ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

376話

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 やっぱり少しチクチク言われたりしたものの、スライムに人員割くのは嫌だったのかいい笑顔で設計図を要求された。
 私が作った分は予定通り池周りに設置するけど、他にも発生しそうな程度に魔素濃度の濃い場所に設置させたいんだって。
「魔導師に任せられるレベルで良かったです」
 任せられるレベルなら私怒られなくても良かったんじゃないの!?

 ジュリアスさまもお義父さまもヨシヨシってしてくれたよ。
 夕食に出た骨付き肉をルークの腕と見立ててガブっと食べてストレス解消しちゃった。
 私の呟きを拾ったジュリアスさまが「うっ」って。ルークに同情なんていらないってば。

 夜遅くにお祖父様たちが帰ってきた。
 行かなくてもいいって言われたけどジュリアスさまと一緒にお出迎えした。
 お義父さまもお義母さまも、セリウスさまもクラウスさまも起きてこられてて、お義母さまはお祖母様にドーンとやった。
 軽々と受け止めたお祖母様にはセリウスさまがショックを受けてた。

「よし来い!」
 お祖父様さまがウェルカムと腕を広げたけど誰も行かないよね。
 行き場のないお祖父様にポムとティムがポーンと抱きついた。優しい。
「お前たちだけだな」
 ポムたちを撫で回しながら、恨めしそうに呟かれた。

「悪いね。グレーデンに入る手前で野盗に遭遇してね。そっちのギルドに引き渡してきたら遅くなっちまったよ」
「いやぁ、人に襲われるのは久しぶり過ぎてちょっと遊んでしまった」

 お義父さまより強烈っぽいお祖父様たちを襲うなんて運がなさ過ぎる。

「誘拐や強盗で指名手配されてたようで随分儲けたぞ」

 ザイルさんとマルゴさんがホクホクと皮袋を見せてくれた。

 ルルゥたちが軽食を用意してくれてみんなで夜食をとることになった。
 太ると言う概念がないらしいので容赦なくハイカロリーだ。

「でもさー。グレーデンのそばで野盗がいたって言うのは許せないよー」
「野党の狙うような利のある場所では無かったはずじゃが最近ちょっと儲かってしまっておるからなぁ」
 クラウスさまとお義父さまがお好み焼きを焼いてる隣で、お義母さまとお祖母様がパンケーキに生クリームトルネードとマンゴーっぽいのを乗せてご機嫌だ。

「魔獣が闊歩してるって言うのに腕自慢だったのかー?」
「弱かったぞ」
「雑魚じゃ」

 スピネルさんとマルゴさんとザイルさんはお腹が空いていたらしく、ステーキを出してもらった。胸焼けしないかな?

「普段の根城は別のところだったらしいが何か目的があったのかもな」
「ギルドで自白が取れるであろう」

 半殺しで我慢したしなって言われても。
 野盗は殺人を犯してることが多いからその場で処しても問題はないらしい。でも余罪とか盗んだ物の持ち主の情報が欲しいから生け捕りが望ましいんだそうだ。

 お祖父様はステーキを食べた後、お義父さまが焼いたお好み焼きを奪って食べてるけどお義父さまは嬉しそうなのでいいか。
 
 お祖父様たちの王都からの道中の話を聞きたかったけど夜遅いので起きてからに。

 ただ、ダンジョンにいた二十年の間に世間と友人たちに流れた時間を体感してきたと少し寂しげだった。

 ジュリアスさまとお部屋に戻ったけど、ジュリアスさまはグレーデンの近くに野盗が出たことが気になってるらしく騎士団棟に行ってくると出掛けてしまった。
 
 ポムたちは夜食を食べられて大満足で卵のそばで伸びてる。無防備。

 卵はディディエに時のようにちょっとずつ大きくなってきてる。
 ほのかに赤い卵から鼓動が聞こえてえる。もうじき出て来てくれるかな。

 出来たられて長毛か毛並みの柔らかい仔が良いけど、元気に生まれてくれれば良い。
 もふもふ出来れば嬉しいな。
 
 ジュリアスさまがお仕事なのに申し訳けないけど気がついたら寝てた。

「ゴッ!」
 何か衝撃を受けて目を覚ましたらベッドから落ちてて、ちょっぴり頭痛い。
 落ちた音を聞いたらしいニーナとアランが部屋に入って来てびっくり。

「寝相・・・」
「あー・・・」

 ベッドから落ちたポーズのままでいた私を見て何故か二人で頷いてる。

 ちょうどジュリアスさまが戻って来て、ニーナから事情を聞いて苦笑しつつ二人を下がらせてくれた。

「怪我はないか?」
「大丈夫です」
 私をベッドに引き戻してくれて頭にコブがないかチェックされた。手慣れてる気がする?

「戻るのが遅くなって悪かった。騎士団の警ら隊を編成して境界を普段より多めに回ってもらうことにした」

 グレーデンの騎士団が強いこと、遭遇する魔獣が多いことで野盗も敵対する相手も長くいなかったのにってことで危機感を持ってるようだ。人間相手が一番面倒だよね。

 ジュリアスさまが私を抱っこしながら卵に魔力を流すと卵がカタカタっと揺れた。

「お?」
「プキュ?」
「モキュッ?」
「ギャ?」

 パキ、パキキ、カリカリ。

「え?」
 卵から音が聞こえる。

「プッキューーン」
「モッキュン」
「グギャーォ」

 ポムたちががんばれがんばれってやってるとアズライトが窓から入って来た。

「ほぅ、思ったより早いの」

 卵の周りにふわふわな光が集まってるので精霊たちも応援してるんだろう。

 パッキン、カリカリカリカリ。

 卵殻が硬いみたいだけど手を出したらいけない。
 ポムたちも必死に我慢してる。
 
 ジュリアスさまも筋肉を緊張させて今か今かと眺めてる。

 音がし始めて一時間くらいしたころにその仔は産声を上げた。




 




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