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二章
399話
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筋肉もモフもゼロの寝起きはとってもアンニュイ。
いかに普段素敵な寝床に恵まれているか。
心なしかしょんぼりな私は簡易ワンピースに着替えさせてもらって食堂に向かうとお義母さまに突撃してハグしてもらった。
「あらあら、おはよう。寂しかったのねぇ☆」
完全に子供扱いだけどささやかなプライドより温もりの方が大事。
「最近はジャスパーも一緒だったから・・・」
「おう!俺に飛びついてもいいんだぞ!」
「そうさね!おいで!」
とってもウェルカムなポーズをされてしまえば断れないので遠慮なく突撃した。
お祖父様はお義父さまレベルのマッチョなのでとても良いボディだ。
お祖母様はお義母さまより鍛えてる感じの感触。さすが冒険者やってるだけある。
さすがに十六才の行動としては恥ずかしいけど見た目は子供なので許してほしい。
「さぁさぁ食事をいただきましょうねぇ」
本日の朝食はサラダとパンと卵とハム・・・は私用で。
お義母さまたちはさらにお肉がドーン。ローストビーフっぽいのだからヘルシーな分類なのかな?
朝だからとか全く関係ないんだろうけどね。
「やはり魔素が足りんと食べた気がしないねぇ」
「そうだな!長く王都にいたら筋肉が減りそうだ」
魔素はプロテインかな!?
食後のお茶にはルルゥのレシピのデザートをおしゃれに盛り付けたタルトが出てきた。
お義母さまとお祖母様が幸せそう・・・マルゴさんとザイルさんもに大きな手に可愛いケーキ皿持ってる。
「ダンジョンで食料が尽きるととにかく焦げた魔獣肉だけになるからな!食事にデザートにと楽しめるのは本当に幸せだぞ」
お祖父様が笑顔で話してくれた。
んー、危険区域で料理が出来ないのはわかるけど塩やハーブくらいなら使えるよね?
焦げた肉だけになるのはただ調理出来ないだけだと??
「どっちにしたって水と酒と干し肉とナッツ類くらいしか持って行かないからなー」
「帰ってきて兵糧を見た時は少し悲しくなったな」
お祖父様たちが旅をしていた時代に兵糧は干し肉しかなかったらしい。
マジで辛い。それは私には冒険は無理だ。
「穀物を固めただけのは十年くらい前に出てきて、色々味を変えてくれたのはリーシャさまですよ」
壁際に待機していたアモンさんが教えてくれる。
「前までのはとにかく硬くて栄養が取れればいいってやつだった」
チェイスさんが昔を思い出して苦い顔してる。
「魔導コンロとか手軽な調理器具をリーシャさまが作ってくれたから野営はかなり助かってますよ」
以前の食糧事情が悲しすぎる。普通の食事だって塩味だけで納得してて進化してなかったんだね・・・。
そしてお出かけ用のお着替えをする。
奨学金についての有効性をお話しするために催されるガーデンパーティーだそうなので華美にならない落ち着いたドレスになった。
お義母さまとお祖母様もコルセットをキツく絞めずに少しだけラフな装い。
なぜかちょっぴり家庭教師テイスト。
状況を楽しんでるんだね。
それなりの人数がお呼ばれしてるそうなのでお祖父様たちも護衛に入ってくれるみたい。
大柄なおっちゃんたちが護衛って物々しいね!
主催してくれるアンダーソン侯爵邸はかなりな御殿だった。
慇懃無礼なメガネの執事に案内されてお庭の会場に向かえば、アンダーソン侯爵とユーリア夫人、リックさまが出迎えてくれた。
「ようこそ、グレーデン家の皆様。本日は我がアンダーソン家へのお運び光栄にございますな」
侯爵がご機嫌なのはお祖父様たちが有名なのと招待してもほぼ断られちゃうお義母さまが来たことで箔がつくからみたい。
すでに会場にいる人たちの羨望の眼差しを受けて鼻とお腹がグングン上向きだね。
お腹はね・・・だって出てるのに胸張りで強調するもんだからつい・・・。
「いやぁ!陛下の覚えめでたい辺境伯夫人をお招きできるとは・・・」
あれ、私もレアだった!
サクサクと主賓席に案内されてしまった。
そして侯爵による開会の挨拶の長口上が始まったので笑顔を貼り付けて聞いてるふり~。ちゃんと聞けって言われても半分くらい自慢なんだものー。なんとなく聞きで許してほしいよ。
「ふん、先代と似たり寄ったりなのかねぇ」
「まぁ似てるなら悪い性格でもないだろう」
お祖父様たちは先代とは知己なんだ。
「リーシャさま、アンダーソン侯爵はちょーっぴりうざいですが悪い性質じゃないですし、人脈も広く納得したことには最後まで力を注いでくれますので程よい距離でお付き合い願いますよ」
ちょーっぴりウザいのはウザいんだね!
リックさまがこそっと耳打ちしてくれたので改めてアンダーソン侯爵を観察。
話す感じはギリギリセクハラにならないギャグをかましてきた仕事場の部長みたい。
見た目は薄茶の髪でちょっとお腹が出てるけどそこまで太ましくもないおじさま。
「彼は姉の夫で私に投資してくれた恩人なのです」
ほー!ユーリアさまはお姉様なのね。あんまり似てないから言われないと気がつかないかも。
筆頭王国魔術師のリックさまに投資したとかってめっちゃ成功してる!
「うちは貧しくはないですがさすがに留学費用まではなかなかね」
やっぱお金はネックだね。
「無利子無担保でなどと言うのは正直心苦しいものです。もちろん稼げるようになって返済致しましたが、現在に至るまで私を利用したりも全くないんですよ」
筆頭魔導師に恩に着せないってすごい。
嫁の弟にそこまでしてくれるなんて懐が深い人だ。
「侯爵はリックさまに投資をしたと言う前に王国の未来に投資したんではないですか?」
「え?」
「我が国には魔導師が少ないですし高レベルの魔導師はほんの一握りでしょう?国のためにひいては自分と民のための投資ではないですか?」
嫁の弟というのは大前提だと思うけど。
「なるほど、そう考えますか」
学びたい子が学んで力を付けるのを手伝うのは未来への投資だと思う。
まぁ、リーシャが自由に学科を選べなかったりした鬱憤や生まれた環境で制限される虚しさはやっぱり切ないから。
それが今日のパーティーでうまく伝われば奨学金の有効性がわかってもらえるんじゃないかなぁ。
いかに普段素敵な寝床に恵まれているか。
心なしかしょんぼりな私は簡易ワンピースに着替えさせてもらって食堂に向かうとお義母さまに突撃してハグしてもらった。
「あらあら、おはよう。寂しかったのねぇ☆」
完全に子供扱いだけどささやかなプライドより温もりの方が大事。
「最近はジャスパーも一緒だったから・・・」
「おう!俺に飛びついてもいいんだぞ!」
「そうさね!おいで!」
とってもウェルカムなポーズをされてしまえば断れないので遠慮なく突撃した。
お祖父様はお義父さまレベルのマッチョなのでとても良いボディだ。
お祖母様はお義母さまより鍛えてる感じの感触。さすが冒険者やってるだけある。
さすがに十六才の行動としては恥ずかしいけど見た目は子供なので許してほしい。
「さぁさぁ食事をいただきましょうねぇ」
本日の朝食はサラダとパンと卵とハム・・・は私用で。
お義母さまたちはさらにお肉がドーン。ローストビーフっぽいのだからヘルシーな分類なのかな?
朝だからとか全く関係ないんだろうけどね。
「やはり魔素が足りんと食べた気がしないねぇ」
「そうだな!長く王都にいたら筋肉が減りそうだ」
魔素はプロテインかな!?
食後のお茶にはルルゥのレシピのデザートをおしゃれに盛り付けたタルトが出てきた。
お義母さまとお祖母様が幸せそう・・・マルゴさんとザイルさんもに大きな手に可愛いケーキ皿持ってる。
「ダンジョンで食料が尽きるととにかく焦げた魔獣肉だけになるからな!食事にデザートにと楽しめるのは本当に幸せだぞ」
お祖父様が笑顔で話してくれた。
んー、危険区域で料理が出来ないのはわかるけど塩やハーブくらいなら使えるよね?
焦げた肉だけになるのはただ調理出来ないだけだと??
「どっちにしたって水と酒と干し肉とナッツ類くらいしか持って行かないからなー」
「帰ってきて兵糧を見た時は少し悲しくなったな」
お祖父様たちが旅をしていた時代に兵糧は干し肉しかなかったらしい。
マジで辛い。それは私には冒険は無理だ。
「穀物を固めただけのは十年くらい前に出てきて、色々味を変えてくれたのはリーシャさまですよ」
壁際に待機していたアモンさんが教えてくれる。
「前までのはとにかく硬くて栄養が取れればいいってやつだった」
チェイスさんが昔を思い出して苦い顔してる。
「魔導コンロとか手軽な調理器具をリーシャさまが作ってくれたから野営はかなり助かってますよ」
以前の食糧事情が悲しすぎる。普通の食事だって塩味だけで納得してて進化してなかったんだね・・・。
そしてお出かけ用のお着替えをする。
奨学金についての有効性をお話しするために催されるガーデンパーティーだそうなので華美にならない落ち着いたドレスになった。
お義母さまとお祖母様もコルセットをキツく絞めずに少しだけラフな装い。
なぜかちょっぴり家庭教師テイスト。
状況を楽しんでるんだね。
それなりの人数がお呼ばれしてるそうなのでお祖父様たちも護衛に入ってくれるみたい。
大柄なおっちゃんたちが護衛って物々しいね!
主催してくれるアンダーソン侯爵邸はかなりな御殿だった。
慇懃無礼なメガネの執事に案内されてお庭の会場に向かえば、アンダーソン侯爵とユーリア夫人、リックさまが出迎えてくれた。
「ようこそ、グレーデン家の皆様。本日は我がアンダーソン家へのお運び光栄にございますな」
侯爵がご機嫌なのはお祖父様たちが有名なのと招待してもほぼ断られちゃうお義母さまが来たことで箔がつくからみたい。
すでに会場にいる人たちの羨望の眼差しを受けて鼻とお腹がグングン上向きだね。
お腹はね・・・だって出てるのに胸張りで強調するもんだからつい・・・。
「いやぁ!陛下の覚えめでたい辺境伯夫人をお招きできるとは・・・」
あれ、私もレアだった!
サクサクと主賓席に案内されてしまった。
そして侯爵による開会の挨拶の長口上が始まったので笑顔を貼り付けて聞いてるふり~。ちゃんと聞けって言われても半分くらい自慢なんだものー。なんとなく聞きで許してほしいよ。
「ふん、先代と似たり寄ったりなのかねぇ」
「まぁ似てるなら悪い性格でもないだろう」
お祖父様たちは先代とは知己なんだ。
「リーシャさま、アンダーソン侯爵はちょーっぴりうざいですが悪い性質じゃないですし、人脈も広く納得したことには最後まで力を注いでくれますので程よい距離でお付き合い願いますよ」
ちょーっぴりウザいのはウザいんだね!
リックさまがこそっと耳打ちしてくれたので改めてアンダーソン侯爵を観察。
話す感じはギリギリセクハラにならないギャグをかましてきた仕事場の部長みたい。
見た目は薄茶の髪でちょっとお腹が出てるけどそこまで太ましくもないおじさま。
「彼は姉の夫で私に投資してくれた恩人なのです」
ほー!ユーリアさまはお姉様なのね。あんまり似てないから言われないと気がつかないかも。
筆頭王国魔術師のリックさまに投資したとかってめっちゃ成功してる!
「うちは貧しくはないですがさすがに留学費用まではなかなかね」
やっぱお金はネックだね。
「無利子無担保でなどと言うのは正直心苦しいものです。もちろん稼げるようになって返済致しましたが、現在に至るまで私を利用したりも全くないんですよ」
筆頭魔導師に恩に着せないってすごい。
嫁の弟にそこまでしてくれるなんて懐が深い人だ。
「侯爵はリックさまに投資をしたと言う前に王国の未来に投資したんではないですか?」
「え?」
「我が国には魔導師が少ないですし高レベルの魔導師はほんの一握りでしょう?国のためにひいては自分と民のための投資ではないですか?」
嫁の弟というのは大前提だと思うけど。
「なるほど、そう考えますか」
学びたい子が学んで力を付けるのを手伝うのは未来への投資だと思う。
まぁ、リーシャが自由に学科を選べなかったりした鬱憤や生まれた環境で制限される虚しさはやっぱり切ないから。
それが今日のパーティーでうまく伝われば奨学金の有効性がわかってもらえるんじゃないかなぁ。
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