ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
388 / 765
二章

378話

しおりを挟む
 ジャスパーがポムたちと騎士団棟に行っちゃったので残念そうなお義母さまと侍女ーず。
 これから毎日会えるんだからそんな顔しないで。
 気を取り直したお義母さまはルルゥに夕食は誕生のお祝いで豪華にしましょうって。 
 わりと毎日豪華だと思う。

 今日はそばにいるのはアズライトだけになったので、ゆったり出来ると離れに向かった。

 チェイスさんとアモンさんも付いてるので結局静かではないんだけど。

 離れに着いたらアランとジェイク、アモンさんとチェイスさんにしばらく部屋に篭るから交代で自由にしててって伝えた。
 ニーナは私のお茶など用意してくれてから室内で早速ジャスパーのバッグを作ると張り切っている。

 温泉宿ので設計?自分の欲しい空間をイメージして書き起こす。

 憧れは風光明媚な和の旅館。
 竹垣に囲まれた庭園と露天風呂っていいよね。
 カイダール領の雰囲気を壊さないようにしないとだけど。
 一日数組しか入れなさそうなので旅館じゃなくてグレーデン家の別荘とかにした方がいいのかも。

 ならばスーパーリゾートの方で考えよう。
 普通のを大きめに、ジェットバス、打たせ湯、薬湯、電気風呂、水風呂、岩盤浴、露天風呂、サウナ・・・。プールもいるかな。
 そしてフードコート。

 早いところグレーデンの湯源も確保しよう。使用人さんたちご用達の露天風呂の近くには絶対あるんだろうけど、彼らの憩いの場の邪魔は良くないから違う方向がいいよね。
 うーん?観光客誘致は土地柄で向かないから地元の人向けでいいの。
 グレーデン各地にスパがあるのはきっと良い。

 ジェットバスとかに必要な魔道具の設計図を描いておく。

 サウナは温度設定の上限を決めないと意地になった人が茹で上がる気しかしないので百二十度くらい?限界って幾つだっけ。
 薬草を燻した蒸気サウナも良いな。
 は!お金持ちには高級エステもアリなのか。どうしよう。客層分けた方が良さげ。
 一軒じゃ無理そう!!
 
 お兄様にお手紙を書きましょう。大まかなイメージも書き添えて。

 アズライトは薄目で私の手元を見てる。

『ジャスパーの存在が安定したら水源の温度を変えるのも容易いだろうの』
 
 ん?
 (存在が安定って何?)
『元は精霊じゃからの、肉体がまだ不安定だの。霊力と器、精神が一つに馴染んで行くまでは無理は禁物だの』

 どうやらジャスパーはアズライトともポムとティム、ディディエとも違う存在で肉体は血肉ではないんだそう。
 触れるし温かいのに不思議だな。

『今後は主であるジュリアスの魔力だけではなく大気中の魔素やそこらの精霊の協力でこの世界に存在している個として確立されていくであろうの』

 いろんな物を吸収していけば良いのかな。
 (私の魔力とかはダメ?)
『直接はいらぬであろう、そばに居れば自然に主の魔力に触れ、己の力に変換するからの』
 ふむ。
 (お義母さまとかは?)
『グレーデンの者たちは高魔力持ちが多いが主ほどではないからの。アレの成長の阻害にはなるまい』
 あれっ!?
 私だけ阻害しちゃうの!?
『せっかくの火の加護が主の魔力に引っ張られて別の属性に切り替わってしまうとも限らぬからの』
 ええ~・・・。火の精霊王からの仔なのに引っ張られちゃうの?

『主の魔力は規格外じゃでの。際限なく欲せる甘露の如くじゃ』
 アムリタァー!!!

 私もジャスパーに魔力あげたりしたかったなー。

『安定したら良いじゃろうの』
 (卵から出てきたら安定じゃないのかー)
『外の世界と馴染まねばダメじゃろう?』

 く!何を当たり前のことを、みたいな顔をされた。
 ファンタジーの生き物の常識なんて知るわけないじゃん。

 三時のおやつタイムになった頃、チェイスさんが「魚ゲット~」って庭で焼き始めた。
 アランたちと交代で休憩中に池まで行って釣ってきたらしい。
 結構でかいのがいたのね。
 
 焼かれた魚をニーナと二人でサンドイッチにしたら、チェイスさんとアモンさんが「やったー」って。 
 魚とは合わないと思うけど庭の畑の果物でフルーツサンドも用意した。
 
「池の魚の種類増えたっすねー」
「食える魚は少ないっぽいですけどね」

 アランも嬉しそうに魚のサンドを食べてる。
 ツナサンド食べたいな。オイル漬けだっけ?チャレンジしたら出来るかな?

「あらぁ、いい身分ねぇ」
 ちゃっかり混じってたルルゥが魚サンドを食べて、追加の魚を焼いてる。
「ルーデウスも自由だろ」
「ルルゥだって言ってんのー」
 チェイスさんとアモンさんはルルゥより年上だけど同期みたいな気やすさだなぁ。

「これは揚げてもよさそうねぇ」
 魚を切り分けて、マジックバッグから鍋と油を取り出す。
 人のことは言えないけど、ルルゥも色々入れてるなぁ。
「今夜は良い肉が入って来たから夜は肉よぅ、魚は今のうちに堪能しておきなさいねぇ」
 ルルゥはアランに揚げたてのフライを渡した。
「おいおい、俺たちとは随分態度が違うな!」
「あらぁ!おっさんに優しくしても楽しくないものぉ」
「「おっさん言うな!お前もおっさん枠だろー」」
「私はずっと美しいのよぉ」

 なかなかのマッチョたちが何かしょうもない喧嘩をしてる。

「・・・」
「お前ってわりと動じないな」
 アランは無言でフライをおかわりして隣でジェイクが微妙な顔をした。

 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。 その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。 本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。 リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。 しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。 なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。 竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。 ※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 ~社交の輪を広げてたらやっぱりあの子息が乱入してきましたが、それでも私はマイペースを貫きます~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「『和解』が成ったからといってこのあと何も起こらない、という保証も無いですけれどね」    まぁ、相手もそこまで馬鹿じゃない事を祈りたいところだけど。  *** 社交界デビューで、とある侯爵子息が伯爵令嬢・セシリアのドレスを汚す粗相を侵した。 そんな事実を中心にして、現在社交界はセシリアと伯爵家の手の平の上で今も尚踊り続けている。 両者の和解は、とりあえず正式に成立した。 しかしどうやらそれは新たな一悶着の始まりに過ぎない気配がしていた。 もう面倒なので、ここで引き下がるなら放っておく。 しかし再びちょっかいを出してきた時には、容赦しない。 たとえ相手が、自分より上位貴族家の子息であっても。 だって正当性は、明らかにこちらにあるのだから。 これはそんな令嬢が、あくまでも「自分にとってのマイペース」を貫きながら社交に友情にと勤しむ物語。     ◇ ◆ ◇ 最低限の『貴族の義務』は果たしたい。 でもそれ以外は「自分がやりたい事をする」生活を送りたい。 これはそんな願望を抱く令嬢が、何故か自分の周りで次々に巻き起こる『面倒』を次々へと蹴散らせていく物語・『効率主義な令嬢』シリーズの第4部作品です。 ※本作品までのあらすじを第1話に掲載していますので、本編からでもお読みいただけます。  もし「きちんと本作を最初から読みたい」と思ってくださった方が居れば、第2部から読み進める事をオススメします。  (第1部は主人公の過去話のため、必読ではありません)  以下のリンクを、それぞれ画面下部(この画面では目次の下、各話画面では「お気に入りへの登録」ボタンの下部)に貼ってあります。  ●物語第1部・第2部へのリンク  ●本シリーズをより楽しんで頂ける『各話執筆裏話』へのリンク  

処理中です...