ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

420話

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 お義父さまと共にお義母さまの弾丸を受けた。
 ビクともしないし、なんなら片腕でお義母さまの腰を抱いて浮かすまでやる。

「おかえりなさぁい」

 私を挟んでキスしそうだ。下ろして欲しい。

「今日はお母様がボアを撥ねたらしくてぇ」

 撥ねた??

「嫌だねぇ!走っていたら進路を妨害してきたからちょっと魔法で吹っ飛ばしただけさね」
 
 うーん?撥ねたであってるかも。どこで走ってたらボアがいたんだ。

「今夜はボアか」
「フレアビッグボアだ」
 お祖父様が嬉しそう!
「それはうまそうじゃ」
 なんか怒ると燃える猪らしい。怒らせる前に一瞬でやっつけないと自身の熱で脂が溶けちゃって固くなるから、見つけていきなり吹っ飛ばせないと不味くなるとか。
 
「ただいまー」

 クラウスさまが先頭にジュリアスさまたちが戻ってきた。

「お帰りなさいませ」
「ただいま、リーシャ」

 ボスッとジュリアスさまに埋まった。ジャスパーも私の背に乗ってくる。
 はぁん。もふもふ、ぬくぬく。

 着替えにお部屋に戻るとサラとメルが乙女チックワンピースを。楽しんでるなぁ。
 
 ジュリアスさまがジャスパーを撫でてるのって良い絵だよね。
 私がアズライトを撫でる絵はどうかなぁ。

 夕飯まで少し時間があるみたいなので、ジュリアスさまに声をかけて、持ってきたお酒を半分、クローゼット部屋に作ってある棚に並べた。ひゃっほぅ!
 地道に並べて結構見栄えが良くなってきたよ。
 ワインだけワインクーラーを用意したよ。
 棚には状態保護のと通常のままの段を作った。
 ブランデーやウィスキーは寝かしたいけど、日本酒とかは古酒になると癖が強くなるから新酒の状態で残さないと。
 瓶が同じようなのしかないので面白味はないけど、全部お酒だって良いのが良い。

 なぜクローゼットかって、ここは私の専属侍女とメイドしか入らないから!
 こっそりバーカンは隠し部屋にしようかなぁ。
 あ、クローゼットにはジュリアスさまは入るよ。ジュリアスさまの礼服はここにあるから。

「リーシャ?」
 棚をニマニマ見てたらジュリアスさまに呼ばれた。
「はい」
「随分貯まったな」
 変顔見られてないかな。
 ビクってなったのをアズライトがやれやれ的な感じで見てる。
『酒は貯めるより飲むものじゃ』
(たくさん飲ませてもらえないから仕方ないじゃん)
『いつか飲もうはずっと飲まんじゃろうのぉ』
(うるさい~)

「食事に行こう」
 ジュリアスさまが私を抱き上げて、アズライトは私の肩に飛び乗る。

「酒盛りができるようになると良いな」
 頭をポンポンとしつつ、慰め的な感じじゃないので嬉しいけど、おかんルークとマギー先生がいつ解禁してくれるかなんだ。
 二杯ぽっちじゃエンジンかかる前で終わっちゃう。

 食堂に入るとみんな揃ってる。
 フレイムボアとやらが楽しみで仕方ないらしい。

「リーシャちゃんには一番大きいのを出してもらうのじゃ」
 って普通に食べきれないから。
「そこは一番美味しい部位じゃないのか」
「一番美味しいところは狩った母上の物じゃ」
 それはそう。
 部位ごとの違いなんてわからない舌なので、柔らかいお肉ならどこでも嬉しい。

 今日はジャガイモのスープとくるみ入りパンとスモークした魚のサラダですでにお腹に貯まるメニューだ。
 厨房から運ばれてきたのはステーキ。
「はいはーい。ソースはお好きなの選んでねぇ」

 鉄板に乗せるのが良いな。そういえばホットプレートとカセットコンロは作ったけど、鉄板焼きまでは考えてなかった。
 ハンバーグやスパゲッティの鉄板で食べるやついいよね。
 今度作ってみよう。鍛冶屋さんに任せたほうがいいかな。

「はい、リーシャ」
 レアな分厚いステーキにフリュアとパバブのソースをつけて。
 トロホロー。
 お口でトロける。

 角煮とか時間かけたお肉じゃないただ焼いたお肉でこれはやばい。

「美味しいか?」
「ふぁぁい」
 ジュリアスさまは大きく切って自分でパクリ。
 アズライトはこんな素敵肉でもパバブ山盛りでジャスパーはフルーツソースだ。
 ポムとティムはお義父さまに切ってもらってる。甘え上手め。

「お祖母様~、フレイムボアなんて最近見たことないけどどこにいたのー」
「どこだったかね。ちょっと気分を変えてまだ開拓してない荒地を見に行ったのさ」
 おおー、それはいっぱいありすぎて方角と距離を教えてもらわないと困るやつ。

「あんま人が行ってない場所なら何か出てもおかしくないねー」
「畑に人を回してるから未開地を見逃していたか?」
「いや、基本的には順番に回っている」
「これだけ広いんだから常に移動してるだろう」

 居住区にはあまりいないだけで、それ以外にはちょいちょい出てる。
 そのちょいちょいが王都で〈辺境には魔獣が闊歩してる〉になるわけで。
 実際に闊歩してるのは魔の森くらいなのにね。

「フレイムボアが人里に出ると火が心配じゃがそうそう出てこないレアじゃし、様子見でいいじゃろ」

 真剣に話してるのに、物凄い勢いでお肉食べてる。
 漫画のマンモス肉みたいなの普通に食べそうだから、大型魔獣の輪切りで焼いてみて出したい。

 ひたすら食べ続けて、さらにおやつを平らげた。

 梅ワインとかもういらなくない?




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