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二章
379話
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夕方、戻ってきたジュリアスさまたち兄弟はちょっとげっそり、お祖父様とお義父さまは子供のような笑顔で帰宅した。
お義父さまのお胸には眠ってるジャスパー、お祖父様の肩には尻尾でお祖父様の顔を叩いてるポム、スピネルさんの長髪にはティムがぶら下がって、ザイルさんの頭に乗ってずっと頭をガジガジと嘴で掻き混ぜてるディディエがいた。
なんだこれ。
「あらあらぁ☆可愛いわねぇ」
お義母さまはポムの邪魔にならないように今日はクラウスさまに突撃した。
視線がアニマルに集中してたので気を抜いてたクラウスさまは「うぁあああ!」ってお義母さまを抱き止めて後ろに倒れかかったのをセリウスさまが支えて惨事を回避した。
「隙ありだったねぇ」
お祖母様が獲物をロックオンした目になってる。扱かれちゃうね!
「今日は訓練場が破壊されました」
虚無な顔でルークが出来事を教えてくれた。
騎士団の訓練場でお祖父様がポムたちと走り回ってるうちに訓練中の騎士さんたちも交えて障害物競争になって、地面が掘り返されたり、壁を飛ばしたり、魔法が飛び交ったらしい。
何してるの!?
それを見ていたジャスパーが興奮して火魔法で通せんぼしたりして。
執務室にいたジュリアスさまとルークが止めに出ても止めなくて、訓練場は荒れ果てた禿山のような状態になってたらしい。
ルークがめっちゃキレてお祖父様とお義父さま、ポムたちに「元に戻しなさい」って雷を落としたんだそう。
午後の間に直して来たらしい。
元々、良く抑制出来ない騎士が破壊しちゃうので簡易な造りの訓練場で強化防壁と土の床、一部石畳なので、みんなで魔法使って隆起した土を戻して防壁の作り直しまでして来たそう。
「・・・」
楽しくなって興奮したんだろうけどダメじゃん。
お祖父様たちもお義父さまも力加減が適当なんだね。
「訓練場は壊れてなんぼじゃないか」
「そうだぞ?強化防壁を壊せる強さがあるということじゃないか」
マルゴさんとザイルさんがルークにブツブツ言ってる。
「壊さない匙加減を覚えるのも訓練です」
ルークがシラーッと冷たい声で返す。
そうだね。全力全開はしなくて良いよね。
「かー!二十年の間につまらなくなったもんだ」
「小さくまとまってはいざとなったら戦えぬぞ」
グレーデン勢の豪快なのは昔からなんだな。
「どうしても全開でやりたければ未開地や荒地でやれば良いでしょう」
それだ!土が耕されてちょうど良い!!
「そうか。今は畑があればあるほど良いんだった!!」
ん~、なんか空いてる土地があっという間に耕されそうだな。
居住区や工業地区も残しておいてほしい。
ルークの怒りが少し落ち着いた隙にジュリアスさまがこそっとジャスパーを受け取って私を抱き上げてお部屋に戻った。
「ジャスパー、魔法使ったのですか?」
「ああ、口からボワッと出したな」
え、そっちのタイプなの。
魔法陣浮かしたり空中に出すタイプじゃなく吐き出す方なんだ。
『視覚効果なんだぞ!口から出した方がかっこいいだろ!』
いつの間にか起きてたジャスパーが胸を張っている。
『ポムたちが楽しそうに魔法を使っていたから俺もやってみたんだぞ!』
あちゃー、見本がポムたちじゃ加減出来なそう。
「ジャスパー、火魔法は仲間には使わないでね。人間は火傷しちゃうから」
『そうなのか?クラウドは平気だったぞ!?危ないなら気をつけるぞ!』
お祖父様・・・。防御魔法か何かしたのかな。
「ジャスパー、今はまだ魔法使わない方が良いんじゃないの?」
『?いっぱい使っていっぱい循環させる方がいいんだぞ』
安定してないのに良いのか。
着替えを済まして食堂に行くとすでにテーブルにはたくさんの料理が並んでいた。
「さぁ!我が家にジャスパーが加わったお祝いだ。精霊王と神の恵みに感謝を」
ルルゥが言っていたお肉はジャイアントサンダービッグホーンだった。
ビリビリ肉か。
他にも色々出てるけどみんなビリビリ肉が好きなんだよ。
ジュリアスさまは相変わらず少しだけしか取り分けない。自制心の塊。
ポムとティムはみんなの席を回っていろんなおかずを食べてる。
ジャスパーはお義母さまとお祖母様が甲斐甲斐しくお肉を食べさせてる。
「やっと私たちの番よぅ」
何だろう。虎猫っぽい生き物に頬袋もあるの?そんなお口に詰め込まなくても。
『スノウリリィー、これうまいぞ。もっと欲しいぞ』
ジュリアスさまは「主」で他の家族は名前で呼ぶんだね。
生まれたてなのに色々と成長が早いみたい。
卵が割れるまでは生まれたらミルクをチュッチュさせたりな想像してたのに、いきなり喋るしやんちゃだしでお世話が少なくてちょっとしょんぼり。
でも元気いっぱいで良かった。
まぁ火を吹くとかも予想外だけど。
食後はまたお祖父様たちがポムたちとジャスパーで絨毯の上で遊んでる。
「サンダータイガーとか飼ってみたかったんじゃがあれらは人に懐かんからのう」
お義父さまはポロリとそんなことを呟いた。
トラいるんだ。
「あれは気が荒いから無理だな」
今は可愛いおチビさんなジャスパーはおっきくなるみたいなので多分サンダータイガーぐらいになるよ。
実物知らないけど、ジャスパーは多分ジュリアスさまを乗せて飛べるサイズになる気だと思う。
お義母さまとお祖母様のオヤツが終了したら解散になった。
ポムたちはもうジャスパーに共寝は必要ないとばかりにお義母さまのお胸に飛び込んで一緒に行ってしまった。
私はジュリアスさまとジャスパーの初めてのお風呂タイムをすることに。
うん。お風呂嫌いかー。でも入ろうね!
お義父さまのお胸には眠ってるジャスパー、お祖父様の肩には尻尾でお祖父様の顔を叩いてるポム、スピネルさんの長髪にはティムがぶら下がって、ザイルさんの頭に乗ってずっと頭をガジガジと嘴で掻き混ぜてるディディエがいた。
なんだこれ。
「あらあらぁ☆可愛いわねぇ」
お義母さまはポムの邪魔にならないように今日はクラウスさまに突撃した。
視線がアニマルに集中してたので気を抜いてたクラウスさまは「うぁあああ!」ってお義母さまを抱き止めて後ろに倒れかかったのをセリウスさまが支えて惨事を回避した。
「隙ありだったねぇ」
お祖母様が獲物をロックオンした目になってる。扱かれちゃうね!
「今日は訓練場が破壊されました」
虚無な顔でルークが出来事を教えてくれた。
騎士団の訓練場でお祖父様がポムたちと走り回ってるうちに訓練中の騎士さんたちも交えて障害物競争になって、地面が掘り返されたり、壁を飛ばしたり、魔法が飛び交ったらしい。
何してるの!?
それを見ていたジャスパーが興奮して火魔法で通せんぼしたりして。
執務室にいたジュリアスさまとルークが止めに出ても止めなくて、訓練場は荒れ果てた禿山のような状態になってたらしい。
ルークがめっちゃキレてお祖父様とお義父さま、ポムたちに「元に戻しなさい」って雷を落としたんだそう。
午後の間に直して来たらしい。
元々、良く抑制出来ない騎士が破壊しちゃうので簡易な造りの訓練場で強化防壁と土の床、一部石畳なので、みんなで魔法使って隆起した土を戻して防壁の作り直しまでして来たそう。
「・・・」
楽しくなって興奮したんだろうけどダメじゃん。
お祖父様たちもお義父さまも力加減が適当なんだね。
「訓練場は壊れてなんぼじゃないか」
「そうだぞ?強化防壁を壊せる強さがあるということじゃないか」
マルゴさんとザイルさんがルークにブツブツ言ってる。
「壊さない匙加減を覚えるのも訓練です」
ルークがシラーッと冷たい声で返す。
そうだね。全力全開はしなくて良いよね。
「かー!二十年の間につまらなくなったもんだ」
「小さくまとまってはいざとなったら戦えぬぞ」
グレーデン勢の豪快なのは昔からなんだな。
「どうしても全開でやりたければ未開地や荒地でやれば良いでしょう」
それだ!土が耕されてちょうど良い!!
「そうか。今は畑があればあるほど良いんだった!!」
ん~、なんか空いてる土地があっという間に耕されそうだな。
居住区や工業地区も残しておいてほしい。
ルークの怒りが少し落ち着いた隙にジュリアスさまがこそっとジャスパーを受け取って私を抱き上げてお部屋に戻った。
「ジャスパー、魔法使ったのですか?」
「ああ、口からボワッと出したな」
え、そっちのタイプなの。
魔法陣浮かしたり空中に出すタイプじゃなく吐き出す方なんだ。
『視覚効果なんだぞ!口から出した方がかっこいいだろ!』
いつの間にか起きてたジャスパーが胸を張っている。
『ポムたちが楽しそうに魔法を使っていたから俺もやってみたんだぞ!』
あちゃー、見本がポムたちじゃ加減出来なそう。
「ジャスパー、火魔法は仲間には使わないでね。人間は火傷しちゃうから」
『そうなのか?クラウドは平気だったぞ!?危ないなら気をつけるぞ!』
お祖父様・・・。防御魔法か何かしたのかな。
「ジャスパー、今はまだ魔法使わない方が良いんじゃないの?」
『?いっぱい使っていっぱい循環させる方がいいんだぞ』
安定してないのに良いのか。
着替えを済まして食堂に行くとすでにテーブルにはたくさんの料理が並んでいた。
「さぁ!我が家にジャスパーが加わったお祝いだ。精霊王と神の恵みに感謝を」
ルルゥが言っていたお肉はジャイアントサンダービッグホーンだった。
ビリビリ肉か。
他にも色々出てるけどみんなビリビリ肉が好きなんだよ。
ジュリアスさまは相変わらず少しだけしか取り分けない。自制心の塊。
ポムとティムはみんなの席を回っていろんなおかずを食べてる。
ジャスパーはお義母さまとお祖母様が甲斐甲斐しくお肉を食べさせてる。
「やっと私たちの番よぅ」
何だろう。虎猫っぽい生き物に頬袋もあるの?そんなお口に詰め込まなくても。
『スノウリリィー、これうまいぞ。もっと欲しいぞ』
ジュリアスさまは「主」で他の家族は名前で呼ぶんだね。
生まれたてなのに色々と成長が早いみたい。
卵が割れるまでは生まれたらミルクをチュッチュさせたりな想像してたのに、いきなり喋るしやんちゃだしでお世話が少なくてちょっとしょんぼり。
でも元気いっぱいで良かった。
まぁ火を吹くとかも予想外だけど。
食後はまたお祖父様たちがポムたちとジャスパーで絨毯の上で遊んでる。
「サンダータイガーとか飼ってみたかったんじゃがあれらは人に懐かんからのう」
お義父さまはポロリとそんなことを呟いた。
トラいるんだ。
「あれは気が荒いから無理だな」
今は可愛いおチビさんなジャスパーはおっきくなるみたいなので多分サンダータイガーぐらいになるよ。
実物知らないけど、ジャスパーは多分ジュリアスさまを乗せて飛べるサイズになる気だと思う。
お義母さまとお祖母様のオヤツが終了したら解散になった。
ポムたちはもうジャスパーに共寝は必要ないとばかりにお義母さまのお胸に飛び込んで一緒に行ってしまった。
私はジュリアスさまとジャスパーの初めてのお風呂タイムをすることに。
うん。お風呂嫌いかー。でも入ろうね!
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