ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

401話

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 普段付き合わない人たちとの触れ合いはすっごく疲れた。
 比較的温厚でグレーデンに含むところが少ない人たちだったらしいけど、やっぱり多少は利を求めるわけで。
 私の見た目で簡単に取り入れそうとか思われがち。
 嫌なことははっきり嫌って言うけどね!

 夜は泥のように眠った。
 こっそり持ってきたジュリアスさまの部屋着と一緒に寝てみたので安眠。

「おはようございます。若奥様」
 起こされた時にメイドさんが私のじゃないシャツを見つけて生温かい目になったので誰のシャツかバレたよ。きっと。 
 
 食堂ではすでに勢揃いだった。みんな早起き。
「今日はお茶会を開いてからグレーデンに還るわよぅ」
 やっとお家に帰れる!

「派閥の夫人と新興貴族の夫人だから気負わなくて良いからねぇ」

 新しく陞爵したお家の方も呼んでる。
 ハーボットのせいでか、おかげでとなってるかはともかく新たな人脈は確保するのが良いよね。

 侍従さんたちがお庭をお茶会用にセットして飾り付けを侍女さんメイドさんが。
 手入れはされてるけど華やかさが少なかった庭がどんどんパーティ仕様に切り替わっていく。

 今回は少人数のお茶会で、立食じゃなくて席があって、アフタヌーンティーという感じにグレーデン家の食べ物を用意する。
 完全にグレーデンの宣伝になってる。
 お義母さまは工房で作られた美容クリームと化粧水、クッキーをお土産にするからねぇっと楽しそう。
 クッキーは少し豪華な木箱に入れてるので高級感がある。
 
 お昼を軽めに食べてから着替えをする。
 今日は軽めの明るいドレスだ。
「春の妖精よぉ」
とお義母さまが嬉しそうに注文してくれたパステルイエローのドレス。ジュリアスさまの目の色合いだけ使ってほんのり金茶の飾りが入ってる。
「よくお似合いです」
 一応人妻なのに可愛すぎないかなぁ?

 お義母さまは若葉色に金を使ったドレス。いつもよりは柔らかい印象があるかな。
 お祖母様は薄い朱色で少しスタイリッシュ系。

 二人とも夜会の時よりコルセットは緩め。そもそもそこまで絞めなくてもナイス括れだし。

 お飾りが三人同じ宝石を使ったお揃い。
 デザインは少しずつ違うけど、よく見るとお揃いってわかる。グレーデンの鉱山で採れたものらしい。

「うふふ、最近採れた少し薄い赤のダイヤモンドはリーシャちゃんに似合うと思ったのよねぇ」
 お義母さまとお祖母様がお互いのお飾りをじっくり眺めながら頷き合ってる。

 今日はお祖父様たちは護衛として近くにいてくれるらしい。
 あまり近いとお茶会なのにお祖父様たちは主役になっちゃうもんね。
 
 準備中にルルゥが厨房にいるのに気がついた。コックさんたちに混じって料理してる!

「食材届けに来たついでよぉ~♡」
 チョコも持ってきてくれたらしい。
 って言うか料理長自ら配達なんかしないだろうから楽しそうとかそう言うヤツでしょ。
「あー、リーシャちゃんがいない間にポムたちが何かすごいお酒仕込んでたわよぉ~☆」

 わぁ!鬼の居ぬ間にとか言う・・・。アズライト、監督不行き届きでパバブ抜きにしてやるー!

「あはは、楽しみねぇ」
 いやいや、人に出せないヤツだったら封印するから!

 ルルゥに揶揄われてる間にお客様たちがお庭に案内されて来た。

 私もお義母さまたちの元に言って一緒にお出迎えをする。

「うふふ、グレーデン家のお茶会に参加出来るなんていつぶりかしら」
「デリアさまにお会いできるなんて光栄ですわ」
「リーシャさま、やっとお話出来ますのね」

 ゴージャスなおば・・・姉・・・さまたちにガッツリ囲まれる。
 流行ってる香水なのかな。ちょっと獣臭い。魅惑な香りって麝香とか動物のフェロモンだっけ。
 かけ過ぎな人に囲まれたらこの香りは辛いだろうなぁ。
 
「皆様、ようこそ。お席に案内いたしますわぁ」

 お義母さまがお客様たちを促してくれた。

「リーシャ、香水は今も昔も臭いねぇ。あれは男を誘う香りとか言う触れ込みだったがクラウドやグレーデンの連中ははっきりクセェとか言っちゃって令嬢に嫌われたもんだけどまだ流行ってるんさねぇ」

 お祖父様たちが強い。カッコいい人にクセェとか言われたらトラウマものだよ。

「リーシャが作ってくれる化粧水が流行ったらあの匂いも消えるかねぇ」
「お祖母様はお使いになったことが?」
「いーや、私も騎士だったらからねぇ、汗かくたびにいちいち香水なんか使ってられないよ。それにあれは昔は高級品だった気がするねぇ」

 席に着いて侍従たちがお茶と軽食をサーブしていくと女性たちが嬉しげな声をあげる。

 マッシュポテトのサンドイッチとスコーン、ジャムクッキー、ケーキ&タルト、ショコラと都会のレディには結構なボリュームだ。
 
 蜂蜜は蜜ミツバチのだし、プルルンやバナナとか王都に出回ってないフルーツを使ってる。
 何より味が良いからみんな途中で「残せないです」って目を潤ませながら食べてる。
 
 お義母さまがグレーデンの畑のことや工房のこと、これから作る温泉のこと、いろんな宣伝を織り交ぜながら、お相手の領地の名産を聞いて。
 ついでに学校作りやダンジョンのことも話したり。

「リーシャ、あの子は王都で育ったから要領も頭の回転もいい。真似しようと思わなくていいけど学ばせてもらうんだよ」

 うん。嫌味にならない話術と心を掴む笑顔は天性のものだと思うけど、私もグレーデンのために頑張らないと。

 場が温まった頃、若い令嬢がお義母さまにクラウスさまのことを聞いて来た。

 要約すると学園で一目惚れした、声をかけても躱され縁談は断られてる、誰か決まった人がいるのかと思っていたが一向に結婚したとは聞かない。
 今も決まっていないならぜひお婿にと言うことらしい。

「あらぁ、クラウスってば何も言ってこないからモテないのかと思ってたのよぉ」
「いえ!カッコいいですし優しい方ですから!」
 顔を赤くしながら力説してるのはミケイラ・モード侯爵令嬢だそう。となりで母親らしき夫人が消極的に止めてるけど気にしないで話してる。

 うーん。グレーデンに押しかけて来た子の話とかも噂になってるだろうに同じようなアピールが多いね。

 お義母さまがうちは本人に任せてるからってことで求婚のお話はばっさり流された。


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