ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

384話

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 お義父さまとお祖父様パーティ、ハロルドたち熟年な引退騎士さんが張り切って、奥の森に出発してしまった。
 いやグレーデンで一番の強いのが出る森なのに年齢層高めチームですな!?

「はっは~、懐かしゅうございますなぁ」
「いやはや、まだまだ若い者に引けは取りませんて」
 ドーリーさんや他の馬屋番さん、庭師さんたちが楽しそうに集まってるのは壮観だった。元気溌剌マッチョじじたち。
 料理番としてベンがついて行った。元騎士のコックさんたちでじゃんけんしてたのでお祖父様たちについて行けるのは誉れなんだろうな。
 なぜかアズライトも付いて行っちゃった。私への愛が足りなくない?

「三日で帰ってきてくれるかなー?」
「一週間じゃないかー」
「あらぁ、一ヶ月くらい行っちゃうんじゃないかしらねぇ?」
 クラウスさまとセリウスさまの軽めな日程をお義母さまが否定した。
 うーん?お義父さまがお義母さまと離れていられなくて一週間に五万点。
 
 王妃さまのお茶会に参加してくれるはずなので最長二週間かな?

「予定では十日だそうだが現場次第だな」
 おお!ちゃんと予定を知らされてた。ハロルドが付いてるから大幅に変更はないだろうって。

 ハロルドがいないのでシエルはセバスチャン預かりになってる。
 もうすっかり執事が板についてきてる。
 精霊が見えるシエルはジャスパーをポムたちと同じように「ジャスパーさま」と敬って接してる。可愛い子が可愛い猫?にフニャンと微笑む姿は屋敷内全員の癒しだ。

「僕もいつかハロルドさんと森に行けるように鍛えます!!」
 ええ~、戦う執事を目指すの?
 あれ?でもハロルドもセバスチャンも戦ってるな。執事ってなんでも出来るね!

「ハロルドについて行くとなるとかなり鍛えないといけませんね」
 セバスチャンの目がキラリと光った。獲物をロックオンしたみたいな気配。
 ハロルドもセバスチャンも代々執事の家系で育ってると聞いたのになぜ騎士並みに鍛えたんだ!?
「グレーデン家の執事たる者、主人を守れないなどあってはなりません。主人より強くなるくらいの気持ちでいてもらわねば」
 いやいやいや、ジュリアスさまはもちろんお義父さまより強いとか無理でしょ!
 恐ろしい気合いがいるものだよ。

「おほほ、シエル、強さより器用さと要領の良さを磨きなさいな。自分に向いた方向性を極めた方が身を助けてくれるわよぉ」

 

 ホーン家のアウロラさまからお手紙と贈り物が届いた。
 お義母さまとお茶を飲みながら読む。

 時候の挨拶に始まって。
 お腹のお子は順調だそうで安心。
 グレーデンで誕生した子供その母親たちは大事をとって領主邸で半年ほど過ごしてるそうだ。
 妊婦さん以外で避難していた人たちはグレーデンで覚えた料理を炊き出しで出したりして、領民たちの気力が上がっていて良かったと書いてくれてる。良かったな。

 贈り物は織物だった。原色使いで幾何学模様が織り込まれてて見事な物だ。
 領民たちが感謝の気持ちで織ってくれたそうだ。心のこもった贈り物でちょっと泣けちゃう。
 ソファカバーにしたり、タペストリーにしても良い感じだ。
 お義母さまと二人で広げてうっとりしちゃう。

「あちらは薄い色だと景色に消えてしまうから濃い色合いのものが最上のお品なのよぅ、この織物は女性のポンチョによく使われてるわねぇ」
 ありゃ!着る物用だったか。
 グレーデンで着ると生地が厚くて暑すぎるから織物で届けてくれたのかな。

 あと透明な液体の入った瓶詰めもあった。こちらは樹液でサラサラした甘い物らしい。
 味わいはどう説明したものか、シュガーシロップ?樹液なのに砂糖そのものを溶かしたっぽい。癖が少ないので料理の邪魔をしない優れものかも。
 もうひと瓶にはその樹液に白いお花を漬けた可愛らしいのだ。

「まぁまぁ!雪の結晶みたいねぇ♡」

 瓶いっぱいの雪の結晶。なんかオシャレだ。

「あら?グレーデンで出た七虹草の蜂蜜漬けを見て試してみたのですってぇ」
「素敵な発想ですね」

 透明な樹液と白いお花のマリアージュだね。
 七虹草は文字通り七色のお花で蜜ミツバチの蜜は金色が基本で集めたお花によって変化するから。

「このお花は寒い場所にしか咲かない貴重なものだわぁ」
 極寒の地に咲く花か。探すのも大変そう。

「きっとフレイさまがアウロラさまのために探して来たのよねぇ」
「あら、それは申し訳ない気がしますね」
「心尽くしと言うことよねぇ」

 これはお礼を頑張らないと!

 お義母さまと雪の結晶な瓶を開けてお味見をってなったらポムたちがすでに小皿を持って待機してた。

「わかっていてよぉ~☆」

 お花をひとひらずつ、みんなでせーのと食べる。

「「「「!!!」」」」

 ほわぁっと優しく涼やかな香りとまろやかな甘みが口に広がって一瞬で消えた。まさに雪の結晶だ。

「プキュー」
「モキュー」
「ギャオー」

「これは素晴らしいわねぇ」
「プッキューン」
「モキュン」

 お義母さまのうっとりとした呟きにポムもティムも同じポーズで肯定する。

 当たり前のようにルルゥが味見してる。
「・・・これは・・・逆に扱いが難しいわねぇ」
 そのままが一番美味しいものね。
「樹液だけの方なら飲み物やお酒の邪魔をしないと思う」
 ガムシロっぽいだけに。

 そういえばホーンから仕入れたふわふわ毛皮でぬいぐるみ作るの忘れてた。
 自分用の前にアウロラさまの出産祝いに向けて作ってみよう!
 刺繍は苦手だけどマスコットやぬいぐるみはなんとか出来るもんね!











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