ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

416話

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 別邸は来客用に少し危険区域から離れて使用人の家族とかが居住する区域にある。
 もちろんガッチガチに魔物避けは施されているし、来客中は警備を増やしてる。

 なんと言うか、私の離れの最初の頃のような洋館なのでほんのり切ない。
 もはやガチキャンパーの聖地くらいない有様だもの。

「フローラさま、ルシェリーちゃん、どうぞぉ」
「お迎えありがとう存じますわ」
 サーキス夫人とお姉様は馬車に同乗して行く。
 ジュリアスさまやお義父さまがいない分、五人で乗っても大丈夫。
 まぁドレスが嵩張るけど。
 他にサーキス家からの侍女さんたちは別の馬車に乗ってもらう。

「ルークやニーナから聞いてはいましたけど、本当に快適ですのね」
「この椅子はどうなってらっしゃるの?」
 ぐふふ。スプリングの入った椅子は良いよね。
「リーシャちゃんが遠出でも疲れないようにしてくれて野営になっても馬車の中で寝られるようにしてくれたのよぉ~」
「椅子が変形するのにはびっくりしたさね」
 お義母さまとお祖母様は背にしている面を「こうしてこう」とか説明するけど乗車中は無理ですって。
「野営なさるの!?」
 あ、一般的な貴族は意地でも宿まで辿り着けるよう旅程に余裕を持って動くんだった。
「うちはせっかちが多くてぇ」
 
 結局、馬車の購入を希望されてしまった。
 サーキス家に一台とお姉様のアルヴィナ家用二台だって。
 おっきいお買い物をポーンと決めちゃう。
「領地への視察を増やせそうだから良いお買い物よねぇ」
 日程を減らせるし楽になるから買って損はないそうだ。

 騎士団棟近くなると騎士団から護衛として十人くらい派遣されてきた。

「さすがにこのあたりは何もないのですね」
「そうよぉ、増やすって言っても訓練場が広くなるだけよぉ」
 温泉スパができましたよー!

 騎士団棟を抜けて真新しい建物に着く。

「ようこそ」
 騎士さんが馬車の扉を開けてくれて降りるのを補助してくれる。

「まぁまぁ!ルークと比べると逞しいわ!やっぱりグレーデンでは食が違うからかしら?」
「お母さま、ルークは学園に入るまでただのおぼっちゃまですわ。基礎が違いましてよ」
 さりげなく息子をディスってる?
「あんな細い子がここで生きていけるわけがないと思っていましたけどジュリアスさまの横で鮮血の悪魔とまで言われるなんてねぇ」
 初めて聞いた二つ名でた。
 前は氷原の貴公子だった気がする。
「いつかルドガーさまくらい育つかしら!そこまで行ったら面白いですわ」
 ルシェリーお姉様は筋肉好きとかじゃなく、ただ弟の変化を楽しみたいらしい。

 屋内に入ると工事中の場所がそのままなので逆に珍しいと喜んでくれる。

 お義母さまがお二人を更衣室に案内してくれるそうなので私は、梅の枝を休憩場に飾り、よもぎもどき蒸しのセットをサウナ予定の部屋に置く。
 接待のために来てくれたエステ隊と侍女さんメイドさんに使い方の説明をして準備をお願いする。

「下半身を温めるのは良さそうですねぇ」
 侍女さんも興味津々なので後日お試しできるようにしよう。
 
 私も更衣室に入るとお義母さまたちが薄手のガウン姿になっていた。
 私もサラとメルに脱がしてもらって髪をまとめて用意する。
 お世話かかりの侍女さんたちは薄手のワンピース姿でついてくる。

「じゃぁ、何からにしましょうねぇ」
 ガウンを脱ぎ捨て、ウキウキしたお義母さまを先導に温泉ルームに入る。

「まぁ!こんなに広々としたお風呂は初めてよ」

 まずは掛け湯をして軽く洗ってから、お義母さまの希望でジェット風呂に入る。
 夫人に浸かり方を説明してまずは背中側に気流を当てる。

「あぁぁ・・・」
「はぁ・・・」
 
 なんて言うか凝っていらっしゃったのねってくらいうっとりしたお顔になった。
 お義母さまがお腹側に当てるために反転すると真似をして。

「はわわぁ」
「ああ~」
 
 気流に押されて体が少し流されたよ。

「これは気持ちが良いです」
「妊娠で緩んでしまったお肌に刺激があって引き締まるような気がするわ」

 お姉様の切実なお声が。妊娠出産後のお腹はお手入れ大変と聞いた気がする。
 百目ポーションでどうにかなる気が?

 つぎは電気風呂に挑戦。
 電気発生地点から遠い場所に足を入れてもらうとじんわりとピリピリ。

「これが電気?」
「よくわからないけどピリッとしますわ」

 お祖母様がグングン装置に近づくのを見てみんなで少しずつ近寄る。

「あっ」
「きゃっ」

 ちょっと刺激が強くなったあたりでビクンっと湯船に座り込んだ。全身分ピリピリだよ。

 なんか面白く思ったらしい夫人たちはお祖母様の近くに寄ろうと進んだ。

「はぁ?ああ~」
「ギャー」

 グワシっと腰を掴むかのような刺激にびっくりして湯船から慌てて出ちゃった。
「あはは、骨に響く感じだろう」
 お祖母様はうんともすんともならず普通に浸かってるのをお姉様がゾッとした顔で見る。
 夫人は恐る恐るもう一度チャレンジとばかりに弱いところに足を入れる。

「腰痛とか痛いところがなければ無理に入らない方が良いですよ」
「あら!私は腰が痛いのですわ」
 夫人がやる気を出してしまった。

「他にも薬湯とかありますから」

 岩盤浴とよもぎ蒸しも腰の良いはず。

 薬湯に夫人を案内すると湯船から香るハーブの香りに夫人が笑顔になった。






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