ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

397話

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 マールベリーさま、ツゥランス侯爵家のタウンハウスはグレーデン家の質実剛健なお屋敷とタイプが真逆で都会的な瀟洒なお屋敷だ。
 おっしゃれー!
 
 門から玄関まではやっぱり馬車。
 お庭もエレガントなのだ。
 
 玄関ホールに案内されると麗しい侍従さんと侍女さんメイドさんが並んでる。
 洗練されてるぅ!

「リリィー、ようこそ!王都で会うのは幾年ぶりかしらぁ!」
「ようこそ、グレーデン家の皆さま。よくお越しくださいました」

 マールベリーさまの旦那さまのツゥランス侯爵はキラキラな金髪で端正なお顔のザ・王子様な雰囲気のオジサマだ。
 お義母さまと好みが真逆・・・あ、政略の場合もあるんだった。
 うーん、実は脱いだら細マッチョ?
 袖が緩いから筋肉はなさそうだからヒョロっこいかも?
 お義母さまとお祖母様はマールベリーさまハグ、お祖父様は侯爵と握手で。
 私は小侯爵夫妻とお子様方にカーテシーしてご挨拶。

 すでに晩餐の準備が出来てるそうで食堂に通された。
 侯爵家の兄弟の一家も揃っているそうでそれなりの人数がいる。かしこまった席じゃないのはありがたいな。

「グレーデン家の食事に比べたら物足りないかもしれないがうちの料理人もかなり研鑽を積んでくれている。ぜひ楽しんでほしい」

 グレーデンのタウンハウスとは違った都会的なフルコースは、メグミがクミちゃんとたまに行っていたフランス料理チックで目が楽しい。
 けど、圧倒的に量が足りないよね。お義母さまたち。
 だけどさすがにお付き合いに慣れてるので普通に美味しそうにいただいてる。
 ちなみに私、一人で座ってるよ。クッション多めだけど。

 お味は塩味だけを脱出して少し深みが出てきた感じ?
 コンソメスープのレシピが流通してて良かったって感じかも。
 スパイスやハーブは使われているけど、まだそこまで流通してないのかな?
 王宮ではそれなりに使われてたけど。
 
「グレーデン家がレシピを開放してくれたおかげで食べる楽しみが増えました」
「ええ、お式の時に頂いた時の衝撃には敵いませんが日々美味しくなって幸せです」
 小侯爵夫妻は私とジュリアスさまのお式に来てくれてたみたい。

「スノウリリィーが送ってくれるお菓子を料理人がどうやって作ってるんだと泣きながら味を探ってたりするのよぉ~」

 えっと研修に来てくれたらうちのコックさんたちきっと喜んで教えてくれるよ。

「しかしクラウドさまもデリアさまも無事にお戻りくださってようございましたな。これでますますグレーデンは壮健だ」
「はは、攻略して出てきてみれば二十年も時が過ぎてて、息子は引退、孫はおっさんになっておったからびっくりしましたよ」

 おっさんはジュリアスさまのことじゃないよね?シグルドさま・・・?いや三十になったくらいだよね?

「はっは!ペーペーの文官だった私が大臣になれるほどの年月ですからねぇ」
 ツゥランス侯爵は財務大臣。
「腹黒マーブルにコキ使われておった若造が国の金庫を預かるとは思わんかったねぇ」
 お祖母様は懐かしそうに言う。腹黒マーブルってあだ名?誰のことだろう。
「たまたま数字に強かっただけですよ」

 この晩餐は純粋に親戚と気安く食事するだけみたいで良かった。

「そういえば、リーシャ夫人、カイダール男爵にご紹介いただくのは可能か?」
 突然お兄様の話を振られた。
 侯爵家の声掛けなら仲介の必要もなさそうだけど、業務提携とか難しいお話かしら?
「もちろん大丈夫ですが、何かございまして?」
「いや・・・まだはっきりした情報ではないんだが緑斑病が発生している地域があってな。うちの領地に近い村だそうで腕の良い薬師のカイダール男爵に薬の情報が頂ければとお聞きしたくてな」

 なんと!それは国をあげてな問題では?
 と思えば、緑斑病は感染力は低く都会ではあまり発症報告が出てないんだそうでまだ国をあげてと言うほどではないそうだ。

 うん、深刻度がわかんないけど感染症は怖いから早期対処がいいよ。

 この世界の感染症には色の名前がついてて、黒、赤、黄、紫、緑、白、茶、灰、と言う順番で重い。
 その中で黒、赤、黄、紫とが死病で薬がないものだ。赤、赤斑病はやっと特効薬が出来たとこなわけ。

 緑斑病は薬はあるにはあるけど素材が貴重で調剤出来る薬師レベルが高いから入手困難だと思う。

 感染力は低くても中等だし変異する可能性もあるし、少しでも広がるのは良くない。

「早急に連絡を入れますわ」
「よろしく頼む」

 お父さまが生きてたらもう一つくらい特効薬が出来てたかも知れない。
 つくづく欲張ったジジイとハゲは地獄に落ちてほしい。

「そういえばリーシャちゃん、ウォレス伯爵に何をお願いするのぉ?」
 静かになっちゃった間をお義母さまの明るい声が空気を変えた。
「そうそう、樹液って何が出来るんだい?甘いのかい?」
 お祖母様、シロップ系はあるかもだけど衣料に使いたいって言ったのに。

「樹脂やゴムじゃないかと思ったんです」
「ゴム?」
「ズボンや下着の着替えに便利になるかなって」

 現物を見ないとわからないし、物が仕上がらないと説明出来ないので困っちゃうよ。

「まぁ!リーシャさまがいると色々目新しい物が見られて良いわねぇ」
「着替えが楽になるって気になりますわ」

 マールベリーさまと小侯爵夫人がワクワクキラキラしてる。絶対ゴム見つけないとダメなやつ。

 子供達は途中で下がって、お土産に出したお酒を王都で流行りだと言う砂糖菓子をアテにして一杯。

「はぁ、陛下が王妃さまに叱られてもグレーデンに逃亡するのをやめない気持ちが良くわかりました」
 侯爵さまがグラスを愛おしそうに撫でてる。
「こんな甘美な酒があるならもうグレーデンに住みたいと思うのも致し方ない」

 およよ。陛下はお酒って言うより食事だけど。

「我が領地にも甘いブドウがありますがどうも美味しい酒にならず」
 甘いブドウがあるって!?
「甘いブドウはいつ頃が旬ですか?」
 グレーデンみたいに年中は無理だよね。
「あと三月ほどすれば熟しますよ」

 速攻で予約をお願いした。

「お酒ねぇ、造り方の問題かねぇ?」
「好みの問題もありますが渋くて苦いブドウの方が深みが出たりしますよ」
「ええ?」

 結局、お祖父様たちが飲みたいからということでグレーデンで量産中のタンクを少しツゥランス侯爵家に譲ることになった。
 美味しいワインができるといいなぁ。







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