ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

392話

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 宴会は深夜・・・朝まで続いたようだけど、私はジュリアスさまと早々に離脱。

 目が覚めて食堂に向かえば、まだほろ酔いのおじさんたちがダラーンと座ってた。

「リーシャちゃん、おはよう~」
 あの大騒ぎの中、大酒飲んで大量に食事を楽しんでたお義母さまとお祖母様は爽やかな笑顔だ。

 男性陣も二日酔いで食欲ないとかは全くなくみんなで朝食を食べる。

 王様とリックさまが居るのはお約束なんだな。
 二人とも無駄にイケオジなんだよねぇ。リックさまは多少若いからオジサン枠じゃないか?

 騎士団に向かうジュリアスさまをお見送りしてから、王様とリックさまが話があるってことでお祖母様とお義母さまとお義父さまでお話を聞く。

 留学生奨学金基金のことが主だった。
 学園卒業後の才能ある若者に限るとか制限についてとか。
 そもそもその学園に入学して卒業することが出来ない苦学生を弾いちゃうのが勿体ないので、国内での奨学金枠もしっかりさせたい。
 領主が期待して行かせる場合もあるけど、そこまでしてくれる領主ばかりとも限らない。
 ただ入学前の賢い子を見つけるのは難しいから領地の学校や塾と言う制度も浸透させないとなのでケチな領主だと実現できないのが辛いところ。

 そこは現在グレーデンで学んでいる子供たちが学園に行って平民でも初等教育を受ければ伸びると言うことを知らしめてくれるとありがたいなぁと言うちょっと先の期待。
 グレーデン内の子供たちが学びたいと言うなら奨学金じゃなくて投資でも良いと思うので王都の学園で大暴れして欲しい。物理的にではないよ。

「そうですねぇ、子供たちの成長具合を見ていただいた方が早いかもしれません」
「学園に平民を行かせるとして、王都貴族は身分差にうるさいから土壌を先に作らないと困るわねぇ」

 うーむ。まだまだハードルが高い。

 平民用の学校を作ると言うのも国が主導じゃないと無理だろうな。
「主だった貴族は賛同してくれておるが領地の学校はなぁ」
 領収が苦しい領地では子供も稼ぎ手だったりする。
 ちなみに身分制度に凝り固まってるタイプは反対派が多く、平民と接する機会が多い下位貴族は賛成だけど予算が組めないと言う意見が多いそうだ。

「まず全部を望むんじゃなく手に届くところからやっていくしかないですよ」
 リックさまに諭されちゃった。
 予算も人手もいるんだから先立って留学出来るレベルの人を優先したら良いって。

 そんなわけで王妃さまのお茶会もすぐなので王様が帰るのと一緒に王都に行こう?って言われてしまった。

「ダメじゃぞ。行くにしても明日じゃな」
 お義父さまが止めてくれた。
「そうねぇ、予定通りに王都に行って三日ほど滞在でいいんじゃないかしらぁ」
「そうさね。私ら帰ったばかりだから素材の寄りわけもまだ済んでないからね」

 ってことで王様がしょんぼりしながら帰ることに。またも王妃さまたちに叱らるれそうなのでチョコレートたっぷりコーナケーキと高級ショコラ(ニックスの渾身の可愛いデザイン)とデザートワインをお土産に渡した。

 お忍びもほどほどにね。

 リックさまはお祖母様の素材の話を聞いて交渉のために残るそうだ。
 昨日の時点で言わなかったから大物はもうないかも。

 はてさて。
 いつもの日常に戻りたいところだけど、ニーナにはそろそろ休んでもらわないと。
 一生に一度?のお式に向けての準備期間を大事にしてもらいたい。

「ニーナ」
「準備は滞りなくしております」

 笑顔で続きを言わせないのはさすが付き合いの長いだけある。

「私はニーナが世界一美しく着飾って幸せになる姿がみたいの」
 エステもお化粧もだけどゆっくりして気持ちも心も整えて欲しい。

「ニーナ、若奥様の思いを汲むのも心得ですよ」
「そうです。主人のお心に沿うことも良き侍女の勤めです」
 侍女長とメイド長も味方になってくれた。
「お休み中は私たちが頑張りますから!」
 サラとメルも後押ししてくれる。

「喜び事のための休みも与えない狭量な家と言われては困りますよ」
 セバスチャンがダメ押しをしてくれた。
 
「・・・ありがとうございます」

 むっちゃ断腸の思いを露わにしてお休みを受け入れた。
 ルークも多分ジュリアスさまとセリウスさまが説得してくれるはず。

 グレーデンでの結婚式までにサーキス家でのお披露目もあるわけだし、スケジュールに余裕を持って欲しいよ。

 サーキス家とニーナの実家用のお祝いの品はルークに渡せば良いかな。

 ニーナを説き伏せて、私室でちょっと温泉宿に思いを馳せてたらリックさまがお伺いを立ててきたので一緒にお茶をいただく。

「いやー、王都で仕入れる半額で売ってくれるなんてありがたい」
 どうやら良いお買い物を出来たようだ。
 
「そういえば百目の目玉入りません?」
「え?」
「二匹分いただいたんですけどそこまで使わないでしょう?まだまだあるんです」
「んー・・・三つ頂けますか」
「三十でも良いですけど」
「さっき色々仕入れたんでそこまで魔導師団に予算がないですよ」

 うーん、別にお金いらないけどタダと言うわけにも行かないんだよねぇ。
「じゃ三つの値段で六つ出します」
「太っ腹ですね」

 アイテムボックス内で見えるわけじゃないけどずっと目玉があるのなんとなく嫌だもの。
 まあねぇ、それこそ魔女鍋の具材みたいなの持ってるから今更なんだけど。

「セラーナさまのものもグレーデン家のものもいっぱいあるんでしょうが価値のあるものは価値のあるものとして扱いなさい。素材への敬意も大事ですよ」
 自然の恵みに感謝ってやつかな。
「私たちの仕事は素材あってこそですからね」

 ・・・いっぱいもらってるから麻痺してた。確かに錬金術師は素材がなければ成り立たない。

「あなたは大きすぎる力に躍ることもないけど楽しむこともなさそうですね」

 それなりに楽しんでると思うんだけど、意味が違うのかしら?

 リックさまはしっかり夕食とおやつを食べてから王都に帰った。






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