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二章

377話

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「ンッニュァァン?」


「・・・」
「・・・・・・」

 なんか変な鳴き声を出した仔は両手に乗るくらいの猫?
 猫かな?

 プルプルと身体を震わせてからゆっくりと目を開けた。

「おお」
「「「「おおぅ!!」」」」
 
 いつの間にやらお義父さまたちが駆け付けてたよ。

 ジュリアスさまが恐る恐る手に乗せるとその仔はジュリアスさまの指をカプリとして魔力を吸い始めた。

「「「・・・・・・」」」

 可愛い。

 ポムたちが万歳三唱みたいなことしてる。

 やっと満足したらしい仔が指を離した。

『主!希望通りの身体になってるだろ!?』

 猫っぽい姿で俺様口調なのは反則だ。

 ジュリアスさまの横でゆっくりじっくり観察してみれば。
 毛は薄い金で目が真紅、小さな羽が背に付いてる。
 猫と言うより虎っぽい?
 毛にかなり薄ーく赤の縞々が入ってるから虎柄かな?

『主はグリフォンが良かったらしいが嫁は可愛いのが良いと言っていたから中間にしてやったぞ!』

 おお?妥協案が羽付きの虎なのか。
 手がしっかりしてるから大きくなりそう?

『俺としてはカッコよく炎竜になりたかったがそこのジジィが被りはいかんと言うからな!』

 キャンキャン言う姿は可愛いだけなんだけど生意気盛りなようだ。
 アズライトったら卵にそんなこと言ったんだ。彼を見るとフイっと目を逸らされた。

『主!早く名前をくれよ』
 ジュリアスさまの手首に尻尾を絡めるニャンコ?がおねだりすると困ったように私を見つめる。
 いやぁ、その頃、ジュリアスさまの魔力で育ってるからやっぱりジュリアスさまがつけないと。

「マルコムはどうだ?」
「ラムがいいわぁ」
「ゴンザレスはどうだ!?」
「ジョイル」

 お祖父様とお義母さま、マルゴさんとスピネルさんが提案してくれたけど、ゴンザレスはなんか凄そうだ。

『もっとイケてる俺に相応しいかっこいいのにしてくれよ』

 なんか怒ってる。却下らしい。
 
 ジュリアスさまが顔をギュッと顰めてうんうんと考えて捻り出したのはヤンチャそうなこの仔に似合いそうな名前だった。

「ジャスパー、ジャスパーはどうだ?」
『・・・ジャスパー・・・俺はジャスパー!』
 二人の間にフワッと魔力が取り囲んで絆が結ばれた。

 嬉しそうなジャスパーはポムたちに戯れついた。サイズ的には今はそんな大差ないので可愛い姿に部屋に集まっているみんなが悶える。

『俺のことはジャスパーと呼んでいいぞ!!』
「プッキュン!!」
「モッキュン!」
「グギャオ!」

 ポムたちはずっと添い寝してただけあって嬉しそうだ。

「まぁ!!今日も良き日ねぇ」

 お義母さまがそう言ったからジャスパー記念日・・・なんちゃって。

 一旦みんなに解散してもらって着替えを済ます。
 ジャスパーの卵の殻は有り難く頂戴しておく。あとでみんなお揃いの飾りでも作ろう。
 ニーナがバッグ作りますか?って聞いてくれたのでお願いしておく。ポムたちとお揃いで作ってくれるだろう。
 腕輪にもマジックバッグ機能を仕込んだ方が良さそう。

 ジャスパーはポムたちに連れられて食堂に向かった。

「思ったよりは早かったな」
「そうですね」

 あとグリフォンはかっこいいけど鳥の顔に尻尾は蛇とかなんでしょ?何を生み出そうとしてたの?ってちょっとジト目。
 スフィンクスでもちょっと怖いけど。

 羽はあるけどまだ小さいから飛んで行くとかはないかな。

 精霊の塊のような存在だから力の使い方とか大丈夫かな?アズライトに見てもらえるかな。

 食堂に向かえば、すでにお祖父様たちがポムたちの目線に合わせて寝そべってジャスパーと戯れてた。
 最強とか英雄とか言われて騎士さんたちみんなに憧れられてるマッチョたちの姿がこちらです!!!
 マルゴさんとスピネルさんまで・・・。

「早くお出かけしてくれないと私の番が回ってこないのよねぇ」

 お義母さまがニコニコとお義父さまを見てる。
 視界が大臀筋と大腿四頭筋とヒラメ筋で大変結構です。

 ジャスパーは猫じゃらしのようなおもちゃに夢中で何故かポムたちも大喜びで飛びついてる。何このアニマルカフェ。
 上等な絨毯に寝そべってルルゥの食事が出て美味しいオヤツまで出てくる。最高か。
 ついでに大トカゲないアズライトがいるんだよ。最高かよ!!

 これはもうわんことフクロウとペンギンとルリコンゴウインコとかいっぱい集めてカフェを始めるしかない!!!

 は!いけない。欲望が湧き出ちゃった。

 この世界にはルリコンゴウインコもどきはいるかもだけど多分魔獣だ。
 ワンコもきっと魔獣だ。
 ペンギンは・・・魔獣かな?
 フクロウは・・・どっちかな。

 いやもうマッチョ天国にいるんだから天国はもう良いの。

 ちょっと妄想してる間にジュリアスさまのお膝に乗せられて、ジャスパーも私の胸元に来てくれた。
 まだ小さいジャスパーの毛はふわふわさぁ。肉球がポワンと私の手に乗った。
 殺す気か。可愛いが爆発しそう。

 でもそんな気分は私に差し出されたお肉を食べられて吹き飛んだ。
 赤ちゃんはまだダメでしょ!!??
 って焦ったらもうなんでも食べれるんだって。
 マジでびっくりしたから。

 大丈夫って言うのでポムたちと同じようにたくさん用意してもらった。

 その様子を羨ましそうに見るグレーデンの英雄たち。
 セリウスさまもクラウスさまも、ハロルドさえも顔が蕩けてるのでジャスパーはみんなに可愛がってもらえるだろう。

 ニーナを筆頭に侍女さんメイドさんもお世話しますよって手をワキワキさせてた。

 食事中はポムたちが踊ったり、お義父さまたちを慰めたりでいつもより笑いに溢れてた。

 ジャスパーはまだしばらくジュリアスさまの魔力を吸うのでお仕事にもついていくことになって、屋敷の執務室に残るはずのお義父さまも騎士団棟で訓練に付き合うお祖父様たちも今日はジュリアスさまについて行くと言い出して、セリウスさまに嫌な顔されてた。
 半引退状態だから自由度が高いんだ。 

 向かえに来たルークがジャスパーと笑顔のお祖父様たちを見て頭を抱えたとか。




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