考える日本みたいになりそうでちょっと笑える。

 ルークはずっとジャリジャリやってたんだけど途中からポムたちもマジって遊んじゃって、前方後方墳みたいになった。石が麓で散ってる。なぜに。
 そこ!トンネル掘っちゃダメ。

 しかも古墳はお墓だから新築のお家の作るのはやめてほしい。

「元に戻して」

 思わず素っ気なくなっちゃい。

 ポムが土魔法で処理してくれるから大丈夫なんだけど。やるなら空き地でやってね。


 今日はここでやれることは無いのでジュリアスさまと帰ることになった。
 もちろん片手抱っこでジュリアスさまの首に手を回してるよ。

「完成したらゆっくり風呂に来よう」
 ジュリアスさまが予定を立ててくれたんだけど後ろでルークが頷いてる。しれっとお付きで泊まる気なんだ。
 ニーナが私に付いてるし仕方ないか。

「ニーナ、次にマダム・シフォンが来る予定聞いてる?」
「しばらくは無かったように思いますが、大奥様にお聞きしますか?」
「うーん、他の人選ぶのは不味いよね?」
「マダムがお気に召しませんか?」
 そんな滅相もない。カジュアルなものも下着も作ってもらえてありがたいよ。
「宿でゆっくりするときに着る変わった?のを作りたいんだけどマダムはお忙しいじゃない?」
 浴衣っぽいのがほしい。柄も入れたいし、帯もなぁ。兵児帯でいいかな。
「ではマダムに良い方を紹介していただくのはどうでしょうか?」
「それがいいかな。温泉スパで着るのも欲しいの」
 スパはムームーとか。殿方はジンベエかな。
「確かに大仕事になりそうですね」
 静かに聞いてたルークが会話に入ってきた。
「騎士団のスパでは下履きでみな見苦しくフードコートを歩き回っいてるので専用の服があるのはありがたいです」

 まさかのパンイチ!!!パラダイスかよ。
 ちなみに下履きはもっこふんどし。
 最近私のペチパンツを男性向きに考えてトランクスっぽいのが出てきてるよ。

「お風呂とサウナ以外はガウンでもシャツでも羽織るって決めたら?」
「あの者たちにそんな心配りがあるわけないですよね?」
 知らないし!!!
 騎士なんだから規則とか決めたら良いじゃない。

「風呂はリラックスしてこそなのでうるさいことは言いたくないんですよ。専用服があると知れば着たがるでしょう」
 
 マッチョたちの体型に合わせてとなると大仕事だし、騎士団棟には浴衣かな。
 肌けたマッチョ!!くぅ。見に行けないのが辛いところ。

 クミちゃん!!桃源郷に行けないよ!!!

 あ、ジュリアスさまに着てもらって肌けてもらおう!!寝起きのジュリアスさまを!!

 うふふふふ、って思ってたらジュリアスさまがちょっと寒気を感じたっぽい仕草を。

『主、かなり気持ち悪いの』
『嫁、実はむっつりなんだな?』
 (心覗くなぁ!!)
『丸見えじゃったしの』
『ダダ漏れだったぞ』
 なんてこった。

 恥ずかしくて悶えたらちょっとジュリアスさまの首を絞めちゃった。
「リーシャ、締めすぎだ」
 全然苦しそうじゃないけど、背中をポンとして宥められた。
 
 屋敷に戻るとお義母さまとお祖母様が出迎えてくれた。

「ジュリアス、使用人棟のお風呂に陛下たち来ちゃったのよぉ!お食事は陛下たちも一緒ねぇ」

 おおおっう!?
 何してるんだ。偉い人。

「父上がお相手を?」
「クラウドもだよ。さっき雄叫び上げてたから電気で遊んでるんじゃないかね」

 高貴な人に電気ショック!!
 何してるんだってば。

「はぁ、一応挨拶してきます」
「リーシャちゃんも行ってきてくれる?」
「はい・・・」

 でも私は中に行けないよ。

 使用人棟の温泉スパ周りにはいつもより大勢の騎士さんたちが立ってる。
 どうせお忍びで身一つ出来てるだろうから近衛とか来てないんだろうな。困った王様だよ。

 みんなに礼を取られながら中に入ると、侍従長とハロルドとシエルが待機してた。
 
「旦那さま」
「任せてすまないな」

 王様の突撃には慣れているグレーデンなので、悲壮な顔してるとかはないけど、使用人用の場所に来られると困るよね。
 せめて騎士団棟の方に行くべき。

 私はロビー的な場所で待ってることにして、ジュリアスさまとルークが中に入って行った。
 しばらくすると茹で上がった王様とリックさまがお祖父様たちと出てきた。

 リックさま!お前もか!!!

 お義父さまもご機嫌で出てきて私を抱き上げる。ホコホコしすぎぃ!!

「リーシャちゃん、陛下たちも温泉の虜じゃぞ」
 それはそれは。
「なぁ。岩盤浴を王宮にも作って欲しいんだが」
「それはダメじゃ、当面は我が領で客寄せにするんでのぅ」
「「ええ~」」
 お義父さまとお祖父様がスパッとお断りしてるのを王様とリックさまがグネグネと体をくねらせてごねる。
「王宮暮らしは疲れるんだぞ。思いやりをくれても良いじゃないか」
「そうですよ。日々磨耗するこの体を労っていただきたい」
 体が磨耗しちゃってる!!?!

「どうせ転移陣でこっちに来るんから向こうに作らなくても良いんでは?」
 ルークまで切れ味がすごい。

「あー!!陛下、私は辞表を出します。もうグレーデンで永住したいんで」
「なんだと!!お前だけ逃げられると思うなよ!今のグレーデンに住んだらお前のような魔術師は延々と魔道具をつくらされてカスカスのカスにされるんだぞ」

 国の一番偉い人と国の重要人物が口汚く揉めてる。ストレス過多なんだね。

 あー・・・でも筆頭魔導師は喉から手が出る。
 お義父さまとハロルドの目がギラっとした。

 リックさまはゾッとしたみたいだけど、やっぱりグレーデンに住みたいらしい。

「王都でだって私は馬車馬のようですよ!なんです。プライドばかり高い使えないポンコツ令息とか誰が雇ってるんですか!!」
「それはそもそも魔導師の質が向上しないからだな。人手が足りんのだろう」
 うほーここでそんな言い合いしなくても。

 リラックスするはずの温泉で逆にストレスが爆発しちゃったぞ。





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