ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

394話

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 お茶会や夜会に参加する貴族の女性の身支度は戦場である。
 私はコルセットは緩めでドレスも多少軽いめに作ってもらってるので着替えはいつもより大変だなぁくらいなのだけど、お祖母様とお義母さまはまさに拷問を受けてる。

「ふん!!」
「まだまだぁ!!」

 私のお着替えとヘアメイク、化粧をお二人であーだこーだ盛り上がりながら監督した後、お二人のお着替えを見守る私。隅っこで震えるばかりである。

 普通に見事に括れてる腰をさらに細くしなくちゃいけないの?

 ベテラン侍女長が、細身のおばさまが!スーパー◯イヤ人になったのかくらい気合いと腕力でお義母さまを締め上げる。
 それを私の戦力は・・・って言いそうな雰囲気で受け流すように平気な顔してる。
 私もう括れなくて良いから一生コルセットしたくない。

 朝ご飯をバッチリ食べた後にあんなに締めても無事なんてヤバいよね!

 お祖母様なんか笑顔で「さぁ来い!」「もっと来な!」ってやるんだよ。
 実はお義父さまより強いとかないよね?

 二人は華やかな赤いドレスで大変麗しく仕上がった。
 口紅も真っ赤。お顔立ちがハッキリしてるから似合うんだよねぇ。
 私のメイクは薄めでリップも薄紅だよ。

 私のドレスはパステルピンクに赤いお花のモチーフが程よく飾られてる感じ。子供っぽいデザインではないけど、お義母さまとお祖母様と並んだら私は子供になっちゃうね。

 身長もお胸も括れもないから!!!

 結構食べてるのにバストって育たないね!

 あれ?お義母さまみたいに無限スイーツしないとお肉つかないんだけ!?なら無理だな!!

 朝食後から格闘(お着替え)して昼食もバッチリデザートまで食べてメイク直しをしてから王宮に向かったよ。

 お祖父様たちは女性の身支度は関わったらヤバいからって食事以外はずっと庭で鍛錬してた。
 


 以前クソ親父(伯父だったけど)と来て以来の正面玄関口からの入場である。 
 混雑する祝宴とかは転移陣の間を使わせてもらってたから。

「いやぁ!こんな真正面から入るのは初めてかもしれんな」

 お祖父様とお祖母様、お義母さまと私で一台、スピネルさんたちが一台、アランたち護衛さんは騎馬で来ている。
 お祖父様とお祖母様の護衛はスピネルさんたちがいるので付いてなくて、お義母さまは二人、私が四人ってちょっとどうなのかって思うけど私が一番弱いんだから仕方なし。

 ザ・ロイヤルな門を通って長い園庭を抜けてやっと辿り着く馬車寄せ。
 
 案内を受けて、部屋に通されて。
 お祖父様たち男性陣は別行動になって。私の護衛の四人だけがお茶会につきそうことになった。

「どうぞこちらに。ご案内します」
 お祖母様とお義母さまとで侍従さんに連れられて趣きの良いお庭に通された。

 すでに何人かのご婦人がいらしてて、私たちに気がつくと席を立ってカーテシーをされた。
 
「ああ。久しぶりですね。楽にして欲しいんだけど」
 年配のご婦人にお祖母様が声をかけると皆さんも席に戻ってくれた。

 ご婦人はお祖母様のお友達で二十年ぶりってことかな。

「お母さま、デリアさまを独り占めはよろしくないわ」

 王宮からおしゃれ日傘を差した侍女さん連れて王妃さまが来られた。
 お母さま?
「あら?申し訳ないわね」
 どうやらご実家の母君だったようだ。王后さまかと思ってびっくりしちゃった。

「憧れの方があの頃のお姿のまま現れたのですもの。つい気が昂っちゃいますでしょう」
 お祖母様をうっとり見上げるお方はアデイラ前侯爵夫人で他にもお祖母様の世代のご婦人がお二人とお義母さまと王妃さまの世代の方が三人、いらした。

「リーシャさま、スノウリリィーさま、デリアさま、ご無理を言って申し訳けなかったわ。リーシャさまにどうしてもお礼とお詫びを言いたかったのよ」

 ?

「まずは母として娘のファティマに良いお品を贈ってくださったこと、一人の母として感謝いたします。強情なあの子に身を守る術を与えてくれてありがとう」
 キョトンとした私の目線に合わせてのお礼の言葉に私も周りの侍従侍女さんたちもちょっと慌てた。
 だって身長差のせいで膝をついてるみたいな状態なんだもの。
 中腰だと思いたいけどあのドレススカートの中どうなってるのか。

「お詫びを申し上げたいのは、セラーナさまとナタリアさまにお世話になっておきながらナタリアさまのこともカイダール卿のことも、そしてあなたのことも手をこまねいて全て後手に回ってしまったことを深くお詫び申し上げますわ」

 ・・・これは完全に膝ついちゃってる気がする。王族は謝っちゃいけないんじゃ・・・。
 アデイラ前侯爵夫人たちまで!!

「セラーナさまには私も良くしていただいたの。何もできなくてごめんなさいね」

 どうしたら良いの!?
 困ってお義母さまとお祖母様を見たら肩をすくめてから、王妃さまとアデイラさまに手を差し伸べた。

「皆苦い思いはしているでしょうがいつまでも重荷にしていてはあの優しく思いやり深かったお二人が浮かばれませんよ」
 お義母さまがそう宥めてくださった。
 接点はなかったもののお父さまとお母さまのことは少しご存じだったらしい。

 なんとか席についてもらってやっと普通?のお茶会が始まった。

 ほんとびっくりしたぁ。





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