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二章
382話
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ルークの不在時はセバスチャンがいつもより厳しくなる。
ジュリアスさまは別にお尻叩かなくても勤勉だと思うんだけどな。
今日一日のことを寝る前に二人で話すとジュリアスさまは苦笑気味でセバスチャンの張り切り具合を語った。
膝にはジャスパーが寝てて癒されるけど、やっぱりお疲れのが強い。
「父上たちも手伝ってくれるし、セリウスたちもずいぶん頑張ってくれているから心配はないんだがルークもセバスチャンも完璧主義なんだ」
んー、グレーデン一家はわりと大雑把だから几帳面な側近がいるのはちょうど良いと思うけど、ジュリアスさまはグレーデン一家の中ではわりと常識人だから厳しくしなくてもいいと思うんだ。
ルークにゆっくり休んでも大丈夫って納得してもらうにはどうしたら良いんだろうね。
ニーナもね。
ジュリアスさまの背中をマッサージしてたら起きちゃったジャスパーも真似して背中をぴょんぴょん跳ねてて可愛くて癒された。
肉球のおかげかジュリアスさまが寝ちゃったので私はジャスパーを抱っこしてジュリアスさまの背中にもたれて寝た。至福。
起きるといつも通りガッチリ抱き込まれてた。ジャスパーは足元で腹を見せて寝てた。大の字だね!
「おはよう」
私の動きに目を覚ましたジュリアスさまに抱き上げられてハグとキス。ジャスパーが混ざってくるようになったのがちょっと面白い。
着替えにために声を出すとニーナがいつも通りに入ってきてくれた。
「おはようございます。お休みをありがとうございました」
「おはよう、ニーナ」
楽しかったとか聞きたいけど我慢。
普段のかっちり侍女モードのニーナ、やっぱり落ち着くな。
動きやすい軽めのワンピースドレスで髪も軽くまとめてもらう。
「リーシャさま、お土産です」
ニーナが渡してくれたのは動物の形に彫られたペーパーウェイトだった。
モニパルとモラかな?
「ありがとう、可愛いね」
森の生き物シリーズとかあるのかも。
やり取りを見守ってくれてたジュリアスさまもニーナにお礼を言ってくれた。
朝食後にお見送りをする時、多少元気になってるっぽいルークがニーナに目配せして行った。ふむ。徐々に仲良くなってる感じがわかってきたぞ。
以前はもっと事務的だったもんね。いつから変わってたのかしら。
見守ってる侍女さんたちも顔には出さないようにしてるけどソワソワだよ。
今日はリックさまからのお手紙を確認してお返事を書かねば。
離れの私室でじっくり読み込む。
奨学金を使って進学、留学させるにあたっての決まり事とかを、魔道士協会や国の議会で意見を出し合った結果とか色々書いてあるけど、要するに金は出したくないが自分たちの都合のいいように学生を確保したいって言うのが見え見えでちょっとばかりムカつくね。
挙句にグレーデンで魔導師をいっぱい囲っているから金はグレーデンで出して見込みがある者は国に寄越せとかまで言う輩がいたそうだ。
やっぱり一筋縄ではいかない。
学生は学生で奨学金制度を作りたいけど、うちで働いてる魔導師さんたちにランクアップ制度とかで見込みがある場合に留学してもらうのも別で決めた方が早そう。
カンガリー教授とジョシュー先生がマーベルハント家の書庫に行ってない時は魔導師工房に出向いて講義をしてくれてるんだけど、やる気がある人はもっともっとと貪欲に知識を求めているらしい。
ネイマーシェの魔導書を見たことがあれば、レイドラアース国で得られる知識は初歩だと知ってしまう。望むべき先が見えてしまったら当然ネイマーシェに行きたい。
リーシャは学園で魔法科に進めなかったけど教室を覗いた時にそのレベルに何を思ったんだろう。それでも魔道具をいじりたくてこっそり混ざってたんだからどうにか学びたかったんだろうな。
リックさまからの手紙を見ると大臣や高位貴族の私利私欲のせいで進みそうになくてうんざりだ。
学びたい子が学べないまま諦めちゃうじゃん。
お金だけで済む話なら良いけど、ネイマーシェでの暮らし、往復の安全もあって国の協力があった方がいい。
グレーデンから護衛を出してグレーデン家で予算を保証してって、出来なくはないけどそれって国いらなくない!?育てた子を無条件に寄越せとか図々しいよね。
リックさまも口だけ出す連中には怒ってるし、陛下もかなり叱ったそうだ。
ネイマーシェ出身のセラーナお祖母様がいたのに魔導師が育ってないのはきっとうるさ方の人たちのせいだよ。
リックさまやカンガリー教授は自腹で留学してるそうだから留学ルートはあるのになぜこんなレベルのままなのか。いやになっちゃうよ。
魔導師団は騎士団より狭き門だよね。魔法騎士はいるんだから魔法は使える人がいるのに魔導、錬金術への理解が低すぎる。
一応賛成派の人は前向きだそうなので話し合いの席などに私が顔を出してくれたらありがたいとリックさまは言う。
私が言い始めたことだから顔出すくらいは良いけど、私の顔で決め手になるかな?
自領に魔導師を迎えたい人の方がケチケチ言ってるんだそうだ。そんな貴族に魔導師が雇われたら薄給でこき使われる未来しかなさそうだからダメだよ。
王都に行くならジュリアスさまやお義父さまに相談しなくちゃだから返信は後で書こう。
ジュリアスさまは別にお尻叩かなくても勤勉だと思うんだけどな。
今日一日のことを寝る前に二人で話すとジュリアスさまは苦笑気味でセバスチャンの張り切り具合を語った。
膝にはジャスパーが寝てて癒されるけど、やっぱりお疲れのが強い。
「父上たちも手伝ってくれるし、セリウスたちもずいぶん頑張ってくれているから心配はないんだがルークもセバスチャンも完璧主義なんだ」
んー、グレーデン一家はわりと大雑把だから几帳面な側近がいるのはちょうど良いと思うけど、ジュリアスさまはグレーデン一家の中ではわりと常識人だから厳しくしなくてもいいと思うんだ。
ルークにゆっくり休んでも大丈夫って納得してもらうにはどうしたら良いんだろうね。
ニーナもね。
ジュリアスさまの背中をマッサージしてたら起きちゃったジャスパーも真似して背中をぴょんぴょん跳ねてて可愛くて癒された。
肉球のおかげかジュリアスさまが寝ちゃったので私はジャスパーを抱っこしてジュリアスさまの背中にもたれて寝た。至福。
起きるといつも通りガッチリ抱き込まれてた。ジャスパーは足元で腹を見せて寝てた。大の字だね!
「おはよう」
私の動きに目を覚ましたジュリアスさまに抱き上げられてハグとキス。ジャスパーが混ざってくるようになったのがちょっと面白い。
着替えにために声を出すとニーナがいつも通りに入ってきてくれた。
「おはようございます。お休みをありがとうございました」
「おはよう、ニーナ」
楽しかったとか聞きたいけど我慢。
普段のかっちり侍女モードのニーナ、やっぱり落ち着くな。
動きやすい軽めのワンピースドレスで髪も軽くまとめてもらう。
「リーシャさま、お土産です」
ニーナが渡してくれたのは動物の形に彫られたペーパーウェイトだった。
モニパルとモラかな?
「ありがとう、可愛いね」
森の生き物シリーズとかあるのかも。
やり取りを見守ってくれてたジュリアスさまもニーナにお礼を言ってくれた。
朝食後にお見送りをする時、多少元気になってるっぽいルークがニーナに目配せして行った。ふむ。徐々に仲良くなってる感じがわかってきたぞ。
以前はもっと事務的だったもんね。いつから変わってたのかしら。
見守ってる侍女さんたちも顔には出さないようにしてるけどソワソワだよ。
今日はリックさまからのお手紙を確認してお返事を書かねば。
離れの私室でじっくり読み込む。
奨学金を使って進学、留学させるにあたっての決まり事とかを、魔道士協会や国の議会で意見を出し合った結果とか色々書いてあるけど、要するに金は出したくないが自分たちの都合のいいように学生を確保したいって言うのが見え見えでちょっとばかりムカつくね。
挙句にグレーデンで魔導師をいっぱい囲っているから金はグレーデンで出して見込みがある者は国に寄越せとかまで言う輩がいたそうだ。
やっぱり一筋縄ではいかない。
学生は学生で奨学金制度を作りたいけど、うちで働いてる魔導師さんたちにランクアップ制度とかで見込みがある場合に留学してもらうのも別で決めた方が早そう。
カンガリー教授とジョシュー先生がマーベルハント家の書庫に行ってない時は魔導師工房に出向いて講義をしてくれてるんだけど、やる気がある人はもっともっとと貪欲に知識を求めているらしい。
ネイマーシェの魔導書を見たことがあれば、レイドラアース国で得られる知識は初歩だと知ってしまう。望むべき先が見えてしまったら当然ネイマーシェに行きたい。
リーシャは学園で魔法科に進めなかったけど教室を覗いた時にそのレベルに何を思ったんだろう。それでも魔道具をいじりたくてこっそり混ざってたんだからどうにか学びたかったんだろうな。
リックさまからの手紙を見ると大臣や高位貴族の私利私欲のせいで進みそうになくてうんざりだ。
学びたい子が学べないまま諦めちゃうじゃん。
お金だけで済む話なら良いけど、ネイマーシェでの暮らし、往復の安全もあって国の協力があった方がいい。
グレーデンから護衛を出してグレーデン家で予算を保証してって、出来なくはないけどそれって国いらなくない!?育てた子を無条件に寄越せとか図々しいよね。
リックさまも口だけ出す連中には怒ってるし、陛下もかなり叱ったそうだ。
ネイマーシェ出身のセラーナお祖母様がいたのに魔導師が育ってないのはきっとうるさ方の人たちのせいだよ。
リックさまやカンガリー教授は自腹で留学してるそうだから留学ルートはあるのになぜこんなレベルのままなのか。いやになっちゃうよ。
魔導師団は騎士団より狭き門だよね。魔法騎士はいるんだから魔法は使える人がいるのに魔導、錬金術への理解が低すぎる。
一応賛成派の人は前向きだそうなので話し合いの席などに私が顔を出してくれたらありがたいとリックさまは言う。
私が言い始めたことだから顔出すくらいは良いけど、私の顔で決め手になるかな?
自領に魔導師を迎えたい人の方がケチケチ言ってるんだそうだ。そんな貴族に魔導師が雇われたら薄給でこき使われる未来しかなさそうだからダメだよ。
王都に行くならジュリアスさまやお義父さまに相談しなくちゃだから返信は後で書こう。
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